保育園では協力ゲームを多く取り入れるようにしています。戦争の教訓からできたEUは移民受け入れを巡って対立が起きていますが、それでも「コーヒージョン」(粘着、団結、結束などの意味)を大事していることから、見習いたいことが多いのです。幼児教育でもそれがボードゲームのルールに反映さえていることがわかります。最後に誰が勝って終わりというゲームではなくて、勝者や敗者はおらず、いかに協力して何かが達成できたか、という競争よりも協同を育もうとしているボードゲームが多いのです。
そんな遊びに親しんできた園児たちは、競争の面白さに加えて、年下の子のやろうとしていることを大目に見てあげたり、協力し合うことを好む傾向も育ってきたと感じる場面が今週ありました。それは本来、早く揃った人が勝ちである「レシピ」というカードゲームを、年少、年中、年長が混ざって遊んでいたときです。作りたい料理のカードには、カレーだったらそのカードの下の方に、肉やじゃがいも、にんじんなどの材料の絵と名前がかいてあって、それをみながらテーブルに他の子が捨てた食材カードと交換していきます。その競争ゲームを始める前に、どんな料理を揃えて「ごはん」にするかをカードで確かめ合っていたそうです。その様子を、担任がクラスブログに書いているので紹介しましょう。
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カードゲーム「レシピ」 を楽しんでいる子どもたちです。
正式ルールの前段階の、ご飯作りをしています。
このゲームは、自分が作る料理のレシピカードを見ながら、作るために必要な材料を集め、そろえるゲームです。 いらない材料を場に捨てて、新しいカードを手に入れるのですが、場に捨てられたカードはもらう事が出来るのです。「ください」「いいよ」とやり取りしている間に、次はだれの番だったかなど動きが目まぐるしく、あそびながら順番を守るというよりも、ゲーム全体がどう動いているのかを広く見ていく力が必要であることがこのゲームの面白い所です。 相手や自分を意識し続けるということは、社会の関係性に広い目で見ていく力ともいえて、とても面白く力が必要な事が分かります。 今日は、交代交代で午前中止まることなく遊び続けていた子どもたちでした。
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全部の食べ物の材料カードの中には一枚しかないものがあり、それだけで料理との1対1の対応になっているものがあります。例えば、その絵の「豚肉」は酢豚の材料だとすぐわかるので、「ください」といっている子は酢豚を作ろうとしているとわかってしまうのです。そこで、何を作っているかがわかると、交換したいけどどうしようかな、他の子は何を作ろうとしているのかな、と「考える」ようになります。駆け引きのようなことがおきます。そして「ください」「いいよ」はランダムに起きるので、本来の順番とは別です。
その本来の順番が「次、誰だっけ」とわからなくなったとき、ちゃんとわかっているのが年長の「KくんとKさん」だそうです。その子たちは、年少の子たちが作ろうとしている料理も作らせてあげるために、持ち札を捨ててあげたりしているあたりに、本来の競争ゲームではない段階での配慮というか、優しさのようなものが見られたらしいのです。発達の異なる子どもたちが一緒に遊ぶ時に昔よくやった気がします。異年齢保育のよさかもしれません。
随分前ですが、協力遊びの重要性を学ぶために、オランダから講師の方を招いて複数の保育園が集まって研修を受けたことがあります。いくつもの活動や遊びを学んだのですが、象徴的だったのが全員が勝つ「椅子取りゲーム」です。普通の椅子取りゲームは、最後まで残った人が勝ちですが、講師のアナマイケさんでやっているものは、だんだん椅子が少なくなっていくと、どうやったら狭いスペースにみんなが譲り合って座れるかを協力し、一番少ない椅子はどれがを競うのです。今で言えば持続可能な共生社会のためにいかに協力できるかを、子どもの頃から学ぶのだというのです。協力型のボードゲームが日本製にはあまりありません。そこで海外ブラントのものを取り寄せて購入しています。