大豆生田さんが「その言葉は、僕が20年前に使った言葉です」と話しているのを聞いて、確かにその頃はそうだったなあと思い出しました。その言葉、とは「ブラックボックス」です。何がブラックボックスか、というと保育が、です。保育園での保育は、何が行われているのか、よくわからない。だから「保育って、ブラックボックスなんだって、気づいたんですよ」と、映画監督の豪田トモさんが話したことに対する応答が、冒頭の大豆生田さんの発言になります。
豪田監督は、保育園に1年間通い、カメラを回し続けました。監督のお嬢さんも「6年間保育園でお世話になった」そうですが、「だから僕は保育園にとても大変感謝もしている」そうですが、それでも「先生たちがどんなにすごいことをしているのか、子どもたちがどんなに素敵なのか、映画を撮ってみて、初めて本当のことがわかったんです。保育は知っているようでいて、知らなかったブラックボックスだったんです」というのです。
この対談は今月16日に行われYouTubeで公開されているので、ぜひご覧ください。撮った映画というのは、この日記でも紹介している「こどもかいぎ」のことです。ブラックボックスという言葉は、ちょっと極端かもしれませんが、確かにそんな要素はあります。保護者の皆さんと、こうして毎日顔を合わせていながら、やっぱり私たちの心の中には、保育や先生や子どものことが、そのまんま、理解してもらえてはいない、というものが正直あります。
これはおたがいの信頼関係と歩み寄り、相互のリスペクトがないと重なってこないベン図の真ん中の輪みたいなものかもしれませんが、その垣根の一部を、突破して見せてくれたのが、この映画のような気がします。私はこの映画の中に登場する子どもや保護者をよく知っている立場ですが、それでもこの映画でしか、伝えることができなかった「保育」というもの「子どもの声」というものが、確かにあります。
ましてや、保育関係者でない、一般の方々に子どもって、こんなに面白くて楽しいし、すごいことを感じ考えているんだということを知ってもらえるというのは、滅多にないチャンスだと思います。このことを、大豆生田さんも強調している対談でした。シネスイッチ映画館の予約は二日前からできます。初日22日の予約は20日からできます。公開から最初の3日間で、その後の公開期間も決まるそうです。お出かけは、22日(金)、23日(土)、24日(日)までに、ぜひどうぞ。