蛹から蝶になる姿を捉えたくて、いろいろ準備していたら失敗してしまいました。さなぎが折れてしまったのです。これを準備してくれていた先生に申し訳なくて、そのことを報告したら「都会だと敏感になりますよね。。。保育園は子どもの世界でもありますので、それよりもこの活動をきっかけに、青虫の駆除に困っているという先輩と知り合いになり、駆除しないでとっておいてほしいとお願いしました」というのでほっとしました。
そこで思うのですが、たしかに、たかがアゲハの幼虫で、こんなにショックをうけるというのも、滑稽な話なのかもしれません。「田舎に行けば、いっぱいいますから、逆に駆除の対象です。都会の子どもたちは、そういう意味では可哀想ですね」という話を聞くと、なおさらです。
でも、一方で、はらぺこあおむしが害虫になる程たくさんいる環境は、作物にとっては害虫になります。すると、それほど珍しくもない、どこにでもいるような場所では、アゲハになっていく過程の面白さをどのように体験しているのでしょうか? もしあまり見向きもされないとしたら、「自然との関わり・生命尊重」のねらいにあるような「生命の不思議さや尊さに気づき、身近な動植物への接し方を考え、命あるものとしていたわり、大切にする気持ちをもってかかわるようになる」などの姿が育つのでしょうか?
要するに幼児教育にふさわしい環境として、子どもが関われるようになっているかどうか、ですから、ふんだんにあればそうしやすいということです。子どもが見てさわり、心動かされたり感動する体験があるかどうか、それがなければ身近な自然があっても、子どもにはないに等しいということでしょう。