保育の質は、子どもの姿で決まります。それは今の姿であり、その姿に「その子らしく意欲的に」何かに向かい合い、取り組んでいるものがあれば、その子は、生きていく力を育てていることになります。しかも、それが関わっている仲間や友や家族と「共にあるという心」をと持ち、周りの世界がより良くなることに貢献することができたら、幸せなことです。「思いやりのある子ども」とは、人や世界がよりよくなるとこを喜べるこころをもった子どものことです。
こういうことができる仕組みを持っていることが、組織マネジメントとしては必要であり、保育の質を評価するときの柱になります。
ところが何故か、子どもの心の育ちを問う理念や視点を吟味しないで、どんな遊びや活動をやっているかだけで、つまりカリキュラムだけで、保育の質が語られることがよくあります。「子どもにこんなこともさせてほしい」「こんな体験も大事だと思います」と言った語りです。
そのとき注意したいのは、そうしたカリキュラムや体験を、子どもの実態や状況を抜きにして「させよう」とすると、子どもがやることが嫌になり、意欲をなくしてしまうという事態が起きやすいことです。保育とは、どの子にも体験させたいことを、子どもには偶然かのように出会わせてあげることです。環境を通した保育は、やるタイミングを子どもに選ばせることを大切にしているのです。