29日(日)午後、国立オリンピック記念青少年総合センター(オリセン)で「子どもの早起きをすすめる会」主催のシンポジウムがあったので、小林先生と2人で参加してきました。
この会の発起人が、園医でもある「瀬川クリニック」理事長の星野恭子先生です。「すすめる会」は2001年発足で、来年20周年を迎えます。この会は、文部科学省が1996年に始めた「早寝早起き朝ごはん」全国運動を担う団体の1つで、現在約300の団体が協議会に加盟していますが、その中でも乳児の睡眠リズムの重要性を小児神経科の専門的立場から、実践に活かす活動を推進している中心的な組織です。
今回の研修テーマは、子育て支援者向けシンポジウムで「睡眠リズムは乳幼児から整えよう」というもの。今日の主なトピックは「夜泣きで困っている時どうしたらいいか」「何ヶ月から夜の授乳は必要ないのか」など、子育て中の親ならほとんどが悩んだことのある事例ばかりでした。
その医学的根拠については、足達淑子(あだち健康行動学研究所所長)先生から「赤ちゃん夜ぐっすり眠って〜新生児時期からのらくらく睡眠習慣づくり〜」と題して、また支援の実践事例については、清水悦子(茨城キリスつ教大学助教)先生から「赤ちゃんの眠り〜支援活動の国内動向にみる様々な支援のかたち〜」と題して、報告がありました。
乳児の夜の睡眠は、細切れだったのが、だんだん夜にまとまってきます。足達先生によると、赤ちゃんは生後6ヶ月で「午前と午後に1時間程度の昼寝をして、夜の睡眠時間は12時間程度に」まとまって寝ることができるそうです。夜に授乳の必要はなく、夜泣きがあってもすぐに抱っこや授乳をしないで様子を見て、また寝るようならそれでいいそうです。
睡眠リズムは子どもだけではなく、母親も夜の睡眠不足や乱れにつながっていることもあります。母親への支援のあり方について、清水先生は「正論は返って親を追い詰めて負担になったり、傷つけてしまうこともあります」とあくまでも個々の子ども、赤ちゃんの様子をしっかり把握することを大切にしてほしい、と言います。
今日の学びの要点は、こうなりそうです。まず、確かに赤ちゃんにとって望ましい睡眠リズム、生活習慣というものがあります。そうでなけれは、国民運動など必要ないでしょう。それには相当の医学的な根拠、社会学的なエビデンスが揃ってきています。その一方で、これまでの日本での常識や習慣、あるいは助産師会や保健所の指導内容などと異なるように聞こえる部分もあります。どっちを信じたらいいの?という戸惑いが生まれることもありそうです。
そうすると、これらの知見を整理した上で、安心して子育てができるように、それぞれのオーダーメイドの生活習慣作りが大事だなぁと思います。保護者のみなさんと、率直に話し合いながら、一緒に考えていきましょう。