「段ボール、ください」。ーー最近、毎日のように事務室にやってきます。幼児たちが制作で使うのです。保育園は宅配で届くものが多くて、段ボールはたくさんあります。保育室から離れて他の場所へ移動するとき、子どもたちは、手作りの「スイカ」カードを持ってきます。それを持っていたら「クラスの先生の承諾済み」の証明になります。園の中を自由に移動できるフリーパスのような役割を果たしています。3階建ての保育園は、幼児はふだん3階が拠点になっており、2階にある2歳児室やダイニング、1階の乳児室で過ごすこともあります。あらかじめ決まっている毎日のデイリープログラムの一環なら何もいらないのですが、ちょっとした「やりたいこと」があると、そばにいる先生に伝えてカードをもらい、個別にやってくるのです。
段ボールは大小さまざまなものがあるので、大きさがわかるように、広げてあげます。「大きいの、小さいの、中くらいの、どれがいい?」と聞きます。すると、自分が必要とする大きさのものを選び、満足そうにして持っていきます。なぜ、その大きさのものを選んだのか、よくわかりませんが、とにかく選択肢を用意してあげることを大切にしています。自分で何かを決めて、行動すること。その結果と自分の選択は、つながった経験として体験されるだろうからです。体験がつながって、一連の経験になっていく。どっちの言い回しがいいのかわかりませんが、そういうことです。