このエピソードは、2歳3か月の男の子が、紙芝居を見せてあげています。クラスブログから以下紹介します。
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ぐんぐん組のRくんが、お気に入りの紙芝居『まんまるまんま たんたかたん』を見つけてきて、先生気分(!?)で、読み聞かせを始めました。
先日のおたのしみ会では、Rくんのお父さんにも 絵本の読み聞かせで活躍していただきましたが(Rくんのお父さま、Yくんのお母さま、素敵な読み聞かせをありがとうございました!!)、こんどはRくんが、ちっちさんたちの前で読み聞かせです。
読み聞かせといっても、もちろん紙芝居の文章を読み上げるわけではありませんが、紙芝居をめくるたび、ちゃんとそのイラストに沿って、おなじみのセリフを言ったり、紙芝居をぐるぐる回してみたり…。子どもにとってはちょっと大きめの紙芝居をめくっていくのは、すこし難しそうに思えますが、Rくんはまるで大人のような手捌きで紙芝居をすすめていて、驚きました。
それに、主人公のちびっこ忍者「まんまる」が、ヘビのまわりをぐるぐる回るところでは、ちゃんと紙芝居をぐるぐる回して再現していました…!
M先生がよく読んでくれるので、真似っこしていたのかもしれません。このときばかりは、紙芝居のストーリー以上に、”紙芝居を読み聞かせる先生の姿”を再現して、楽しんでいるのかもしれません。
このお話は、「まんまるまんま、たんたかたん!」というセリフに合わせて手をパチパチたたくのですが、Rくんが、「まんまるまんま、たんたかたん!」と言うたび、ちっち組のRちゃんやSくんが、パチパチと手をたたきながら、Rくんの紙芝居に見入っていました。ちゃんと、リズムに合わせて手をたたいているのが、すごいです。
Rちゃんも、Y先生のひざの上でじぃっと眺めていました。
Rくんの紙芝居を楽しむちっちさんの姿もまた可愛くて、ほっこり。
かわいらしい光景に、大人も見入ってしまいました…!
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これを読んで、いろいろと考えます。
どうして人間はそもそも模倣をするのだろう?さらに、たくさん真似したいことがありそうなのに、どうしてそれなんだろう?なにかしらの選択がなされているように見えます。
「学びの事典」によると、模倣は対象を取り入れる形だけの模倣(エミュレーション)から、やっている人の意図も理解してやる模倣(イミテーション)へと発展していくと書かれています。もし行動なら模倣といい、何かの物への定着へ集約されるなら表現(描いたり作ったり)と言い換えていいのなら、いずれもその「世界への参入」とでもいっていい気がしましす。そして、そのガイド役が周りの人々なのでしょう。
模倣したり再現したりしている行為は、最初から世界の一部であり、生きている私たちの世界に新しいものを生み、世界を少しだけ変化させていることになります。子どもの姿というのは、このように世界とのかかわりの中で常に流動するなかに現象するものといえるのでしょう。
そこには人間ならではの、よりよいもの(楽しさや新奇性など)への志向が感じられ、人間独自の世界を創り出しているようにみえます。それを時間的な経過でたどっていくと、その子の軌跡としてのラインや歴史が世界に刻まれているともいえるでしょう。
そして、その姿の中に、資質・能力を認めるなら、知識や技能はRちゃんに部分的に蓄えられていくだけではなく、模倣という環境とかかわる行為(経験)を洗練させながら、つまりその過程に思考力や判断力や表現力の動向が垣間見られるわけで、それはまた同時に楽しみながらその世界の意味を意欲的に発見していっている(学びに向かう力)ということになりのでしょうか。