3階の運動ゾーンは、ドイツ製の遊具なので取り寄せるのに時間がかかりましたが、ロープネットの張り方を改良したので、今日から本格的にネット遊びが出来るようになりました。
■たわむロープ
撓(たわ)むロープネットは、子どもの身体能力を飛躍的に伸ばします。それには理由があります。この遊具はまず体幹を効果的に刺激します。一般に足場がゆるむような場所、例えば柔らかな砂場、サンドビーチなどで歩いたり、走ったりするのは体幹トレーニングになります。ですからビーチバレーなどは、引き締まった全身の筋肉を鍛えるのに最適なスポーツです。ですから、室内ゾーンの一つの場所で、床にふわふわのマットレスを敷きそこで遊べば、知らず知らずのうちに体感が育つと言うことが可能になります。
■手足の4支点で支えて動く
たわむロープネットはそれよりも、さらに効果的です。このネットの穴は、頭が通るようにわざと大きく編まれていて2本足だけで立つことは出来ません。必ず手足4支点で支えないと移動できません。これによって手と足の協応運動が生じます。これは木登りに似ています。ただ、木登りと違うのは、体重のかかった足はたわみ、他の3支点を調整する必要があることです。一歩踏み出すごとに、ロープは変形するので、その都度それに身体のバランスをとっていく必要があるのです。この時、全身の体幹の筋肉が刺激を受けて、滑らかな身のこなしが育っていきます。
■腕の支持力や握力が育つ
ロープには傾斜を持たせたので、低いところから高い方がへ登ることができます。遊んでいるうちに、両手で身体を支える姿勢も出てきます。実は、現代の日常生活から、両手を地面について自分の身体を支えるという動きはほとんどなくなってしまいました。例えば雑巾掛けをする掃除はしないし、運動としての逆立ちをすることもありません。この支持力が育ちにくい生活環境が現代の都市生活です。小さいときに、広い場所でハイハイをして動き回るよりも、すぐにつかまり立ちになってしまいます。転んだときに反射的に手をついて受け身をする力が育っておらず、家庭で口や歯をぶつける怪我が増えていることが歯科医師会で問題になったと聞いた事があります。
■ぶら下がる懸垂力が育つ
両手でぶら下がって自分の体重を支えるような運動も、日常生活の中ではあまりありません。この懸垂力を育むには、両手で自分の体重を支える程度の運動を日常的にしていることが必要です。ぶら下がるという単純なことも、子どもたちの生活からなくなっています。
手が届くところに、ぶら下がるものがあれば、人は無意識にそれを握り掴み上がろうとします。このような動きもネットから降りるときや下からぶら下がるときに自然と育むことができるわけです。
■樹上での生活者だった私たち
約200万年前、私たちはチンパンジーとの共通先祖から枝分かれしてホモ・サピエンスになりました。その頃私たちは森の木の上で生活していました。私たちの足は昔「手」でした。霊長類学によると手から足に進化したのであって、私たちはもともと「四手動物」でした。たわむロープのような場所といえば、樹木の連なり森の中です。私たちの脳と体は、まだその環境からの刺激を求めています。生まれたばかりの赤ちゃんは、実は自分の体重を両手で支えることができます。幼児クラスの子供たちが、このネットを見ると吸い寄せられるように遊び始めます。子供がやりたがることの中には、発達に必要なことが含まれているのでしょうね。