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園長の日記

子どもは絵本を絵で読んでいる

2020/10/15

◆子どもは絵本を絵で「よんで」いる

昨日水曜日は、もうお馴染みの福田さんによる絵本の読み聞かせがありました。福田さんがにこにこの部屋に入ると、丸いテーブルにさ〜っと集まってきます。2冊の絵本を読んでもらうと、別れを惜しむかのように、いつまでも離しません。タッチしてもらったり、絵本を読んでもらったことへのお礼なのか、お店屋さんごっこの食べ物を「は〜い、どうぞ」していました。

3歳4歳のわいらんの幼児には『ムカムカ ドッカーン』絵本を読んでもらいました。帯には「怒りと上手につきあう方法が物語で学べます」とあります。アンガーマネジメントの絵本なのです。このテーマの本は結構あるのですが、子ども向けの絵本も登場しています。

実はヒトは感情をコントロールする感受性のピークが満1歳ごろにくるのですが、幼児になっても怒りを制御できにくい時代になっているのは、核家族になって乳児の頃からの乳児同士の関わりが減っているからです。保育園にはそれができます。自己主張のぶつかり合いがしっかり体験できるのが、せいがの環境なのです。もう一冊は昔話の『はなたれこぞうさま』でした。

ところで、文字が読めるようになると、大人は絵本を文字で「読んで」しまいがちです。絵よりも文字で意味を理解しようとします。しかし本来、子どもは絵本を絵でよみます。「ああ、文字が読めるようになって残念。絵本を文字で読んで、絵を読まなくなってしまうから」。うちの保育園の先生から今日こんな話を聞きました。こんな素敵なことを話す保育士さんがいらっしゃったそうです。

絵でお話を理解しているベースの上に、読み聞かせてくれる大人の声が重なってくるのです。ですから、いい絵本は絵で物語がわかるものです。それが分かりにくいと子どもには「面白くない」と感じる時期があります。ひとりで絵本を楽しむ姿が保育園には結構多くあります。その子なりの「絵解き」の楽しみがあるようです。

初めての浜町公園

2020/10/14

◆ああ、楽しかった!

玄関で「わらすさん、おかえりなさ〜い。浜町公園、先生もいきたかったなあ」と私がいうと、即座に「楽しかったよ」と何人もの返事が返ってきました。Sくんは「楽しかった。長い滑り台があった。緑色だった」と目を輝かせていました。

初めての浜町公園。わいらんすいの幼児組が全員でバスに乗って行って遊んできました。その報告はわらすさんのブログをご覧いただくとして、帰ってきた子どもたちは、新しい公園がとても新鮮だったようです。

「そんな話を日記で書こうかな」と担任の先生にいうと、それをそばで聞いていたKHちゃんが「あたしの?」というので「そうだよ、楽しかった、って言っていたよね」「うん」と嬉しそうです。ほんとに楽しかったみたいです。これからも行くことになりそうですね。ぜひご家族でも、一緒に連れ立って出かけてみてはいかがでしょうか。

地下鉄日比谷線で「御徒町公園」へ出かけます

2020/10/13

 

日比谷線の秋葉原駅( 和泉橋を渡ってすぐ)から一駅の仲御徒町駅すぐのところに「御徒町公園」があります。この公園は「広さ」と「新しい遊具」を備えた使いやすい公園です。電車を使うと公園まで10〜15分ぐらいで着く便利なところなので、季節のいいこの10月から日常的に使うことにしました。

コロナ対策として千代田区と共に調査した結果、電車や駅、ホームは園外保育で使う午前10時以降は混んでおらず、「密にならない」ことを確認しました。

保育園の園庭の代わりの公園は「佐久間公園」ですが、その近くの「和泉公園」にしても園からやや遠いため、同じくらいの時間で行ける「御徒町公園」も園外活動の場に加えます。

日比谷線で御徒町公園へ(ポスター)

懐かしくも新鮮な伝承遊びスタート

2020/10/12

「わあ、懐かしい」。お迎えのときに、何人かのお母さんが言いました。どんぐりでヤジロベーを作っていたときです。懐かしいという感想をいただいて、やってよかったなあと嬉しくなりました。

幼少の頃の遊びを思い出すと、そのときの情景も一緒に蘇るものですが、先週から始まったわいらんすい(3〜5歳)での「伝承遊び」は、子どもたちには、新鮮な新しい遊びです。朝の会でJくんが「伝承ってなあに?」と言っていました。先週はどんぐりでコマを作って遊んでいます。今週からは、毎日5〜6人ぐらい、ヤジロベーを作っています。そして夕方からは駒台も出して「こま回し」も始まりました。

ヤジロベーを作っていると、子どもが面白い!と思うツボと出合えます。それはちょうどバランスよく「たつ」という瞬間です。3つのどんぐりと竹ひごで作るのですが、支える支点の位置は、重心よりも上にしないと安定しません。また上から見て3つのどんぐりが一直線に並ばないと、軸が傾きます。これらの条件を満たさないとバランスしません。子どもたちは、そんなことを話しながら作りました。

平均台を渡るときに手を広げる方が渡りやすいこと、積木は揺らすと倒れるのに、ヤジロベーは揺らしても倒れないこと。そんなことを気づく子がいるかもしれません。また、あまり意識しすぎる必要もないのですが、回転する物体は倒れないジャイロ効果や、支点、重心などの意味をあとで学ぶとき、こうした遊びを感覚的に体験していると、理解しやすいということもあるでしょう。

藤森統括園長はこのあたりのことを意図して保育しましょうと、このほど「STEM保育」の団体を立ち上げました。この保育方針を、園生活の中にも取り入れていきたいと思います。

 

アートで心の洗濯しませんか!

2020/10/11

柳原通りは昔、服屋さんがずらりと並んでいたそうです。その風情を残す貴重な建物が「海老原商店」です。そこで、昔ながらのタライと洗濯板で服を洗って干して・・そんな “ 昭和な体験 ” を通して、心も洗濯してみませんか?そんなイベントが10月17日、18日に開かれます。服と水をぶつけて音楽も奏でてみようというのですから、面白そうです。アーティスト西尾美也さんの企画です。このイベントは、コロナ禍で来年度に延期になった「東京ビエンナーレ」(2年に一度開く東京都のアートイベント)の一環で、プレイベントになります。

20201008 感覚の洗濯

 

歯科医山本先生のミニ講話より

2020/10/10

スズムシの鳴き声がしなくなった虫カゴには卵がたくさん生まれています。玄関の水鉢には数10匹の赤ちゃんザリガニがいます。命はこうして次の世代に受け継がれています。季節は確実に移っています。

台風14号が進路を南へ変えた今日10日(土)、終日、保育室の環境を整備をしました。そして皆さんからのアンケートを熟読しました。保育参観を通じて子どもたちの生活を確認していただいていますが、私たちも、今月以降の保育や行事の計画を見直しています。

今週は保育参観の3日目に園の歯科医師、山本先生にミニ講話をしていただきました。「保護者の皆さんにご挨拶したい」とおっしゃっていたのですが、その通り、ご家族のことも含めた自己紹介もたっぷりと「予防歯科の大切さ」を詳しく説明してくださいました。普通お医者さんにかかるのは病気になってからですが、歯医者さんは「虫歯になる前に、予防のために年4回は通う習慣を」「子どもが歯医者さんが好きになるには、まず親がかかりつけの歯医者さんに子どもを連れていきましょう」という話にナルホド!と思いました。

話は変わって、警視庁から異例の通達が届きました。幼児の交通事故が発生しているので注意してほしいというものです。ポスターもあるので「園からのニュース」でお知らせします。

海老原商店からもアート情報が届きましたので、こちらもお知らせします。

育ちに合わせて変わる環境

2020/10/09

人は練習を重ねると何につけ上手になります。いわゆるスキルが向上します。それと同じことは子どもの遊びにもあります。どのクラスの子どもたちもそれが向上しているので、全体的にやることが高度になってきました。それに合わせて、過ごす空間も、扱う物も、そして人的環境も少しずつ変わってきました。

例えばちっち。歩ける子どもたちが多いので匍匐室にも立って遊べるマグネット遊具が壁にできました。これで手先の巧緻性や造形力も育まれます。ぐんぐんは見立てる世界が広がって「ごっこ遊び」の種類が増えてきました。にこにこは「お話の世界」が一気に増えて、動物など何かになったつもりの遊びに興じています。わいわいはぞれぞれの興味の対象が多様化しています。ゾーンの選び方にも個性が現れています。らんらんは、ぞれぞれの探求が深まっており、そのこだわりぶりには目を見張るものがあります。すいすいは心も体も常に「その先」を目指しています。これまで保育園になかった環境が必要になってきました。

そういう視点で今週を振り返ると、運動ゾーンのネットは過去にないほど高く張っています。

今日はネットの高さを3つのグループで変えました。夏のプールが水の深さで「イルカグループ」や「カニグループ」に分かれたように、ネットの高さで蜘蛛の巣のように天井に並行に貼った「クモグループ」と、低いところから高いところまで、大木に開いた丸い穴のように貼った「小リスグループ」に分かれました。つまり、運動遊びの習熟度別選択が明瞭になってきたのです。

スキルの向上はダンスにも現れました。今日は青木尚哉さんのダンサーグループの「いずみさん」と「ももこさん」が来てくださり、体を動かして遊びましたが、その楽しそうな様子の中に、これまでにない意欲と自由な発想を感じました。

自由に体を動かしていいと言われて、自由に動かせるものではないのですが、それを思い思いのアイデアでやっている姿を見ていると、「創造力」が生まれている具体的な場面を見ているかのようでした。

確実に成長している子どもたち。それに応えるために環境の再構成は続きます。

3日目の保育参観〜子どものやりたいことを形にしながら

2020/10/08

 

子どもは「やりたいこと」が細部まで決まっているわけではありません。最も多い「やりたい」の中身は、昨日までの遊びの続きです。あれが面白かったから、今日もそれをやりたい!という思いです。さらに、その思いを強くするのは、やっている間にさらに新しい面白いことがあって、もっとそれをやりたいという気持ちになるようになるときです。これを「遊びの展開」と言います。あるいは一般的に「遊びが豊かになる」という言い方で表現する人が多いかもしれません。

例えば、先週末にわいわい(3歳)らんらん(4歳)が木場公園でどんぐりを拾ってきました。どんぐり拾いはそれだけで楽しい遊びだったわけですが、そのどんぐりが、今は「こま遊び」につながっています。今後は動物マスコットやヤジロベー、アクセサリー(ネックレスやブローチなど)の材料になるかもしれません。また、どんぐりが発芽して「どんぐりの木」の苗になるかもしれません。

ちっちぐんぐんの部屋にどんぐりのモビールを飾っていたら、子どもたちが自然発生的に「♫ どんぐりころころ〜」の合唱が始まりました。ちょっとびっくりしました。こんなにはっきりとした声で歌えるようになったんだな、と。しかも「ああ、どんぐりだ〜、嬉しいなあ〜」という気持ちが伝わってきました。

まだ赤ちゃんのMちゃんに先生が「どんぐりころころ〜」と歌ってあげると、ちゃんと一緒に歌います。以下の( )のところは、声にはならないのですが、最後の一音のところだけは、しっかり声がでていました。こんな具合です。

♫(どんぐりころころ、どんぶり)「こ〜」、

♫(小池にはまって、さあ、たい)「へん!」

♫(ドジョウが出てきて、こんにち)「は〜」、

♫(ぼっちゃん、いっしょに、遊びま)「しょ〜」

ちゃんと「頭の中では歌っているんだなあ〜」ということがよくわかります。

先生たちに「Mちゃん、お歌が上手だね」と褒められていました。

 

保育参観の定点観測だけからは見えにくいのが「保育のプロセス」ですが、このように遊びの展開の中に、子どもの育ちが見えてくることがあります。

ちっち(0歳)やぐんぐん(1歳)は、毎日いろいろな季節の歌を歌っているのですが、大好きな歌があると「また歌って!」「もっと歌って!」と先生にせがみます。ぐんぐんの先生によると、Rくんは今日、泣きながらリクエストしていた歌があったそうです。それは彼が大好きな「はたらくクルマ」です。きっと歌が大好きな子どもたちに育つことでしょう。

今日の午前中の、わいわい(3歳)3人との運動遊びでも、自然とどんぐりが登場しました。子どもたちが「リス」になりたいというので、木の枝に大きな木の葉(マット)を置いてあげると、それが「リスのお家」になりました。そして、寒い冬の備えのために、お手玉がどんぐりや木の実になって、それをせっせと集め始めました。登ったり降りたり、大忙しのリスの子どもたちでした。(もちろん、併せて、すごい運動量でした)

稲作が始まる前まで、1万年以上続いた縄文時代は主要な栄養源だったどんぐり。こんなに長く、ずっと日本人のそばにあるどんぐり。まだまだ、深堀してみたい素材でもあるどんぐりですが、せめてその入り口に出会わせておいてあげたいと思います。

 

2日目の保育参観〜室内遊びを通して

2020/10/07

3歳児クラスの子どもたちと体を動かして遊んでいるときに、その遊びに意味を考えながら保育をしている自分に違和感を感じてしまう瞬間というものがあります。そんなものを抜きにして、楽しいものは楽しい!と、ただ没頭して遊べばいいのかもしれませんが、私はそうは思わないのです。楽しければいいんだという誘惑に負けてはいけないのです。それは必要条件であっても、十分条件ではないと考える推進力が必要なのでしょう。

やっぱり、より好ましいと思える遊びに近づけるための「思考」を放棄してはならないし、やりながらでもその都度、自分のやっていること、子どもが経験していることをモニタリングしながら行為していることが必要だと考えています。

このことは、きっと、この日記のどこかで「反省的実践家」の話をしているはずなのですが、子どもの運動遊びひとつにしても、子どもの動機に働きかける仕掛けや環境や、安全に気を付ける配慮や、これまでの流れからつながりを持たせる展開とか、いろいろな視点を組み合わせながら保育をすることになります。

やっていることは間違いなく遊びなのですが、その中に、いかに幼児期に必要な運動を盛り込めるか。しかも子ども自らが発見していく創意工夫の遊びに付き添いながら、どうやって展開するか、そこに保育の醍醐味があるような気がします。

 

保育参観で見えるもの

2020/10/06

今日は保育参観の1日目でした(と、同時に今年度は初めての保育参観でした)。・・・うちの子はどんな風に生活しているのだろう? お友達とは仲良くやれているだろうか? 保育園を楽しんでいるだろうか? 嫌な思いはしていないだうか?・・いろんな「?」を保護者の皆さんはお持ちかもしれません。そんな「?」の謎が、保育参観で少しでも解けるようになるといいのですが、いかがだったでしょうか。お子さんの様子をじっくりとご覧いただけたでしょうか。

保育では「見える」ということがよくテーマになります。それをよく「子ども理解」といいます。人(研究者)によっては「保育は子ども理解に始まり子ども理解に終わる」とさえ言われます。始まりと終わりの間には何があるのかというと、「保育のプロセスがある」というわけです。

保育参観は、一日、しかも数時間ですから、ある意味で定点観測のようなものです。それでも、どんな風に過ごしているか想像していたものに、かなり多くの情報が新たに加わったのではないでしょうか。「こんな毎日の積み重ねなんだな」と理解してもらえると思います。

数ヶ月おきに定点観測してもらうと、その前の時の姿に比べて、「おしゃべりが上手くなった」「絵本を食い入るようにみていた」「家で歌っていたのは、この歌だったんだな」「積木をあんなに高く積めるようになったのか」「クライミングに登れるようになったんだな」・・などなど、いろいろ変化がよくわかるでしょう。毎日一緒にいると見えにくい小さな変化の積み重ねも、間を置いて見るとその大きな変化に驚くことがよくあります。

その一方で、毎日一緒に生活しているからこそ、よく見えることもあります。それは、保育のプロセスをみているからです。そうなった結果については、必ず原因があります。あのこときはこうだったけど、今はこうなった。それはこんな「経験」があったから、という繋がりのところ(因果関係や相関関係に近いもの)を意識しているからです。今日のわらすのブログにあるように、子どもが自分の感情を自覚できるようになってきた育ちに担任が気づいています。そして、その育ちに大きな成長を感じとっています。子どもの姿の「よさ」を担任は伝えたいと思っています。見ることだけでは見えないことが子ども理解にはたくさん含まれています。

保育は今の「子どもの姿」になるために、意図して環境を整え、それを通して経験することを計画しています。さらには、子どもたちの少し先の「未来」も想像します。「もうすぐきっとこんな絵を描くようになるだろう」「こんなパズルを完成させるようになるだろう」そんなことを期待しながら生活を作っています。

今回の保育参観は、コロナ対策で密を避けるために、参観数をほぼ均等にさせていただきました。そのため希望通りにならなかったかもしれませんが、ご了承ください。また保育園で見せてくれる姿をどう見るか、担任の見方を通した子どもの見方も、ぜひ参考になさってみてください。

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