これもよくある光景なのです。「はいはい」と元気よく手が挙がるのですが、実際に「◯ちゃん」と当てられると、「・・・・(沈黙)」というパターン。26日(木)に開かれた誕生会の時もありました。
毎月1回、その月の誕生児を祝うのですが、集まった園児たちが、誕生席にいる園児に質問をするのです。大抵は「どんな遊びが好きですか?」とか「好きな食べ物はなんですか?」と言った質問が出ます。質問したいと、たくさんのハイハイ!の手が挙がるのですが、本当に聞きたいことがあるからではなさそうです。とにかく、手を挙げたいのです。当てられてから質問は考えればいいとでも思っているかのように、当ててもらうために手を上げている感じです。それって、どういうことなんでしょう?みていると、はいはい、とたくさん手があっているのに、誰に当てるかを決定できる誕生児は、なかなか当てません。誰にしようかな〜と、もったいつけると言っていいくらいに、時間をかける子もいます。
「あの、質問タイムって、どう思う? パターン化してない? 毎回やる必要があるのかな?」
そう、私が主任に尋ねると、意外な答えが返ってきました。
「あれは、結構子どもに人気でやりたがるんですよ。自分で誰に当てるかを選べるので、自分の思い通りにできる感があるんです」
多くの視線が自分に集まり、注目され、最終的な決断が任されている感覚。まさしく「お姫様席」にいる実感があるんじゃないか、というのです。聴衆を取り仕切っている感覚が、自分の特別感を盛り立てているのでしょう。そういうオーラの中で、主人公であることを確かめるものとして、あの質問タイムはあるのでしょう。そういえば、なぜか、誕生児は冠を被っているのでした。王子様なのです。えっへん、我に質問があるものは、申し述べよ。今日は特別じゃ、何なりと菊が良い、というわけですか。なるほどね。