それが最もよく現れるような場面をいかにつく出すか?保育はその条件のようなものを具体的な環境を通して具体化していく営みなのでしょう。その空間の中に生起する出来事の中に、子どもの姿が浮き出てくるようなあり方として。それが卒園式でも起きるのだということを目の当たりにしてきました。今日は姉妹園の卒園式でした。
「それ」というのは一言で言うのは難しいのですが、最も近いのは「育ち」という言葉でしょうか。もっと広がりのある繊細な経験のことなのですが、卒園児26名の全体が醸し出してくる雰囲気、一人一人へメッセージ、呼びかけの声、何気ない子ども同士の気遣い、歌声の響き、大きくなったら何になりたい!という思い。それを包み込む親や先生の一人一人に去来する思い出。そうした諸々の思いが交錯する空間でありながら、幸せを希求する方向に発される輝き。
セレモニーがそれにとどまらないためには、本人の姿が伝えてくるものが物語るとしかいいようがないでしょう。この子達のことを知らない私は、それを6年間共にしてきた親や先生の思いを知ることはできません。それでもこのような子供達の姿が、なんとも可愛くて胸を打つのは、子どものもつ不思議な力のなせることだと思います。