◆発災後のリアルな動き方をイメージしましょう
今月9月20日に、保育園では総合防災訓練をします。その一部として、保護者の方には「引き取り訓練」をやってもらいます。「引き取り訓練」と言っても、学校がやっているように、ある時刻を決めて、その時間に迎えにきてもらうというようなことはしません。それはあまり現実的な訓練ではないからです。実際に大規模な震災が起きると、すぐにお迎えなどはできません。東日本大震災を思い出していただきたいのですが、もし首都圏直下型地震などが発生すると、保護者の皆さんがやることは、次のような手順になります。
◆先ずは、自宅で生活ができるかどうかを確かめること
まずは、ご自身の身の安全を確保していただき、家族の安否を確認しあい、自宅に戻ってみて被災状況を確かめ、その上で自宅で生活できるかどうかを判断し、学校や保育園にいる子どもたちを迎えにいくという流れになります。学校もその場でお泊まりになる可能性もあるのです。保育園はそれを前提に考えています。最低3日間は、寝泊まりができる体制を作ります。
◆9月20日のお迎え時刻は「いつも通り」で構いません
実際に被災すると、その災害の規模によってお迎えができる時刻は全く異なります。早くお迎えに行きたくても、できないのです。最悪の場合は、親御さん自身は不幸にしてお迎えに来れないことだって想定しておく必要があるのです。
以下に「千代田せいが保育園」の総合防災マニュアルから「発災後行動マニュアル」(地震編)の一部を転記します。「引き取り訓練」に相当する部分をご紹介します。このマニュアルは9月中に配布し、ホームページにアップします。
◆ 発災後行動マニュアルより(保護者向け)大規模な地震が発生したら
もし大きな地震があったら、次のように行動なさることを、お勧めします。
(1)まず、ご自身の安全を確保してください。
・保育園では最善を尽くして、子どもたちの安全を確保しています。
・避難生活は、保育園が最も安全です。どんな生活になるかは、別のところで説明します。
(2)震災が起きたら、園のホームページ「園からのニュース」を見てください。
・安否情報と生活の継続状況を定期的にアップします。
・SNS中継器の破損停電などでインターネットが通じないこともあるので、NTTの災害伝言ダイヤル【171】でも園の状況を定期的に録音します。
・併せて、学校や会社にいる他の家族の安否情報を確認しましょう。それができないこともありうると想像しておきましょう。
(3)自宅の被災状況を確認しましょう。電気、ガス、水道、下水、通信などのライフラインの被災状況によって、その後の生活が大きく変わります。
・まずは帰宅して、被災状況を確かめてください。
・そもそも自宅に辿りつけるかどうか。高層マンションのエレベーターは動いていますか。自宅に住めないときの避難生活場所を家族で決めておく必要があります。それが千代田せいが保育園になる可能性もあると思います。
・園にお迎えに来ることができても、家庭で生活できないと意味がありません。家で食糧、水、トイレ、照明、暑さ寒さ対策は大丈夫ですか。
(4)お迎え手段を検討してください。
・慌ててお迎えに来ないで、前記(3)を確認してからにしてください。
・勤務先などからの移動手段を確認しておきます。公共の交通機関は止まっています。どうやって帰宅するか、家族で話し合っておいてください。
・会社には水や食糧はありますか。被災日は勤務先に泊まるのか、徒歩で帰宅するのか、また被災地以外の親戚や知人に依頼するのかなど、帰宅と子どものお迎えの方法をシミュレーションしておきましょう。(ここが「引き渡し訓練」を機会に考えてほしいことです)
(4)保育園の「避難生活」について
・全てのライフラインが断たれた状況(注1)を想定し、発災後、最低3日間は保育園で寝泊まりができるようにします。ただし子どものお風呂はありません。清拭でしのぐことになるでしょう。
(注1)全てのライフラインが断たれた状況とは・・・電気、ガス、水道、下水、電話が使えない状態です。照明が点かず、エアコンが動かず、冷蔵庫や電化製品が動かず、調理室が使えません。水道からは水が出ず、下水管もつまりトイレが流れない、電話もインターネットも通じない、ガソリン車、電気自動車は動かず、公共交通機関も止まっています。