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園長の日記

正統な文化と真性の学びに向けて

2019/11/10

◆姉妹園との交流は「新宿せいが子ども園」を中心に

今週の大きな動きは、姉妹園との交流です。5日、高田馬場にある「新宿せいが子ども園」へ、らんらん組が出かけてきました(詳しくは、11/7付わらすのブログや園長の日記をご覧ください)。

開園する前から何人かの保護者の方からお尋ねのあった活動です。千代田せいが保育園に限らず、新しい開設園は年長組の子が入園して来ないことが多いので、年長さんとの交流の機会があるかどうかを含めた質問がありました。一つの大きなテーマになっていました。

10月には八王子市の「せいがの森こども園」へ行ってきましたが、新宿せいが子ども園へ行ってみると、比較的近いことや、都内でありながら自然も多い「おとめ山公園」で遊べること、その公園で園児との交流もやりやすいことなどから、新宿との交流を今後ふやしていきたいと思います。

◆運動の秋、実りの秋、芸術の秋・・

運動会が終わると、今度はなぜだか精神的ものへの欲求が浮上してきます。芸術の秋です。それを意識させてくれるのがまず自然の景色です。特に戸外へ出かけると、子どもが落ち葉や樹木の変化に気づき、その美しさを教えてくれます(11/5付わらすのブログをご覧ください)。来週13日は「紅葉」を楽しむために2歳児にこにこ組以上で「北の丸公園」へ出かける予定です。

運動会が終わると、と言いましたが、実は千代田せいが保育園が選んでいる運動は、できるだけ「正統的なもの」を選んでいます。鬼ごっこは奈良や平安時代に遡る「子取ろ子取ろ」が原点ですし、五穀豊穣を祈願する儀式でした。全く同様に大相撲も伝説とて有名な「宿禰(すくね)と蹶速(けはや)の天覧相撲」にみられるように、その年の農作物の収穫を占う宮廷の行事でした。いずれも「実りの秋」と深い関係があるのです。(ちなみに大相撲1月場所(両国)の先行抽選申込開始が本日11月10日からです)

こうした「日本」をよく知っておくことが、国際化している現代社会で必要なことであり外国語が「話せる」ようになることと同時に必要な、あるいはもっと大切なことかもしれません。ちなみにラグビーの歴史は、大英帝国の植民地支配の歴史と不可分であることも、同時に頭に入れておきたいことです。天皇陛下に祝意を込めて行う万歳三唱は軍国主義化していく明治時代にできたもので、それ以前にはありません。3歳までは親が育てるという子育て観が「神話」でしかないことも厚生労働省が白書で認めています。私たちが「常識」や「普通」と思っていることが、意外にすごく短い歴史しか持っていなこと、その成立のきっかけを知っておくことはとても大切です。

◆ハロウィンやクリスマスは?

保育園で取り上げる伝統行事は、地域で体験できるものなら、同じ内容を園で取り上げる必要はないだろうと考えています。ただ乳幼児が体験しやすいようにアレンジすることは大いにあります。でも、日本人は海外の動向を敏感に輸入して換骨奪胎して日本風にアレンジしてしまうのが特徴なので(明太子スパゲティのように)、ハロウィンもクリスマスもその宗教的背景は無視して、表面的なブームだけが定着してしまっています。それは否定しませんし、大いに楽しみたいですが、やはり「文化背景は知っておく」ことが、その文化の発祥地へのリスペクトではないでしょうか。

◆お楽しみ会は子どもの言葉や表現の成長を喜ぶ機会に

実りの秋は、子どもの成長を感じる秋でもあります。秋というよりももはや冬ですが、お楽しみ会(12月7日)は、子どもたちが楽しんでいる世界を、もう一度表して味わいたいという衝動に基づくものになるでしょう。

(お客さんに「これ、見て、蝶々になるんだよ」と教えてあげることも、表象行動の1つです。指をさして名前を伝える「言葉」の発達を促します。)

◆表象行為としての「お楽しみ会」の意味

私は5年ほど前に、放送大学で「表象文化研究」を受講しました。ミッシェル・フーコーの『言葉と物』の解説から始まる15回シリーズです。ここからは、それを踏まえた説明になりますので、飛ばして読んで下さって結構です。子どもと大人も、人間は世界から感じたことを表現したがります。文字、書字、文章、本、雑誌、写真、絵本、短歌、和歌、詩、歌、曲、楽器演奏、雅楽、絵、アニメ、映画、劇、演劇、歌舞伎、能、浄瑠璃、ダンス、舞踏、オペラ、料理・・要するにキリがないのですが、これらは人間だけの営みです。文化の一つです。目の前にあらわにする事を人文科学の世界ではRepresentation「リプレゼンテーション」と言います。

語源はラテン語ですが、わかりやすく、その英語で説明してます。英語はプレゼントです。「目の前にあらわになること」「現前する事」という意味です。そこから日本では「贈答品」「人にあげるもの」という意味に転用されて使われています。本来は目の前にあらわにする事です。

それに「リ」がつくので、「もう一度、あらわにすること」つまり「再現」です。英語の「リプレゼンテーション」が大正時代から昭和初期にかけて哲学者たちが「表象」とか「象徴」と訳しました。西尾幹二はショーペンハウエルの書を「意思と表象としての世界」と訳しました。その「表象」です。ドイツ語はvorstellungです。

実は遊びも表象行為なのです。どういうことかというと、何か心動かされることがあると、人はそれをもう一度味わいたいと思うようにできているのです。私は昨日の「国民祭典」の奉祝曲に感動して、うちの職員にすぐにラインしてしまいました。「もう一度聞きたい、一緒にそれを歌いたい、味わいたい」という衝動です。

運動会で我が子をビデオに収めたいという心の中には、何が隠されていますか。それはもう一度、再現して味わいたいからでしょう。その心の動き方がRepresentationの原動力なのです。

楽しかった、面白かった、感動した・・・そうしたものを子どもたちは経験すると、それを再現したいのです。本質は同じ「リプレゼンテーション」です。積み木で「ブッブー」と車を走らせたり、スカイツリーを積み木で作ったり、おもちゃの電車を走らせたり、折り紙でカブトムシやゾウを折ってみたり、RaQで恐竜を作ったり、粘土で蝶を作ったりしているのです。運動会が楽しかったから、またやってみたい。園の給食が美味しかったから、おうちでも作って欲しい。お相撲さんが強かったからまた来てもらいたい。この絵本を読んで、あの図鑑を一緒に見よう、金魚に餌をあげたい・・こうした子どもたちの衝動の源になっているのは、「再現欲求」なのです。

お楽しみ会では、そうした遊びや生活の中で「読んで欲しい、歌ってみたい、演じてみたい、話をしたい」などの再現欲求を汲み取りかがら作り上げていくことになります。大人が「絵本」や「制作」や「積み木」や「ブロック」などと手段を分類して分けておいていますが、その本質においては、いわゆる「模倣」であり「再現」を楽しんでいるという意味では同じことをしていると言えるのです。

そこで大切な事は、それをやりたいと日ごろから本当に楽しんでいることか、と言うことです。それを見てもらったことが楽しい、またやりたい、と思えるようなお楽しみ会にならなければなりません。

 

◆いい絵本、優れた物語、真性の学びへ

さて、長い遠回りの説明をしてきましたが、なぜそれを伝えたかったかというと、先に真性の体験、優れたものの体験、正統な文化体験を味わって欲しいからなのです。例えて言えば、子どもの食べ物には、いろんな添加物が入ったり合成着色料や保存料が多く入ったものは与えたくないでしょう?それと同じです。子どもが接する文化にも、まがい物は与えたくないでしょう?体にいいものがあるように、心にもいいものがあるのです。

私たちは、それをきちんと調べて探さないと、騙されやすい時代の中を生きています。千代田せいが保育園という船は、これからも、きちんとした港に寄港するつもりです。船の乗りごごちについては、アンケートを取らせていただきますが、寄港予定の港の情報もおしらせください、例えば「あの港が子どもにはいいよ」というものがあれば大歓迎です。教えてください。

 

鬼ゴッター大会とファーマーズフェスタ

2019/11/09

◆第76回鬼ゴッター大会が開かれる

鬼ゴッターとは、「スポーツ鬼ごっこ」のプレイヤーのことです。鬼ごっこ協会が命名したもので、今日は午前中に港区の代々木公園で「第76回鬼ゴッター大会」が開かれました。参加者は15人で、その内6人は子どもたちです。

http://www.onigokko.or.jp/cn38/pg1626.html

◆秋空の気持ちのいい代々木公園

代々木公園は、いろいろな団体が集う都心のオアシスですね。小学生の団体、太極拳の愛好会、ダンスサークル、フロスビー競技団体、ウクレレを練習する小集団・・いろいろな団体が程よい距離をとって、それぞれ楽しんでいました。

その中の一つが「鬼ゴッター」たち。横浜の小学校の児童がやりたいからと、担任の先生を巻き込んで参加していました。鬼ごっこは、それに接すると教えなくとも子どもが本能的にやりたがる魅力を持っています。小学生が先生を誘って参加しているということが、そのことをよく物語っています。

鬼ごっこは、鬼と子が一対一の遊びの段階から、運動会でやった手つなぎ鬼や宝集め鬼ごっこのように、チームで作戦を立てたりコミュニケーションを図ったりしながら楽しむものまで、いろいろあります。そのチームで楽しむ鬼ごっこの特質をグッと凝縮して、シンプルな宝とり団体ゲームにアレンジしたものが「スポーツ鬼ごっこ」です。遊びとスポーツの良さが程よくブレンドされています。遊びの自由さ、勝負のあるスポーツらしい達成感、チームワークとコミュニケーションが求められる社会性、そしてこれからの教育の最大のキーワードと言われているアクティブラーニングの要素、これらが「スポーツ鬼ごっこ」には含まれています。

羽崎さんも来ていて「それを味わうには、今日のようなこじんまりとした大会が、最もやりやすいイベントですよ」と、千代田区での開催を協力してくれることになりました。

和泉公園か、どこかの体育館を借りて土曜日に開いてみるのはどうでしょう。ちょうど、わいらんの子どもたちが休みの日に一緒に遊びたがっているので、土曜日の午前中に土曜保育の子も、土曜休みの子も一緒に午前中に1〜2時間ほど遊ぶ機会を作ってみたいですね。協力してくださる方を募集します。千代田せいが主催「鬼ゴッター大会」を開きましょう。

◆シェア畑を借りよう!

午後は日比谷公園まで足を伸ばして、第10回ファーマーズ&キッズフェスタ2019をみてきました。

https://www.hibiyapark.info/2019/farmers-kids-festa-2019/

畑を貸してくれる「シェア畑」を展開している株式会社アグリメディアのブースに立ち寄ると、保育園にも畑を貸してくれるといいます。それは嬉しい。バスで出かけて農園体験できるかもしれません。また新しい地域の「園庭」ができるかもしれません。

◆りんご、柿、葉つき根菜やひょうたんを買う

ファーマーズフェスだけあって、全国から特徴のあるブースが色々出店していました。子どもたちに葉のついた野菜を見せてあげたいので、人参、かぶ、人参を買ってみました。秋らしい果物も。大きなひょうたんも手に入れました。装飾などに使ってみたいですね。

 

6ヶ月アンケート

2019/11/08

10月中旬に実施予定だった「6ヶ月アンケート」ですが、運動会と保育参観が終わってからにさせてもらいました。本日配布しました。PDF版をホームページにアップします。締め切りは11月22日、いい夫婦の日です。今回のアンケート内容は、国が保育の質について検討したまとめを踏まえています。パソコンやスマホで回答できる仕組みが間に合いませんでしたので、今回は紙でご提出ください。

開園6か月アンケート

 

よっつ!

2019/11/07

子どもの「一言」に育ちを感じる瞬間というものがあります。今日は朝から見学者が来たり、午後から「鬼ごっこ協会」に打ち合わせに行ったりしたので、子どもたちとは、昼食を共にするくらいしか接点を持てませんでした。

今日の主菜の「豚肉の香味(醤油麹)焼き」は、子どもに人気で、私も大好きですが、私が座るなり隣の年少のNKくんが「あ、ずるい、園長先生は2つある」といいます。子どものは基本1枚で、大人は2枚。それが不公平だと主張します。香味焼きが好きなんですね。「でも、Kちゃんと先生の体の大きさ、比べてごらんよ。こんなに違うでしょ」と身振りを付けて説明すると、笑って「そうか」といった顔をしています。

Kちゃんの隣の、年長のIKくんも香味焼きが好きなのか、小さく切られた豚肉のおかわりをもらった皿を私に、みせて「1234。4つ」といいます。私は「1234。いっぱいだね」と応えると、「(いっぱいじゃなくて)よっつ!」と、修正します。なるほど。4つは4つであって、いっぱいではない!というわけです。

ちょうど昨日の朝、2歳のにこにこのSちゃんと金魚の引っ越しをしたあとで、「金魚さんが、3匹になったね。いち、にい、さん」と数えたのでした。2歳児クラスの子たちの数は、3ぐらいまででよくて、私はそれい以上は「いっぱい」と、言っていたので、年長のIKくんにも、ついそう言ってしまって、サラリと修正されたのでした。

 

 

芝生広場で遊んだ木場公園

2019/11/06

◆木場公園は芝生の広場で駆け回る

気持ちのいい秋空の下、わいわい11人とらんらん9人で、木場公園へ出かけました。久しぶりに、広い芝生広場で遊びました。イチョウの木の下には銀杏がたくさん落ちていて、その匂いが拡がっていました。秋真っ只中は、香りからもわかります。

サッカーボールを使ってラグビーをする姿が見られたのが、木場公園ではこれまでにない姿です。

また鬼ごっこも楽しむ子も増えました。鬼を決めるときは、輪になって右足を一歩踏み出して「おにきめ おにきめ おにじゃないよ」と唱えながら「よ」のところの足の子は抜けていきます。最後に残った子が鬼です。

運動会でやった「宝集め」をやってみたのですが、わいらんだけでは、ちょっと難しかったようです。でも自分たちでルールを作り出そうとしていて、その話し合いも活発でした。

クロアゲハを見かけたのですが、この時期としては珍しい方でしょう。今年最後の目撃からもしれません。そのほかモンシロチョウや赤とんぼを追いかけて、捕まえていました。かなりの運動量だったと思います。

わいわい、らんらんそれぞれの発達段階にありますが、やりたいことを主張する子どもたちですが、その分だけケンカも頻発します。他愛のない理由が多いのですが、ちょっとしたことでもまだ手が出たり、おヘソを曲げて逃走、というパターンも見られます。

「先生見ていたから、わかっているよ。それをやりたかったんだよね」

「うん」とうなづいて、またお友達の方へ戻っていきます。

我慢強さや感情のコントロール力を育てるには、こうした経験の積み重ねがとっても大事。やりたいことがあるからこそ、自分で我慢しようとする気持ちが出てきます。ここにも自発性の原理があります。原っぱで繰り広げられるのは、運動面だけではなく、感情の体験でもあリます。

新宿せいが子ども園での交流

2019/11/05

年中組らんらんの姉妹園との交流は、10月17日の「せいがの森こども園」に続き、今日は「新宿せいが子ども園」へバスで出かけてきました。

今日のトピックスは園のすぐそばにある「おとめ山公園」での戸外遊びと、美味しかった中華料理の昼食、その後の「すいすい組」による雑巾掛けの素晴らしさ、そしてゾーン選択の話し合いの様子に大きな刺激を受けたことです。

◆マイクロバスで40分

新宿区下落合の「新宿せいが子ども園」は、最寄駅の「高田馬場」から歩いて10分ほどの住宅街にあります。大人だけなら岩本町から地下鉄東西線で20分、歩く時間を入れても35分ぐらいで行くことができますが、らんらん組なので今回はバス遠足にしました。9時10分に出発して到着が50分でした。

◆おとめ山公園で遊ぶ

今日参加したのは、らんらん組から8人。保育園で挨拶した後、早速「おとめ山公園」まで、新宿のすいすいさんに手を引いてもらいながら歩きました。

公園で遊び始めてすぐに気づいたのは、新宿の子たちは着くなり「ラグビー」を始めたのに対して、千代田の子たちは、滑り台やアスレチック遊具など、ひろばの周辺に並んでいる遊具に惹きつけられていました。それらを楽しんだ後で、公園の周辺や奥の方まで入って行きました。

公園中央の芝生で、ラグビーを一緒に楽しんでいたのはUくん。新宿の子どもたちの中に入って駆け回っていました。

木登りをしたり、どんぐりを集めたり、散策を楽しむ子もいました。10時過ぎから11時40分ごろまで、たっぷり1時間30分ぐらい外遊びを楽しみました。

◆美味しかったチャーハン

園に戻ると昼食です。新宿せいがは3〜5歳の幼児だけで90人いますので、食事をするダイニングも2階と3階の2箇所あります。

それぞれ特徴があって、2階はおしゃべりしながら賑やかに食事ができます。3階の方はおしゃべりはほどほどにして、静かに食事ができます。どちらを選ぶかは自由。千代田の子たちは賑やかな方は3人、静かな方は5人が選びました。千代田と同じように「いっぱい」「普通」「ちょっと」と、食べられる適量をついでもらいます。好きな場所を選んで座るのも同じです。同じテーブルにならずに、別れて座っていました。

◆食後の掃除をする様子に大きな刺激

姉妹園はどこでもやっているが、雑巾掛けです。これは両手をついて床に雑巾を掛けをすることで、全身の体幹を育てる優れた運動になっているだからです。

その様子を見せてもらうと、千代田の子たちも「やってみたい!」というので、真似してやってみました。雑巾の絞り方も教えてもらいました。

◆ゾーン遊びでどこを開くかの話し合いも見学

帰れるまでに少し時間があったので、どのゾーンを開くか、子どもたちだけで話し合いが始まりました。年長のリーダー役の2人が先生に指名されると前に出てきて話し合いの司会をします。「15分だけ、どこを開けますか」「守るルールはなんですか」などを問いかけて意見をまとめていきます。子どもが生活を作っていく主体者であること、子どもが生活の内容を決めることにコミットする権利があること。そうした理念の具体的な場面を見せてもらいました。

 

◆「子どもの心意気」が響き合う交流でした

千代田の子がいるからいいところを見せたい。そう感じさせる姿が見られました。新宿の子どもたちにとっても、張り切って頑張るいい機会になったようです。おとめ山公園まできてお見送りをしてくれました。さて、千代田のらんらんさんたちは、どう感じたでしょうか。それは明日以降の生活の中で、垣間見せてくれることでしょう。ぜひ、また訪問したいと思います。

江戸の遊び絵

2019/11/04

今日は「遊び」を「仕事」にしている大人のアートを見てきました。茅ヶ崎市立美術館で今日まで開かれていた「江戸の遊び絵づくし」です。

(歌川国芳「みかけはこわいが とんだいいひとだ」という題がついています。絵の左上には【大ぜいの 人がよって たかって とふと いい人をこしらへた とかく人のことは 人にしてもらわねば いい人には ならぬ】と添書き。)

千代田せいが保育園が、日本の出版文化の源である神田という庶民の江戸文化継承の地にある限り、浮世絵について取り上げないわけにはいきません。

浮世絵には名所絵、役者絵、美人画、芝居絵、春画など色々なジャンルがあります。その中でも、戯画と呼ばれる領域があるのですが、近年はいわゆる「面白浮世絵」「遊び絵」として注目されています。

(判じ絵。クイズのように遊んでいました。答は次の写真。)

例えば、人の姿を集めて顔になるだまし絵の一種である「寄せ絵」や、あの「へのへのもへじ」の源流とも言える「文字絵」、絵で言葉を表す「判じ絵」、刀の鞘に映すと絵になって見える「さや絵」など、遊び心満点の浮世絵がたくさんあります。そこには「江戸っ子の機知とユーモア」(中右瑛)に溢れていました。

(歌川貞景  五子十童図 ごしじゅうどうのず 【頭は5人分しかありませんが、視点をずらすとあら不思議、10人いるではありませんか】)

これは「影法師づくし」。影絵遊びですが、種明かしすると、「へぇ、まぁ、わぁ、」っと思う、面白い組み合わせだったりします。それを一枚にしたものです。

子どもたちにもその面白さを感じてもらいたいと思います。

 

善さの探求としての文化

2019/11/03

わんぱくすまいる保育園の運動会に行ってきました。千代田せいがの運動会にお相撲さんを連れてきていただいた今田賢二理事長の保育園です。

他の法人の運動会をみる機会はあまりありません。というのは、大体どの園も9月末から10月中旬までの同じ時期に実施することが多いこと、そして法人内の姉妹園に行くことが優先されるからです。

しかし今回、他の法人の運動会を見学できたのは、11月3日の文化の日という、運動会のシーズンとしては遅い時期に実施するからです。この時期になったのは台風19号の影響です。色々参考になりました。

千代田せいがと同じように子ども主体の保育理念を目指している園ですが、実際の保育や行事は異なるものです。わんぱくすまいる保育園も、親子で一緒に運動を楽しむ演目が多いのは似ていましたが、行事の位置付けは異なりました。それは当然のことです。子どもや保護者の実態、地域の特徴、園の歴史などが異なるからです。

運動会を見たあと、江戸川まで行ったので、ついでに船橋まで足を伸ばして買い物をしてきました。北欧の福祉国家でデザイン立国スウェーデンの家具です。

1階の倉庫でお目当の番号の家具を、そびえ立つ棚の中から探しているとき、この店のような大規模な倉庫型ストアがヨーロッパには多くあって、旧東ドイツの大型店を舞台にしたドイツ映画「希望の灯り」を思い出しました。あの高い棚に荷物を上げ下げするリフトを操る倉庫係の青年が主人公の映画です。

今日は「文化の日」でした。日本国憲法が公布された日ですが、明治時代は天長節、昭和初期は明治節として明治天皇の誕生日を祝う日でした。通常、法令の公布や施行は1日なのですが、憲法の公布が1日ではなく3日なのは、どうしてでしょうか。旧憲法(大日本帝国憲法)は明治憲法ともいうのですから、明治天皇の誕生日に合わせたのでしょう。半年後が施行ですから5月3日が「憲法記念日」になっています。「文化の日」と「憲法記念日」はセットです。では、どうして「文化の日」という名前にしたのでしょうか? そこにはGHQの意向が働いたのですが、その話はまた今後。

http://www.archives.go.jp/result/?q=日本国憲法

 

なぜ「文化の日」という名前にしたのでしょう。国会審議を調べれば出てくるはずです。「どうしてなのか」ということを実際に探求している、私が知っている人を思い浮かべてみると、面白いことに気づきます。人によってそのアプローチが異なるのです。

その探求を過去の「文献」に向かう研究者もいれば、実際に「実験」をやってみなければ納得しない化学者や料理人もいます。私はわからないことは、知っているはずの人へ「取材」しに行きました。今起きていることが対象でしたから、まず第一情報源に確かめに行きます。沖縄の首里城火災の原因はなんだったのでしょう?

その人の考えを知りたくて、インタビューすることもあります。そして探求が「瞑想い」や「思索」になる人もいます。絵を描く人もいたり、曲を作る人もいます。世界がどうなっているのか「再現」するための表現が「表象」としての芸術です。

過去のことは、過去のことを表したものを探すか、その時生きていた人に聞きに行くしかありません。憲法制定に関わった人はもう生きていませんから、どうしても文献(書籍)になります。

保育はそれらとも違います。「子ども」は「自然の一部」なので、自然学者のアプローチに似ているところがあります。少し似ているのは、フィールドワークをする民俗学者や文化人類学者かもしれません。インタビューしても無理です。子どもは言葉では答えてくれませんから。

もう一つ「保育」が難しいのは、対象である「子ども」のことだけではなく、どうしたらよりよくなるのか、という「価値」の創造と不可分だからです。そこで私は「なぜ人間はより善いことを求めるのか」という教育哲学に踏み込んだのでした。

わんぱくすまいる保育園の運動会は、最後の演目が年長さんによる「よさこいソーラン」でした。それを終えた子どもたちの「やりきった!」という充実した表情は、めったにみることができない、素晴らしい子どもの顔でした。

子どもの成長にとって、どんな生活や経験がより善いのか、探求は果てしないですね。

 

 

子どもの育ちと自らの保育を振り返る

2019/11/02

(北の丸公園)

◆1週間を振り返る

毎週土曜日は一週間を振り返ってみることにしています。こんなことがあった、あんなこともあった。そして、こうしたのは良かったけど、それならこうしたらもっと良くなるだろう、そういう「新たな課題」を見つけることが楽しいからです。課題が楽しいというと、不可解に思うかもしれませんが、私のいう課題というのは、その時点から見える景色のことです。その景色を見ると「今度はあそこへ行ってみたい」と思うのです。ですから、どうやったらそこへ行けるかを考えることが楽しいのです。

◆課題とは「あそこへ行きたい」と思う私から見える景色

先週土曜日に親子で体を動かして遊ぶ運動会を終えました。外へ出かけたら「子どもが鬼ごっこをしたがる」ようになるのがねらいですから、その後がどうかが大切です。それに備えて、先生の鬼ごっこスキルをアップすること。それが私の見えている景色=課題です。そのための研修計画を羽崎さんと7日に打ち合わせます。

 

◆全ての赤ちゃんに夜はぐっすり眠ってほしいから

「子どもの早起きをすすめる」ことは、園児だけではなく、子育てをしている全ての家庭に伝えたい。それが私の見えている景色=課題です。そこで、9月のシンポジウムで知り合った睡眠のスペシャリスト永持伸子さんと月曜日に「海老原商店」で打ち合わました。すぐにチラシを作り、区に了承してもらい、11月22日に「赤ちゃんがぐっすり睡眠できるためのミニ講座」を開くことになりました。

(海老原商店の2階)

◆保育参観から、ぜひ保育体験へ

火曜日からは3日間の「保育参観」でした。二日目は園の中での生活に加えて「バス遠足」の様子もご覧いただきました。給食も少し試食してもらいました。隠れてみる保育参観から、今度はママ先生、パパ先生として保育を体験してみましょう。

 

幼児クラスなら子どもも大丈夫なのではないでしょうか。乳児の場合も最初はくっつくでしょうが、そこにいるとわかると、自分から離れて遊び始めるでしょう。子育て広場のようなつもりで、そばで過ごす我が子を見守ることができると思います。

◆感染症に気をつけたい時期

感染症が流行る時期に備えて「手洗いチェック」はどうでしたか。もうしばらく機械があるので、ぜひ試してみてください。昨日は、職員の健康診断だったのですが、これも職員の体調管理として不可欠なものです。

◆今日は秋の園外保育候補の下見

ところで、テレビの天気予報は「秋の紅葉」スポットを紹介しています。今日は午前中に「北の丸公園」へ行ってきました。日本武道館のちょっと奥に行くと、芝生と池と雑木林が広がる場所があります。11月中旬は紅葉が美しい場所です。イチョウ、モミジ、ケヤキ、ニシキギ、ハナミズキ、ハゼノキなどが見られます。池の鯉は手を叩くと寄ってきます。保育園から近いので、保育で出かけたいと思います。

◆科学技術館にも行ってみました

北の丸公園から竹橋の方へ下ると、科学技術館があります。明日11月3日まで「東京パズルデー」展をやっていて、私が行った時ちょうど「ルービック世界チャンピオン」中島悠さんが、華麗なる技を披露していました。キュービックを6回動かすのに1秒もかかりません。指の動きが速すぎて肉眼では見えません。

わい、らんの子どもたちが夢中のパズル「LaQ」もありました。

この遊具は、世界での受賞歴がいろいろある知育ブロックで、製造メーカーのヨシリツ(株)イベント事業部の方に、保育園にきてもらうことになりました。ただ予約が年度末までいっぱいだそうで、4月以降になるそうです。(そこはこれからの交渉次第!これも私の景色です!)

◆子どものアセスメントについて

先生たちは、園児一人ひとりの「成長」を、保育所保育指針の「ねらい及び内容」に沿って、全ての項目をチェックしています。これが自己評価です。

一般に保育では、自己評価の視点は2つです。「子どもの育ち」と「自らの保育」です。一つ目の「子どもの育ち」とは、子どもの成長のことです。子どもがこんな経験をしたけど、それによって、こういうところが成長してきたな、とか、こんなことを学んだな、とか。あるいは、どんなことができるようになったかとか、何を学んだか、何を身につけてきたか、ということです。

◆心情・意欲・態度の育ち

とくに注意したいのは、できた結果よりも、楽しい、嬉しい、面白いといった心情、その体験によって、もっとやりたい、またやりたいという意欲、そうした積み重ねから育つ心の姿勢としての心構え、そうした「心情・意欲・態度」がとても大切です。

この育ちの振り返りは、ある程度期間を置いて、一人ひとりをアセスメントします。乳児(0歳〜2歳)のちっちからにこにこは年に4回、幼児の3歳以上のわいらんすいの場合は年に3回実施しています。

子どもの様子を家庭と園からお互いに伝え合い、了解しあうことも大切ですよね。そのための個人面談や毎日の伝え合いを大切にしたいのです。担任と同じようにとはいきませんが、私もできるだけ子どもの姿を理解しておきたいと考えています。

◆保育の自己評価が大事

二つ目の「自らの保育」とは、私たちの保育のことです。そういう育ちに結びつくために、どんな保育をしたか、ということです。こちらは、その都度の振り返りから、日々の振り返り、週間、月間、期間、年間などがあります。節目節目で振り返ります。その積み重ねが子どもの成長を支えることになります。

子どもと毎日心を通わせているか。その時子どもの育ちについて何かの気づきがあるか。生活の展開、遊びの発展のために環境の再構成ができたか、人間関係の構築も促せたか。そのほかリスクマネジメントのチェックもあります。

 

 

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