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園長の日記

14日の「そうそう、そこそこ」子どもなりの世界の広げ方

2023/09/14

14日の「そうそう、そこそこ」は子ども理解のバリエーションです。1歳の子どもなりに自分の世界を広げていく様を取り上げています。

というか、よくもそこに着目できているなあ、すごいなあ、ということなんですけども。

エピソードは2つ、二人あったのですが、どちらも子ども同士の間に起きている発達の最近接領域のことといってもいいでしょう。二人とも1歳児クラス。担任は「ちょっと上」とか、「チャレンジ」という言い方で、子どもがそ〜っと踏み込んでいく自分の世界を捉え、保護者の皆さんに伝えようとしてくれています。

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<エピソード1>

ヨーグルトのおやつが出た日、Sくん、自分でフタをあけることにチャレンジしています。

配膳をしてくれた先生が、”ここからはできるかな?”と、ヨーグルトのフタを最初のちょっとだけを開けると、フタつきのまま渡していました。 全部開けてから子どもたちに配膳するほうが、失敗することも少ないし、すぐ食べられるけれど… そろそろ自分で開けることができるようになってきているかな?と、あえてつけたまま渡してくれています。 大人がさらにちょこっと手伝って、『ここを持ってめくるんだよ』と示すと、Sくんも真似をして、見事自分で開けることができました。

ほんの小さなことにも思えるのですが、昼食のバナナやオレンジでも同じようなことがあります。 最初は皮ごと食べようとしてしまったり、皮をむかずに中身をなんとかかじろうとしたりしますが、徐々に「皮をむこうとする」仕草が出てきて、手先がうまく使えるようになってくると自分でむいて食べるようになります。

そうした様々な発達のステップがあるので、私たちはそのステップに合わせて、大人がむいてあげたり、子どもが自分でやりやすいように途中までむいてあげたり、自分でむけるようになってきたらそのまま渡したり…と それぞれの子に合った関わりをしていきます。ついこの間までバナナの皮ごと食べようとしていた子が、皮をむいてみようとしているのを見て、嬉しくなったりもします。

『発達のステップに合った関わり』というのがまた面白いところだと思うのですが、その子にとって簡単にできすぎてしまうことは、「発達に合っている」とは言えないように感じます。「発達」には、いつでも少し、「チャレンジ」という要素が必要なのかもしれません。 自分ができることの少し上、をトライする中で、子どもたちは少しずつ少しずつ成長を重ねています。

時には、ちょっと道草したり、あと戻りしてみたり…ももちろんあるかと思いますが^^(きっと、そのくらいの『あそび』も大切な時間なのですね。)ヨーグルトのフタも、ぐんぐんさんたちにはちょっとしたチャレンジでした。でも、Sくんが ちょっと頑張って自分で開けてみたり、うまく開けられた子が、「できない〜」というお友だちのをさりげなく開けてあげたりする姿もあって、子どもたちの発達や成長を引き出していく要素は、色んなところに色んな形で起こりうるのだなぁということを実感します。

子どもたちの力や、いま伸びようとしている姿を存分に引き出していくには、それぞれの子どものことをよく理解していないといけないのだと感じます。私たちも、子どもたちと一緒に挑戦したり試行錯誤したり…を繰り返しながら、一人ひとりの子どもの姿をじっくりと捉えていきたいと思います。

<エピソード2>

ところで、子どもたちがそうやって”一歩踏み出す”ための環境や関わりは、遊びの中にもたくさんあります。 お友だちの運動遊びをずっと隣の部屋から眺めていたIくん。一緒にやる?と聞いても『ううん』と首を振りますが、眺めているのは楽しそうです。楽しげな友だちの姿につられて、Iくんも時々にこっとしながら見ています。 そこからしばらくお友だちの姿を眺めるうち、だんだん近くへやってきて… Cちゃんにツン♩そのあとは、お友だちが遊んでいるマットをめくってみたり、こちょっとくすぐってみたり。

ほかのお友だちと一緒になってマットの上に寝転んで遊んでいたわけではないけれど、お友だちの遊びの楽しさをしっかりと一緒に感じながら同じ世界を楽しむ姿に、『こんな参加の仕方も良いなぁ』と小さな感動を覚えました。

とくに最初のうちは、パッと見ただけでは、「一緒に遊んでいる」ようには見えなかったかもしれないけれど、その時の Iくんの表情や姿を見ていると、たしかに、お友だちと同じ面白さを感じ同じ世界を一緒に楽しんでいるように見えました。

こんな風に、それぞれの子のタイミングや楽しみ方、味わい方があって、一人ひとりの世界の広げ方があります。それをいかに一緒に感じとり、支えていけるかが、「発達」や「成長」にとっても、大切なことなのかなぁと感じています。

・・・・・・・・ここまで・・・・・・

このように、本当に何気ないシーンなんですけれど、これまでの積み重ねから育っていきつつある姿を切り取ってくれていて、私は嬉しくなるのでした。

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