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園長の日記

クーイズ、クイズ・・

2022/10/25

今朝、年長の男の子が私に「クーイズ、クイズ」というので、私が「な〜んのクイズ?」と応答すると、「イチたすイチは?」といいます。私が「に〜(2)」と答えてあげると、案の定、ニヤニヤと満面の笑顔で「ブッブー。答えは(漢字の)田、でした〜」と言います。私は「おー、そうきたか」と、毎年こんな子たちと接してきたので、このパターンは経験ずみです。

「ン? ナニナニ?、何か勘違いしているぞ」と気づき、私からの反撃開始です。「ねえ、ちょっと待って。なんで、田なの? ホントに?」

その子は、「・・・(何言ってんの?)」という反応だったので、私がホワイトボードに字を書いて確かめようと、立ち上がったら、その子がサインペンを取ってきてくれました。園長ライオンが何か始めるぞ!というのが楽しそうです。

そして「イチ」と言いながら「一」と書いて、「タス」と言いながら「一」の下に「十」を書き(パソコンでは、この土の逆さまの字がない)、また「イチは」と言いながら「一」をつなげてかくと「王」という字になります。「アレレ? 田にはならないんだけどなあ」と私。すると当の本人が「ほんとだ!王だ」と気づくのです。そして何度か「いちタスいちは・・」と唱えながら字を書いて確かめています。

このような事例について、この子たちの体験の意味を要領や指針の「10の姿」に照らし合わせてみれば、いろんな着眼点から育ちのコンピテンシーを見出すことは、できます。例えば次のように、です。

言葉遊びやクイズを出し合うといった遊びを通じて「お互いの思いや考えなどを共有し」「考えたり、工夫したり」しています。「人との多様なかかわり方に気付き、相手の気持ちを考えて」くれています。そして「自分と異なる考え方があることに気付き、自ら判断したり、考え直したり」というようにも見えます。さらに言葉とつながりを持つ「数字や文字などに」ついて、読んだり書いたりする経験を通して「親しむ体験を重ねたり」しています。10の姿のうち、2、3、5、6、8、9、10からの姿を容易に見出すことができます。細かく見れば全部含まれているのですが。

ただ、当園のように「自由遊び」を中心にしている園生活では、こんな経験が今週起きそうだ、と予知することはできないので、週案や月案では計画できません(もちろん、クイズ遊びを計画的に予定して行うこともできますが)。それでも年間だったら年長さんとは大体、毎年こんなことが起きそうだ、と計画することはできます。というよりも、そういうことが創発するような生活にしていくことが大事なのでしょう。こんな解説をFacebookで読むことができるので、素晴らしい時代になったと実感します。

「幼児教育のカリキュラムはこのようにして、プロセス志向であり、そのプロセスは諸々の世界への探究として開かれていく。創発性はその世界への芽の伸びの中に多様に生じていく。そこには内容も能力もその世界へのプロセスを支え可能にしていく主体としてのまた環境としての条件として置かれている。その限りにおいて、前もって計画して検討することもできる。小学校以降の学校教育が教科内容を諸々の世界への組織的探究として捉えるならば、それに入っていく過程が幼児教育とりわけその移行の時期となるのである。」(無藤隆Facebook 10月23日)

 

 

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