◆いずみこども園の親子運動会
19日(土)に和泉小学校の体育館で開かれた「いずみこども園」の親子運動会に行ってきました。東京オリンピック・パラリンピックを来年に控えて、今年の運動会では、いろいろな園で、それを記念した催しが見られます。千代田区は「Let’s2020事業」をやっていますが、いずみこども園の運動会では、車いすバスケットボールの元日本代表選手の三宅克己さんが、ドリブルやシュートを実演してくださいました。手を使わずに自由自在に車いすを操るテクニックや、座ったままでボールをゴールに正確にシュートできる上半身の強さに驚きました。シュートが決まるたびに、目の前で見ていた、こども園の園児たちも「わあ、すごーい!」と歓声をあげていました。テレビで見るのと、本物を目の前で見るのとは、なんでも違います。大人も驚くような光景ですから、特に子どもたちには、強烈な印象を与えたことでしょう。
◆スポーツの本質とはなんだろう?
こどもは体を動かすことが好きです。園児を見ていると、子どもに運動の楽しさを教えるまでもなく、大人が困るくらいに「体を動かす」ことは楽しいと思っています。ところが、学校の体育や部活動、競技スポーツなどと出合っていくうちに「運動嫌い」や「運動は苦手」という意識を持つ子どもが出てきます。これは一体どうしてでしょうか? 私は長らく学校教育を含めた教育現場を取材報道してきた教育ジャーナリスト(新聞記者)でしたので、そうなる経緯をよく取材してきました。その結果、こう思うようになりました。
運動にはスポーツとそうでないものがあります。まずスポーツは人に見せて「すごい!素晴らしい!」と思ってもらうことで職業になるプロスポーツの世界と、ただ、それをすることが楽しいからやる市民スポーツの世界があります。
そして「スポーツ」ではない「運動の世界」には、遊びやレクリエーションの世界が広がっていて、その世界の方が圧倒的に種類も多く、やっている人口も多いのです。
しかし私たちはマスコミの発達によって、スポーツを観戦する楽しさを日常的に味わうことができるので、どうしても「見せるスポーツ」の試合や選手をたくさん見ることになります。プロスポーツでありプロ選手です。
しかも人の心が動くのは、勝負の世界です。大規模な世界大会のある競技スポーツの代表格は、ラグビーやサッカーやゴルフなどです。国民をあげて熱狂できるくらいに、その一流選手は魅力的な存在になっています。テレビにスポーツニュースで取り上げられるのは「勝敗のある見せるスポーツ」の方です。
◆遊びとしての運動
しかし、私が最も大切にしたいのは「体を動かすことが楽しい」ことを、そのまま継続できるような運動でした。そして、私の前に、それがはっきりとその姿を形にしているものがあることに気づきました。それは古くからある「伝承遊び」の中にありました。「鬼ごっこ」です。2歳児のにこにこさんが、木場公園で私に「待て待て、やって」と言ってきました。私が「待て待てぇ」と言って追っかけると、楽しそうに逃げます。鬼ごっこです。こんなにシンプルな遊びが楽しい。あなたと私という「二者関係」の中で、体を動かす遊びの基本がこれです。
◆スポーツ鬼ごっこの魅力
それがどんどん発展していくと、いろいろなバリエーションが生まれ、それが伝承されてきました。さらに、スポーツとしての鬼ごっこもあります。鬼ごっこ協会が20年以上をかけて、改良を重ねてきたものです。その3級ライセンスを取得するための研修を今日19日に受けてきました。この「スポーツ鬼ごっこ」、とても気に入りました。スポーツが苦手、運動が嫌い、そう思っているような子どもも、実に楽しく参加できるものであり、年齢も問わない誰でもできるものでもありました。実際に自分でやってみて楽しいと思える運動でありスポーツでした。鬼ごっこの文化を学んだ上で、この「スポーツ鬼ごっこ」を知ると、きっとスポーツの本質を体感できるはずです。千代田せいが保育園の運動会を、そのキックオフ会にできたらいいな、と考えています。