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園長の日記

ちっちとわいわいの姿に共通する非認知的能力

2022/05/18

自分で何かを決めて行動に移すことができる姿が、ちっち組(0歳クラス)のHちゃん、わいわい組(3歳児クラス)のSくんの姿として報告されています。やっていることは自分の袋にステイとタオルをしまうこと、お昼寝の寝るか寝ないかを決めること。全く異なるように見える「行動」ですが、そこで使われている非認知的能力が何だろうと考えてみると、共通の特徴を取り出すことができます。

いずれも「自分から」という主体性が育っているのですが、それがみんなに素敵なこととして肯定され、誉められるのは、社会的に望ましいと思える行動だからです。望ましいというのは、言い換えると「よい」ことをやっているということです。どんな「よい」ことでしょう。

Hちゃんは、先生が「ここだよ」と袋を開けて待っていると、そこに向けて歩き出し、出したり入れたり、ちょっと遊びながらでも、自分でしまう、という自律性が確認できます。やってもらうのではなく、自分でする、ということです。Sくんの場合は、今寝ることが後で良いことが起きるという「見通し」に基づく、「異時点間選択」(遠藤利彦)ができています。眠いから寝ることを選ぶのですが、今寝ておかないと後で困るという「見通し」(どこまで本当に認識できているかはともかく)から、そうしているらしいのです。

いずれも「自己」に関わる心の性質です。いずれの場合も「自分を大切にし、適切にコントロールし、もっと高めようとする力」と言えるでしょう。(詳しくは5月14日「園長の日記」をご参照ください)。

ここで考えてみたいのは、望ましいとされる自立の姿になっていく過程(プロセス)に、自分から「そうしたい」という目的意識を持って行うようになっているかどうかです。そしてポイントになるのは、その目的が、今なのか、ちょっと先なのか、長期的目標なのか。その「見通し」をだんだん長くしていくことが、「基本的信頼感」「自尊心・自己肯定感」「自己効力感」「意欲・内発的動機付け」「自己理解」「自制心・グリッド」「自立心・自律性」と関係しているように見えてくるのです。「目的に向かって我慢して自分を制御する力」と言っていい「実行機能」は、このような「選択」できる体験を積み上げることで、育っていくように思えるのですが、どうでしょうか?

子どもの成長には、遠くまで見通す力があるほど、将来の目標を目指す力につながり、その過程で非認知的能力は、育つのかもしれません。OECDがいう社会情動的スキルは「目標を達成し、他者と協力して効果的に働き、自分の感情をコントロールする能力」ですから、これの半分の要素が育まれていると言っていいでしょう。

 

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