子ども「僕ちゃんさ、今さ、ゾーン決めるために、上にいくんだよ」
私「そうか、何しようかね」
子ども「ねえ、今日、雨だよ。じゃあ、お部屋で遊ぶしかない。・・」
私「そうだね。雨だもんね」
子ども「バイクに空気入れないと、うまくいけないじゃん、転んじゃうじゃん、それでえ、バイク壊れちゃうから、空気入れないといけない。自転車空気入れてるから、うまくいくんだよ。」
今朝、にこにこ組(2歳児クラス)のSKくんが、こんな話を私に説明しながら、ファイルを抱えて階段を登っていきます。
にこにこ組で「ゾーン選択」が始まっています。ゾーンボードを見てやりたい遊びを自分で選んで、遊び始めるのですが、子どもって、どのくらい前から「こうしよう!」と思い巡らしているんだろう?と思います。朝、一階で遊び終えると8時半過ぎからは、それぞれのクラスに分かれるのですが、そこで「何して遊ぼう!」と思い浮かべるようになるのは、いつ頃からなのでしょう。私たち大人は、今日のスケジュールだけではなく、明日明後日、さらには来月、今年、来年、5年度、10年後と、かなり先までの「見通し」を持ちながら、何らかのビジョンを持ちながら生活しているわけですが、子どもは、どうなんでしょう。
赤ちゃんは記憶する力がまだ弱い時期、目の前に見えるものを思い浮かべて、それに反応しがら「今」を過ごしています。それが数ヶ月もすると、記憶力が向上し、じっと人の目をよくみる時期がきて心の交流が始まっていきます。そして8ヶ月から10ヶ月ごろには、話をする相手の口をよく見るようになります。(この時期はマスクで口を隠さないほうがいいのですが)。この時期のことを、よく「9ヶ月革命」の時期というのですが、人は意図を持っていることに気づき、自分の興味や関心のあるものを相手にも教えたい、伝えたい、共有したいという「共同性」の心が発達していき、象徴機能が発達して言葉を話すようになっていきます。
そしてあっという間に言葉の語彙が増え、1歳から2歳までに300語、そして3歳になるまでに1000語を獲得していきます。爆発的と言ってもいいほどの言葉の発達が見られます。そんな時期の「にこにこ組」の子どもたちは、知的精神的な力が、つまり認知能力が発達していくのですが、それを支えていく社会情動的な力、つまりで非認知的な力も育っていることがわかります。そのために必要はことは、伝えたいものがあること、伝えたい相手がそばにいるということです。そこには信頼関係ができており、自分の質問に答えてくれたり、話したいことを受け止めてくれる、安心できる他者がいるという人的環境が欠かせないことになります。
人間だけが言葉を獲得しながら、それを非常にうまく使いこなしていくように発達していくのですが、その中には、これからこうしたい、ああしたいという「今から」の意欲が、少し先、それが終わったらこうしよう、今日はこうしたい、明日もこうなるといいな・・と「見通す力」も育まれていくのでしょう。何かを楽しみ待つことができるようになってくる幼児期の前半ごろ、未来に向かう意欲が目に見えて姿や言葉の表現になっていきます。
10分後、午前中、午後の活動・・明日は浜町公園、今度の土曜日は屋形船。人があることを決めてやり始めるまで、その間の時間的な長さというのは、成長になるほど長くなっていきますね。