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園長の日記

第55回保育環境セミナー 空間的環境(後編)実践から学ぶ

2021/06/19

今日は第55回保育環境セミナーの2回目が開かれました。今年度の一貫したテーマは「環境を通した保育」の環境についてですが、5月と6月はその中の「空間」についてです。前回の藤森先生の講義による理論篇に続き、今日は実践編となります。(1回目は5月29日の園長の日記を参照ください)参加者は会場参加の他に、オンラインで北は青森から南は沖縄まで、98施設述べ130名以上の参加者がありました。今回の司会は私がしました。

実践事例は、藤森先生が最初に創った八王子市の「省我保育園」(1978年開園)と、私が2018年までいた「せいがの森こども園」(1997年開園)の二つです。新宿せいが子ども園の森口先生による楽しい報告になりました。

保育環境は空間や物や人が含まれるわけですが、人だけは相互作用が特別なので人的環境は意味づけが異なります。また今回の空間も、室内も戸外も自然環境も宇宙もいわば全ての空間世界が含まれるわけですが、保育の場合は子どもにとっての生活圏、と考えます。具体的な生活の中での行動範囲と捉え直し、その動線の中での出会いをデザインします。

そうすると、園舎内だけが生活圏ではなく、散歩先や戸外活動の行き先も「空間としての保育環境」となります。その事例として2つの園を事例から振り返ってみると、要点は子どもにとっての「生活の場」として、どんな体験ができるような空間設計になっているか、ということです。思わず遊びたくなるような、子どもが主体となるような生活ができること。そこには一人一人にとって大切なこと、子ども同士の関わりが生まれるようなものが大切になります。

保育所保育指針には次のような4事項が「保育の環境」の留意点になっています。

ア 子ども自らが環境に関わり、自発的に活動し、様々な経験を積んでいくことができるよう配慮すること。

イ 子どもの活動が豊かに展開されるよう、保育所の設備や環境を整え、保育所の保健的環境や安全の確保などに努めること。

ウ 保育室は、温かな親しみとくつろぎの場となるとともに、生き生きと活動できる場となるように配慮すること。

エ 子どもが人と関わる力を育てていくため、子ども自らが周囲の子どもや大人と関わっていくことができる環境を整えること。

この4つの留意点を具体化したものを再確認しました。

ブランコでのコミュニケーション

2021/06/18

朝、運動ゾーンで「ブランコ」を楽しみました。園庭がない保育園ですが、運動ゾーンでは取り外しのできる遊具が何種類かあって、今年度からブランコもやっています。今日の朝の運動は、ネット、クライミング、トランポリンの他に、このブランコとスイングボール(大きな赤い球)、それから子どもたちが「豆ちゃん」と呼んでいる緑色の袋状のものを天井から吊るしました。

人気のある遊具は「次は◯◯ちゃん(自分の名前)」「ちがうよ、◯◯くん(自分の名前)だよ」と、順番争いが起きることがよくあります。そんな時、今朝は3歳児わいわい組の3人の女子たちだったのですが「じゃあ、ジャンケンね」と言って自分たちで決めようとしていました。大人が差配してしまうのではなくて、どうするかそばで見守っていたのですが、ここまで成長したんだなあ、と感心です。と言っても、負けた子が納得できなくて「嫌だ〜」とはいって、一旦は不満を口にしていましたが、それでも渋々、その次は自分の番だと待つ事ができました。

しばらくブランコに乗っていて、なかなか終わらないと、今度は「代わってくれない」と不満を訴えてきます。そんな時は「代わって」って頼めばいいんだよと教えてきました。言われた方も「黙っていないで、もうちょっと待って、とかあと少しとか、ちゃんと返事をしよう」と教えます。こうして、言葉のキャッチボールの仕方を伝えています。「もう少し待ってて」と言われたら「じゃあ、あとどれくらい?」と聞けばいいんだよ、とか、そう言われたら「あと10数えるまで」とか、自分で考えて返事しようね、という具合です。

自分の思いや考えを言葉で伝えようとする、そんな姿を育てたいのですが、ブランコの場合は、「あといくつ」を数えやすい。漕ぐたびに、い〜ち、に〜い、さーん・・・と数えていました。生活の中で数を数えるという場面は、こんなところにもあります。人数が増えてきたところで、ストップウォッチをつかって1分交代にしたのですが、その時はスマホの画面に表れる秒数を1から60まで読み上げるのが楽しそうでした。

屋形船乗船イベントについて

2021/06/17

コロナのために昨年は園内で実施した夏の納涼会。今年こそ開園1年目と同じように「屋形船」に親子で乗りたいと思っています。リバーサイドプロジェクトの岡田さんと相談してきたのですが、東京都の緊急事態宣言が6月20日(日)で解除されることが決まった今日17日(木)、来月7月か9月に「屋形船」イベントを実施したいと思います。

納涼会は8月21日(土)に実施しますが、これとは別に、屋形船の乗船イベントは、コロナ情勢に左右されるので、タイミングが肝心になります。7月がいいのか、9月がいいのか。報道の見通しによると、感染上昇は、増え続ける「人流」を抑えないとリバンドは避けられないといいます。急ピッチで進むワクチン接種ですが、集団免疫の目安とされる6割まで届くのは、今のペースで加速しても9月。だとすると、東京都が「蔓防」を講じても、お盆とオリンピックを経れば、その途中で第5波がくる可能性があります。

そこでオリンピック直前の7月17日(土)に、実施する案を検討します。ソーシャルディスタンスと三密回避、感染防止策を徹底した上での実施です。近く参加の意向をコドモンでお聞きします。よろしくお願いします。

みずみずしい「きゅうり」たち

2021/06/16

屋上で育てていたキュウリの収穫が昨日から始まっています。

そして今日は、その収穫の体験が、運動遊びになっていました。

このネットや壁にぶら下がっている子どもたちがキュウリです。

収穫されると、寝転がって、お友達がわらべうたを歌って、料理して食べます。

 

♪ キュウリができた キュウリができた キュウリができた さあ食べよ

♪ 塩ふって パパパ 塩ふって パパパ 塩ふって パパパ パパパのパ

♪ 板ずり キュッキュキュ 板ずり キュッキュキュ 板ずり キュッキュキュ キュッキュキュキュ

♪ トントン 切ってね  トントン 切ってね  トントン 切ってね

「いただきます」

(と言って、食べる真似をするが、くすぐったくて楽しい)

この遊び、とても優れていて、いろいろと効果満点なんです。

まず、一つはなりきり遊びなので、とにかく子どもがやりたがります。

どうしてこんなに子どもは模倣が好きなのか、謎ですね。

生き物としての人類の大いなる謎です。

これまでも、お楽しみ会の時に、模倣遊びについては散々お伝えしてきましたが、やっぱり謎です。

そして、なんと言ってもスキンシップが効果テキメン! 何に?というと

子どもたちの性格が落ち着いて、優しくなるんです。

イライラしやすい、落ち着きがない、といった気質が落ち着いて、フレンドリーになっていきます。

家でも抱っこしたり、頭を撫でてあげたり、スキンシップはたくさんとってくださいね。

ふれあいは人間関係を作っていく基本中の基本作法ですから。

そして、もう一つ、再現された遊びの中で、身体が心と一緒に嬉しいと感じる遊びだということです。

感触遊びのメリットと同じです。子どもは身体と心がくっついているので、一緒に躍動するといいのです。

身体と心を分けるような、頭で考えさせて、お行儀のいいことをさせていくと、心と体が分離してしまい、支障をきたすことが多いことは昔から言われています。想像力豊かな生命力が乏しくなって、こじんまりとした、聞き分けのいいお子さんになっていきます。クリエーティブなことができなくなるでしょう。

一方で、自由遊びの中で、自由に心と体を躍動させていくものは、子どもの発想を豊かにしていきます。自身の身体の反応が「心地よさ」として心に響いて返ってくるのですから、なりきり遊び自体がアート活動になっているのです。

アートというのは、世界の再現なのですが、この場合、自身の身体がキュウリという世界を再現していて、その表現の楽しさを心が味わっているのです。

意図して何かを表したら、あるいは結果的に表されたものを意識したら、いずれもその表現されたものはアートと言えるのですが、今日はその典型的な遊びが運動ゾーンで展開されていました。実に楽しそうでした。

余談ですが、こんな栽培、収穫、調理、見立て遊びという一連の活動は、ここまでが食育で、ここからが運動で、ここからがアート活動で、と言った風に分けることなんてできません。

 

 

第1回 睡眠講座「Mam’s Salon」開く

2021/06/15

今年度初めての睡眠講座「Mam’s Salon」を開きました。参加者は保育園の保護者の方と、地域の方の2名でしたが、これから連携をとっていきたい千代田区社会福祉協議会のアキバ分室の方もオブザーバー参加していただきました。この睡眠講座の内容は、日本人の多くの大人が知らないことが多いものです。しかも、何も知らないで子育てを始めてしまうと、当たり前と思ってやっていることが、実は違っていたということが結構あるのです。ぜひ、一度は聞いていただきたいと切に思います。詳しくは、このホームページのアーカイブ「睡眠講座」や「早寝早起き」をご覧ください。

疑った方がいい「当たり前」とは、たとえば「寝かしつけ」がそうかもしれません。子どもは赤ちゃんの頃から、自分で寝る力を持っており、なんとか寝たいと思って、むにゃむにゃいったり、指しゃぶりしたりしながら眠ることができます。あるいは寝ようとしているのです。そこを大抵の日本人の親は、誤解してかまってしまいます。このことは、なかなか理解してもらえない、最大のポイントかもしれませんね。今日の講座でも、最後にその話になりました。このテーマほど、「もっと早く聞きたかった」となる話なので、妊娠したらぜひ押さえておきたい子育てのポイントの一つのようです。

アキバ分室を見学してみて

2021/06/14

千代田区社会福祉協議会のアキバ分室を、睡眠講座の永持伸子さんと見学してきました。行ってきたのは先週11日の金曜日。目的はこの分室との連携です。散歩コースにしたり、この子育てひろばへ「親子遊びを打前」したり、社協主催の睡眠講座を開いてもらったり、地域の民生委員の方と交流したり、やりたいことはいっぱいです。その全てを語り「ぜひ一緒にやりましょう」となりました。

 

場所は万世橋の交差点を渡ったらすぐ。社協のフロアは6階で、そのベランダから眼下に中央線が走っています。まずはこの見晴らしを、子どもたちに体験させたいと思います。今日14日(月)から東京も梅雨に入りました。お出かけ先の一つになるといいですね。

「おとといの富士 あさってのブルーライト」展示は6/25まで

2021/06/13

昨日でも明日でもない間(あわい)の光景。そのもう一つの、別のアーティストによる作品群もまた、海老原商店に溶け込んでいるような展示になっていました。作者の林俊さんからは、かなり長い時間、作品の背景や意図などの説明を聞かせてもらいました。

こちらも秋山さんと同様にボンベが登場します。でも本物のボンベもあります。林さんは実家がガス屋さんだったそうで、幼少の頃から、ボンベを運ぶ台車に乗せてもらって遊んでいたそうな。ボンベとボンベがぶつかる音を毎日聞いて育った林少年は、それが運ばれ、管で繋がれ、ボンベの中身と使う場所とのつながり具合のようなものが作品のモチーフになっていった、のかもしれません。

林さんの話を聞いているうちに、私たちは誰もが自分と他者を隔てている境目を、無意識のうちに持つようになるが、それが身体の皮膚が境目であるという思い込みがどこから来たののだろう、と勝手なことを想像し始めてしまった。どうも人によってその境目は「扉のこちら側と向こう側」のような関係になっていて、その境目と感じるイメージも、時間を遡っていくと、かなり個人的な世界の深みにハマっていってしまいそうなイメージがわきおこってくる。

林さんには、その境目に美しさを感じるようで、ボンベが錆びてしまっている箇所だったり、朽ちて壊れた破片が落ちてしまったり、割れてしまったりしたものを、もう一度気持ちのいい「かたち」にコラージュしてしまう。作品は扉が壊れまた再生されている途上のようなあわいを、固定していました。というわけで、海老原商店そのものが、コラージュされるキャンパス自体になっているので、作品と展示会場の境目がわからない。そこが面白い。

昨年秋、歯科の山本先生にミニ講座を開いてもらった、1階の畳の和室が、床が剥がされて、まるで工事中かのような風景になっていたのですが、それが作品でした。林さんは、ステレオタイプ化された社会問題の「枠」ではなく、あくまでも個人的な実存の問題としての「枠」をモチーフにしているように感じました。

2階にあがると、壁に飾られたオブジェがしつらえてあって、それも壁と融合しているのですが、その美しさのままでいてほしい空間に仕上がっているのでした。

 

「おとといの富士 あさってのブルーライト」

2021/06/13

ここに「勿体」がある。

勿体とは、物体のことであり、物質の本質、物事のあるべき姿といった意味だったものから、それを損なうことを「勿体ない」というようになったし、一方で尊大なものや、大袈裟なものも意味するようになり、「勿体つける」という言い方もある。

という言葉の意味を踏まえて、この作品には「勿体」と書いてあるわけです。これは勿体です、と自己表示してあるのですが、形はボンベです。ガスボンベの中身がどんなガスかはわからないのですが、ガスですから見えません。でもその容器であるガスボンベに勿体と書いてあるということは、見えないガスを大事にしてね、という意味かな?と想像したりしていました。

すると、このボンベは全部、蜜蝋でできているというではありませんか。匂ってみると確かにロウの匂いがします。大事なのは中身じゃなくて、この蜜蝋でできた容器そのものの方にしか意識が向かわなくなりました。

それはそうです。それが作品なのですから。ペンケースのような形をしたカラフルな容器から、床の間のサイズを実測して作られた巨大な直方体にしても、すべて蜜蝋でできています。それだけでも圧巻です。

作品はあたかも、古民家の床や畳や棚に無造作に置かれているようでいながら、しばらくいると、ずしっとした人体のような重さを感じてしまうのは、柔らかな素肌のような鈍い光だからでしょう、海老原商店の空間と均衡関係をつくりながら、「そうか、勿体はこの海老原商店自体がキャンパスだと思えば、この蜜蝋は絵具の位置にあるのか」と気付くのです。

そう、この作品はオブジェでもスカルプチャーでもなく、絵画なんだそうです。

これを作成したアーティストの秋山珠理さんは、6月11日夕刻のトークタイムで、エキゾチックな雰囲気で語ってくださいました。

「作っているときは、肌も髪も蝋まみれになって」「よくある表現って、どうしても何か貼り付けている感じがあるけど、蜜蝋にはその境目がどこかわからない」「センセーショナルなものがないとアートたりえないとしたら」・・・

自身の口から語られる言葉を瞬間凍結させながら、何もないのかもしれないことを過去のものにしながらも保存される容器に、なぜか郷愁とエキゾチズムとエロティズムを古民家空間で表出させているのです。

そうか、だから今と昨日と明日がないのか。そんな鮮明な時間はここには似合わないから「おとといの富士 あさってのブルーライト」なんだろうか。このことに気づかないと、もったいないってことか。

プールを組み立ててもらいました

2021/06/12

夏の保育に向けて準備を始めていますが、今日はお父さんたちのご協力を得て、屋上にプールを設置しました。ありがとうございました。

また目隠し用のネットを、屋上と1階2階のベランダにも取り付けて頂きました。

これで夏のプール開きはいつでもOK。関東の梅雨入りはこれからですが、暑い日もありますので、ベランダや屋上で涼を取りやすくなります。

自分のお昼寝を知る

2021/06/11

子どもが自立していくことを支えることが子育てです。保育園の「ねらい」にも、「支え合って生活するために、自立心を育て」(人間関係)ることが、大切にされています。その自立心ですが、自分で自分のことをよく知ることが基本になります。そんな自分が好きだ、自分をケアしよう、大切にしよう、そんな気持ちが育つことが、自分を大切にすることつながっていきます。自分のことを愛して大切にすることが、他人を大切にすることと共鳴しあっていくのです。

で、なんの話かというと、睡眠です。自分がどれくらい寝る必要があるのか、それに気づき、寝ることを望ましいものとして納得していくこと。前向きに受け入れていくこと、自分から寝ることに抵抗感を抱かないこと、そんな心もちを支えたくて、今週から始めたことがあります。それが、わいらんすい(3歳4歳5歳)で始めた「睡眠確認マグネット表」(からだをやすめる ぞーんひょう)です。

自分が寝る必要があるなら「おふとんでひるねをする」に、顔写真マグネットを移します。眠らなくても横になって心身を休める必要があるなら「しずかにごろごろしてすごす」に、移します。そして、眠る必要がない子は「しずかにえほんをよんですごす」に移します。起きていても、まだ活発に運動するようなことはしません。部分的には休息の時間でもあります。

このお昼寝ゾーンの表は、この3つを子どもが「選ぶ」というよりも、自分の状態がどうなのかを確認する、午睡へ気持ちを切り替えるきっかけにすることがねらいです。マグネットを具体的に動かすことで、意識の切り替えがスムーズになることを「支える」物的環境ツールです。

睡眠は夜の睡眠が本来のものです。少しわかりにくいかもしれませんが、昼間の午睡の取り方は、夜の睡眠の質を高めるためのものです。夜10〜11時間ぐらい、しっかり寝ることができているか、それに向けて午睡の在り方が、一人ひとり違います。決して足し算ではありません。「午睡は夜の睡眠の準備体操」と例えて言われることがあります。年齢で区切るということでもなくて、一人一人の発達、育ちの実態に応じて対応します。

朝7時に起きるなら夜8時に寝ないと11時間になりません。夜9時に寝るなら朝7時起床でやっと10時間です。夜10時だと9時間しか取れません。じゃあ、朝8時に起きればいいかというと、小学校ではすでに学校のいる時刻です。それまで朝食、排便を済ませておくことを考えると、小さいうちから遅くとも7時までの起床を習慣にしてあげないと、1時間の体内時計をずらすのはとても苦労します。

ただ個人差もあります。一律に当てはめるということもよくありません。その辺りも含めて、保護者のみまさんと話し合いながら、望ましい生活リズムを整えていってあげたいと思います。

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