絵の少ない物語を読んであげていると、子どもがじっと想像していることがよくわかります。お昼ご飯を食べた後で、エルマーの冒険の話になって、「どこまでいったけ?」「ねずみがでてくるところまで」というので、3階のクッションの上で読み始めました。食後はゆっくりしたいので、子どもたちは「ごろごろタイム」と呼んで、自分たちで絵本をもってきて見たりしています。
想像するというのは、目の前にないものを思い浮かべるということだとすると、じっと目をつぶって、頭の中に絵を描くことに似ています。それがちょっと難しい時は、私は「ここだよ」と地図などを広げてあげます。
「今ここだよね」などと地図を指差しながら、次々と出会う動物たちから食べられずに、うまく逃げていくエルマーの足取りをなぞっています。また所々に入っている最低限の挿絵が、状況を「思う浮かべる」手助けにもなっています。
話の途中で「どうして?」と聞かれることがあって、その理由がその次に書いてあったりするのですが、そこを読んであげると面白そうに納得しています。今日のメンバーは「りゅうがあばれたら、ゴリラにほうこくすること」という箇所で、大笑いになりました。子どもによって面白いと思う箇所が違うので、それも読み聞かせをするたびに、面白いと感じるところです。
あまり絵に頼らずに、言葉を聞くだけで情景を思い浮かべながら、お話を楽しむというのは、今の時代にあまりない体験のような気がします。私の読んであげる言葉に、じっと耳を澄ませています。
このような体験をたくさんすることは、考える力に影響する気がしますが、どうなのでしょうか? 映像にあふれている時代だからこそ、もっと必要なことかもしれません。
<ケ言葉による伝え合い>
保育士や友達と心を通わせる中で、絵本や物語などに親しみながら、豊かな言葉や表現を身に付け、経験したことや考えたことなどを言葉で伝えたり、相手の話を注意して聞いたりし、言葉による伝え合いを楽しむようになる。