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園長の日記

旬のはしりのアスパラガスを味わう

2025/03/12

今日の食材はアスパラガスです。白いのと緑のを比べてみます。と、思って始めたのですが、それよりも単に「食べること」を超えた関心の広がりを感じる活動になりました。

最初に「アスパラガス、知っている人?」とシェフのそらさんが聞いてみると「は〜い」。意外とみんな知っているんですね。好きだという子もいて、「へえ、そうなんだ!」と、大人が顔を見合う感じから始まりました。

この活動は、素材を見たり触ったりするところから、食べるところまで、一連の流れがあるのですが、それぞれを、いろいろやる前に「どうなると思う?」「どうしてかな?」などの質問と返事が繰り返されていきます。

その返事が面白い。触ってみたりすると、お皿にトントン叩いたり、音を立てたり・・「テレビで見た」「おうちでも・・」など。たとえば、どんないろ?ときくと、「きみどり、みどり、しろ、アスパラガス・・笑」。2歳児クラスの9人ですからね。

匂いをきてみると「しない」という子もいれば「する」という子も。

まな板と包丁が出てくるのは、毎度慣れているのですが「包丁は触っていいんだっけ?」というと、ダメ〜という返事だけではなく「手が切れちゃう」「指切っちゃう」と具体的な言葉がでてくる変化が。どっちから切ろうか?にも「白から切ろう」などと、これまでの経験から、それぞれの子どもに余裕のようなものがあって、「こうしたらいい」という自分なりの考えが溢れているように見えます。「中はどう?何色?」とのやりとりも楽しそうです。

午後の振り返りでも出た話題なのですが、「言葉でのキャッチボールが増えたよね」「次にこうなるだろうと見通しがでてきて、落ち着きを感じました」という話になりました。

つぎは皮むきです。ピーラーをつかって根本から少し上までの皮をそぎます。その皮も嗅いでみます。その次は茹でます。「お風呂に入るよ」と目の前の鍋に、長さの違うアスパラを、一人ずつ子どもが選んで、そっと入れます。優しい手つきです。少し塩も入れますが、「これ何かな?」「お砂糖」「おしお」・・溶けて見えなくなると「なくなった!」という声。

茹で上がったら、まな板に乗せると、少しいい香りがしてきます。たべたい?うん。少し長めの一口大に切って、「どっちがいい?しろ?みどり?」と聞きながら、お皿に取ってあげます。そろったら「いただきます」。美味しかったのか、意欲的にペロリ。それぞれの顔から受ける印象は「こんな味なんだな。うん、おいしいじゃん!」というような感じでしょうか。

アスパラガスのように縦に繊維のある野菜は、硬さによって食感が変わるのだとか。繊維質以外の部分、果物の果肉に相当する可食部分を「美味しい」と感じるために、小さい子どもには、柔らかめの方がいいそうです。口の中でとろけるような感じで、いわゆる狭い意味の「味」だけではなく「食感」をよくする工夫の大きい食材だと言えるのかもしれません。今日の茹で具合は、3分ぐらい。レストランだともう少し硬めにするそうです。

食感が敏感な子は、最初、白いアスパラを食べようとしなかったのですが、緑色の方を選んで食べた後は、白い方をおかわりしています。食べやすい「食感」だったからこそ「美味しかった」のでしょう。みんな食べ終わってもテーブルに残っている子もいて、まるで余韻を味わっているように見えました。

今度は焼いてみます。これも子どもたちは毎回大好きで、だんだん焼けていく様子をじっとみています。油をたらし、途中で塩を振り、香ばしい匂いがしてきます。「できたよ」というと、子どもたちがさっと席に戻ります。それも可愛らしくて微笑ましい。

今回の食べ比べは、食べること以外に関心が広がっている姿を随所に感じました。振り返りの時間に、担任の先生からは「砂場で遊んでいるときに、塩を振っている(アセドネ)そら先生の真似をしていたり、お家で買い物に行って「かぶ」を買ってとねだられたり、味の探究の世界がすこし広がってきたようです。

 

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