MENU CLOSE
TEL

園長の日記

実りの秋を楽しみにして(園だより9月号巻頭言より)

2019/08/28

◆24時間は一生と同じ
「園長先生、園だよりの締め切りは明日ですよ」と言われて驚いて、慌ててこの巻頭言を書いています。こんな調子で目の前の課題が山積みで、がむしゃらに走ってきましたが、早くも半年の区切りとなる9月を迎えます。私は<一日24時間の中に人生の全てが詰まっている>と思っていますが、ボロボロと抜け落ちて失敗と反省ばかりしている毎日です。
◆子どもからの気づき
こうして私は不完全な生き物でしかないことを、いつも家族や子どもが思い出させてくれます。不思議ですね、子どもから教えてもらうことの方が多いなんて。それなのに子どもは大人になりたがっています。それを感じると「こんな大人でいいのかな」といつも恥ずかしくなってしまいます。
◆真似されても恥ずかしくないように
大人が勝手に決めて作っている社会の、未来への無責任さを思うと、ため息が出ます。特に日本では9月が子どもの自殺がもっとも多い月であることを思い出したり、国際社会の「国益主義」を突きつけられると、もっとしっかりしないといけないのは、大人の方であることは間違いありません。子どもに見られ、真似されて恥ずかしくない大人でいたい。それができれば、次世代へのバトンタッチはまあまあ成功なんだと思いますが、それがなかなか、一筋縄ではいかないですね。
◆今後の半年の見通し
さて9月はこの半年を振り返りつつ、後半の園生活の見通しをお伝えしながら、お子さんの育ちをしっかりと支えていくために話し合いの機会を作ります。赤ちゃんも関わりがほんとに豊かになっていますし、幼児の成長もめざましいです。クラスごとの保護者会や、個人面談などで考えや思いを共有しましょう。
◆子どもの育ちを支える
子ども達は成長したがっています。自分で歩く力をつけたいと願っている存在です。そこを支えてあげたいと思います。例えば綱のぼり「のぼりたい」「ねえ、見ててね」「ねえ、やっぱり手伝って」。こんな風に3回ボールが私に投げられます。私はボールを3回返します。「そうか登りたいのか」「自分でやりたいんだね、やってごらん」「ああ、いいよ、ほら」。
この気持ちのキャッチボールです。これをやりたがっているのが子ども達です。そのうち、やれることが増えていって、自信がつき、やってあげる立場へと成長していきます。それが友達同士の関係も太くなり、子ども文化が成熟していくでしょう。どんな実りの秋を迎えるか、楽しみでしょうがありません。

平凡なる日常の偉大さ

2019/08/27

◆平凡な日常の素晴らしさ

保育の質は平凡な日常に宿る。そんなことをお伝えしたくなるのが、大きな行事が終わった後です。確かに普段できないことをやる「非日常」である行事は、普段できないことをやるからこそのイベントですが、毎日がイベントだったらそれはもう、イベントではない日常です。

ディズニーランドで働いているスタッフは毎日がイベントのようにキラキラ輝いているわけではないでしょう。平凡な日常があるからこそ、ハレとしての非日常が輝くのでしょう。親子遠足、神田祭、盆踊り、子ども縁日、そして屋形船納涼会。たまにあるから、貴重な体験になるのだと思います。

◆思わず拍手を送った光景

でも、しかし、それでも・・大事なのは日常の方ですよね、ということを話したくなるのです。今日、素晴らしい光景を目の前でみました。これは「一見さん」にはわからない素晴らしさです。毎日の生活を共にしているからこそわかる素晴らしさです、思わず目を見合わせて、心で拍手を送りました。

それは朝、USくんがネットのマス目から体を下に降ろしていく時のことです、巧みに両腕をすぼめて、網目から肘を上手に抜くと、ゆっくりとじんわりと自分の体を両腕で支えてマットの上に着地したのです。体幹が全身の動きを調整し、上腕が全体重を支える懸垂力が育っていたのです。このような、静かで目立たない育ちは、毎日見ていないと気付きません。鉄棒の逆上がりができた!というような華やかさもありません。競争して一番になった!という達成感や優越感もありません。でも、です。この小さな一歩一歩の積み重ねが、大きな成長に繋がっていくのです。

 

◆この毎日の積み重ねに勝る方法なし

同じようなことがいっぱい起きています。積み木の乗せ方、パズルの組み合わせ方、巧緻性が育っているLaQの制作物、色鉛筆での塗り絵の上腕と手首の滑らかさ、食い入るように見入っている図鑑や絵本、先生が読み聞かせている面白い生き物の絵本の世界・・・この毎日の積み重ねに勝る強力な方法はありません。

 

◆食事の提供ガイドライン

私は厚生労働省の食育に関するガイドラインの検討委員だった時期がありますが、その時、委員の全員が大事にしていた考えは「食育は毎日の食事が大事であって、イベントとしての食育活動ではない」ということでした。いまだに食育が何かの見栄えのいいイベントをやればいいと勘違いされている節がありますが、そうではありません。

◆誰も言わないけど「美味しい食事」が基本

当園の古川栄養士が作る献立の素晴らしいところは、毎日の食事が実に美味しいという、このもっとも大切でシンプルな事実にあります。これができそうで簡単にはできないことなのです。好き嫌いやら、食べ残しやらの課題が「おいしさ」抜きに語られていることが、不思議です。美味しいと食べます。同じ食材であっても調理によって、味が変わり、美味しいと子どもは食べます。

この当たり前の「日常の味の美味しさ」がベースになるからこそ、その上に偏食やら、誤飲を防ぐ切り方や盛り方、リスクの少ない喫食方法やら食事マナーやらの話が出てくるのです。

◆平凡な、しかし偉大な日常

千代田せいがは毎日の生活の質を大切にしたい。行事のために、おろそかになる日常は避けたいと考えます。平凡な日常の中に偉大な本質があるのです。その様子は各クラスのブログがお伝えしています。

 

たくさんの「楽しかった」の感想

2019/08/26

◆行事の感想ありがとうございます。
「親子ども屋形船を楽しませてもらいました」など、たくさんの方々から「楽しかった」という感想を頂き、喜んで頂いたことがわかり、わたしたちも嬉しく、やってよかったと思いました。また、親子で楽しめることを企画したいと思います。
◆新宿せいがから絵本の提供
姉妹園があると、物の貸し借りでも助かります。今日は新宿せいが子ども園から乳児向けの絵本をもらいました。
◆幼児の寛ぎゾーンの充実を図るために夕方クッションを追加してもらったところ、大人気だったようです。その話を聞いて「ライナスの毛布」を思いだします。
スヌーピーで有名な漫画『ピーナッツ』に出てくる「ライナス」が、いつも毛布を持っているので、心理学で「安心毛布」「ライナスの毛布」と言われています。このような柔らかなモノに触れていたいというのは、心が安心を求めているからでしょう。くつろぎのゾーンは大事にしたい場所になりそうです。
◆シンガポールから30人来日
7月に訪問したシンガポールから、マイファースト・スクール(MFS)のアイ・リーンさんらスタッフが今日から1週間来日しています。早速、都内の見学が始まりました。

夏からアートの秋へ

2019/08/25

◆「夏の終わり」の始まり

子どもが「ああ、これで夏が終わりなんだな」と感じるときは、どんな時でしょうか?「夏休みの終わり」でしょうか?この界隈を歩いてみると、町会ごとの「縁日」がいろいろありますから、それかもしれません。

昨日は屋形船納涼会のあと「岩本町ほほえみプラザ」の盆踊りと、「佐久間こども縁日」をのぞいてみました。

金魚すくい、ヨーヨー、綿あめ、宝釣り・・・昔から変わらない定番ものがあると、なぜかぽっとします。

それを用意している大人世代が体験しているからこその伝承なのでしょう。それが途絶えてしまうかもしれないのは、全国的に見ると、この30年の間にその経験をしていない世代が増えているからです。

◆夏から秋へ

さて、この時期になると、秋の準備を始めている生き物や昆虫のことが気になりだします。いろいろな意味で実りの秋、読書の秋、食欲の秋に向けた準備が始まっています。保育雑誌や研修もすでに運動会や芋掘り、収穫祭、防災特集などが組まれていて、すでにその準備が進んでいます。

◆自由あそびとしてのアート

(左:ダンサーの青木さん。右:制作遊びのアトリエを主催する水野さん)

今日25日は、アート一色の1日でした。午前中は海老原商店での制作遊びを、小学生と一緒に参加して楽しみました。ワインのコルク栓のような形をしたトウモロコシでできた柔らかな素材を、ヤマト糊でくっつけていきます。これは園児にも簡単に遊べそうです。とても軽くて安全な素材です。

ダンサーでアーティストの青木尚哉さんと、小学校の図工の専科の先生たちと、楽しくおしゃべりをしながら自由にくっつけていきます。大人の自由遊び体験のような時間でした。

その後で、青木さんが子どもの体を抱きかかえて逆さにしたり、背中に乗せたり、片膝をついて回転したり、身体の無秩序でありながら心地よい動きを作り出していきます。少年が嬉しそうな声を漏らしては、予想できない青木さんの自在な動きが心地よさそうです。

見ている方が楽しくなってきて「ダンスって言ってしまうと、なんだか狭いイメージなってしまうよね」とか「自分から動きだしたい動きとそうでない動きがぶつかって、逆に快感だったりして、その発見が面白いのかもね」などと、私たちの会話も弾みます。

青木さんの体に流木や骨や木切れをもたせたり、乗せたりして、人体も一つの素材のようなつもりで造形していくプロセスが実に楽しい。

手や足の方向、足の裏を置く場所、腕や肩の位置、顔の角度や向きなどを、子どもや大人が「こうしてみたら」「じゃあ、これ持って」などと、面白い、格好いい、いい感じ、と感じることを付け加えていく。それでなんとなく「できた!」「完成」となり、記念撮影をします。

こういう「遊び」は勝手に大人がアートと呼んでいるだけで、子どもは根っからのアーティストなので、この楽しい感覚を忘れないようにしてあげることが大事なことだし、そうなっている遊びが本当の自由遊びの時間なんだろうなと、改めて感じたのでした。

◆福音館「かがくのとびら展」

午後は「アーツ千代田3331」で金曜から開かれている「かがくのとびら展」に行ってきました。

月刊絵本「かがくのとも」が創刊50年を迎えた福音館書店が開いています。しぜん、のりもの、からだ、たべものの4つのテーマに分類された絵本の内容で、体験遊びができるようになっていました。

保育園のそばを歩いていても、蝉の声が聞こえませんが、展示会場には、蝉の声を聞いて何の蝉か当てるクイズや、聴診器の音を拡大する装置があって「ドクドクドク」という自分の心音を聞くことができます。わいわい、らんらんの子ども達も楽しめる内容でした。

「かがくのとびら展」は9月8日まで。未就学時は無料。

屋形船納涼会を終えて

2019/08/24

◆「嬉しかった瞬間」のいろいろ

 

屋形船の屋上デッキに出て、ダブルスカイツリーを背景に記念写真を撮る、それも自撮りではなく、家族で撮りあいっこするーーー。

この光景の中に、今日の3つの行事のねらいが、「わ〜、ぎゅっと詰まってる〜」と感じました。

地域を知り、日本の良質な文化と触れ合い、お互いに仲良くなる、その3つが今日のねらいでしたが、それぞれに想定外の嬉しい出来事がありました。

まず、地域を知るためにもっともふさわしい方が、直接、マイクを握って解説してくださったことです。岡田事務局長はこのプロジェクトの事務局のトップですから、プロジェクト全体の地域について知り尽くしている方です。その方が乗船までして直接地域の解説をしてくださるとは思ってもいませんでした。実は行事担当の先生が地域ネタを仕入れていたのですが、岡田さんの生解説でリアルに地域を知ることができたのではないでしょうか。

(左:ちよだリバーサイドプロジェクト事務局長の岡田氏。楽しくも、ためになるガイド、ありがとうございました)

◆粋なはからいに感謝です

2つ目のねらいである「納涼体験」という意味では、「粋なはからい」とは「こういうことを言うのです」という見本のような対応をしていただいたのが、屋形船の屋上デッキに昇らせてもらい「ダブルスカイツリー」が見えるところで停まってくださったことです。こういうことができるのは、三浦屋さんならではの心意気を感じざるを得ません。

(東京スカイツリーが、鏡張りのビルに移って、ダブルスカイツリーになるスポットで、屋形船はしばらく停泊してくれました)

3つ目のねらいは「仲良くなる」ということです。いかがでしたでしょうか。いつもは見られないような横顔をお互いに発見できたのではないでしょうか。記念写真のアルバム作りやスイカ割りでは、親子で楽しい時間を過ごしていただけたでしょうか。

 

(スイカ割りは、シンプルだけど楽しいものです。しかも、浜辺にでもいかないと、家庭や地域では、できそうで、意外とできないものになりました)

(船着場で撮った親子写真が、制作に間に合って、先生たちもほっとしました)

(積木で、スカイツリー作りに挑戦です)

時間が余るかもしれないからと、先生のアイデアで用意したライブステージには、南こうせつとかぐや姫のフォークソング「神田川」のレコード(EP盤)と楽譜とギターが置かれていて、プロミュージシャンの坪井保育士に歌声を披露してもらいました。

ついでに、私もつい弾いて歌ってしまいました。私が中学生の頃流行った歌で、中学校の屋上でアルペジオの練習をした曲の一つだったからです。

◆点と点を地道に繋ぎます

知らない土地で、お互いに見ず知らずの関係から始まった園生活ですが、4月5月の頃を思えば、月日を重ねるうちに、地域の方々との点と点が少しだけ線になり、区をあげて取り組もうとしている「ちよだリバーサイドプロジェクト」とコラボして、江戸情緒を満喫できる屋形船での納涼会が実現できたことを、本当に嬉しく思います。

(ちよだリバーサイドプロジェクト代表の石渡こうしん氏)

◆感想をお寄せください

午後の反省会では、「先生達から見えたり、聞こえてきた保護者のみなさんからの声」を共有しましたが、今回の行事について、感想をお聞かせください。子ども達、ご家族のために、よりよい、より楽しい企画を考えるためにご協力ください。特にアンケート用紙などは用意しませんが、複写式のお便り帳、自由ノートなどに書いていただけると幸いです。月曜日、また元気にお会いしましょう。

屋形船納涼会をめぐって2

2019/08/23

「船」という乗り物

明日の屋形船納涼会で、子ども達に味わってもらいたいのが「船」の体験です。島国の日本にとって、船は非常に身近な乗り物であり、古からなくてはならない移動手段でした。古くはホモ・サピエンスが今の台湾、沖縄を辿って鹿児島へ渡ってきた時も、手作りの船でした。歴史書に記述が残るようになってからも、ユーライア大陸とは遣隋使や遣唐使をはじめ、江戸時代は海外貿易で使った朱印船などの活躍がありました。

◆海運国ニッポン

国内でも、海運業を支えた菱垣廻船や樽廻船、北前船などの船が日本人の食糧と物資を乗せて走りました。今でもタンカーが中東から石油を運び、大型商船が自動車や貨物を乗せ、地球上をくまなく走っています。周囲を海に囲まれ、列島を刻む急峻な河川がいくつもある日本列島に住んでいる限り、これまで「船」から授かった恩恵は計り知れず、またこれからの未来もまた「船」が大きな役割を担うことは間違いありません。将来の仕事を考えても、船に関係する仕事はとても多いはずです。

この7月に仕事で行ったシンガポールでは、ともて綺麗な水上バスがベイエリアを走っていたので乗りました。まるでバス停に止まるように船着場に船が止まります。千代田区も、ちよだリバーサイドプロジェクトによって、ベイエリアとつながって、いろんな景観と体験が楽しめる観光スポットの一つになっていくかもしれません。

◆川に架かる橋は人生のように

 

もう一つ、明日たくさん目にすることになるのが橋です。川があるから橋があるという当たり前でありながら、それがこんなにたくさんあって、それぞれが特徴をもっています。二つの世界をつないでいるのが「橋」だからこそ、色々なモノとモノの架け橋となり、橋は人生の物語で何かに繋がっていく舞台装置でもあります。

屋形船と子どもの出会いがどんなものになるのか、とても楽しみです。天気予報では明日の午前中は曇りです。

屋形船納涼会をめぐって

2019/08/22

いよいよ明後日は、千代田せいが初の納涼会「屋形船納涼会」です。今年度に限り、なんでも「初」が付きますから、何をやっても縁起がいい気がします。なんだか得する気分です。今週は出来るだけ「神田川や隅田川に因んだ話題を」と思いながら、違う話ばかりしていますが、実は保育園が「ちよだリバーサイドプロジェクト」の一環として参加するのは初めてのことです。小学校との連携はこれまで和泉小学校の授業で東京スカイツリー近くまで行ったことがあるそうですが、保育園は過去にはありません。これも「初」というのは重ね重ね縁起よし、かも?
◆ねらい(その1)地域を知る
屋形船納涼会のねらいは3つあります。「地域を知る」「涼の取り方を体験する」「親同士の関係を紡ぐ」です。
〜〜
まず年間テーマである「地域を知ること」があります。そこで、これまで姉妹園でやってきたことをやるのではなく「この地域でしか出来ないこと」にこだわってきました。「ないと思っていた自然も、ちゃんと探せばあるじゃない!」という私たちの再発見をみんなで共有したくて、草花や昆虫など、生命が芽生える春の生き物に家族で興味を持ってもらう園生活に力を入れてきましたが、その延長として、春の親子遠足は地域散策にして「ファミリーバザール」と連携しました。
〜〜
では、夏はどうするか。園の前が神田川で、しかも区内に3カ所しかない防災船着場が目の前にあるというロケーションです。舟運観光事業を振興するための「ちよだリバーサイドプロジェクト」なるものがあって、その代表が神田祭に誘ってくださった石渡幸伸さん(前神田岩本町会長)です。事務局長の岡田邦男さんの方から「屋形船に乗りますか」と誘ってくださり、今回の行事の実現にいたります。
◆ねらい(その2)風情をたのしむ納涼
日本文化でもある「涼をとる」色々な知恵を園生活の中に取り入れきました。水あそびやプールあそびも、この地域にある花火や風鈴や打ち水や盆踊り納涼会などの「涼の取り方」の一つに位置づけました。
屋形船納涼会は、その中でももっとも贅沢で、ある意味で「究極の納涼」と言えるでしょう。平安時代に遡り、江戸時代に豪華になり、戦後に庶民のものとなった歴史ある屋形船です。
親子で描いて頂いた塗り絵を展示しましたが、それを見ていて、リアルにこう思いました。来年、子どもたちが描く「夏の思い出」の絵は「屋形船から見た花火」になることでしょう。それが私の来年の夢です。大人は想像力でカバーできますが、子どもには生の本物の美しい体験が必要なのです。そうでもしなければ、風情を楽しむと言う伝統が途絶えてしまうと思います。
◆ねらい(その3)家族の輪を広げて
保育園の文化は、子ども同士の関係が密接で、それに比例して保護者同士の関係も深いものがあります。ただ朝夕の送迎の時ぐらいでは、中々親しくなる機会がないかもしれません。私がいた園では玄関に喫茶コーナーを設けていたときもありましたが、千代田ではそうもいきません。忙しい保護者の皆さんに、せっかく参加して頂く行事なので、親睦の機会にして頂きたいと願っています。例えば、子どもが話すお友達の名前を手掛かりに、語り合ってみてください。
◆お茶の水渓谷の保育可能性
ところで今日22日は夕方1時間、牧野保育士と2人で、屋形船に乗ってきました。「ちよだリバーサイドプロジェクト」の催事で、一旦、隅田川まで出てから戻り「お茶の水渓谷」の夜景を見てきました。いずれこのプロジェクトで、保育園の園外活動にしたいからです。その下見のつもりで参加しました。バス遠足ならぬ海上バス遠足の可能性があるかどうか?全く未知数ですが、探ってみる価値があります。
そこで、鍵になるのは「ちよだリバーサイドプロジェクト」です。千代田区には和泉橋、新三崎橋、千代田区役所の3箇所の防災船着場があります。代表の石渡さんは「この区内3つの防災船着場を日本橋船着場、隅田川周辺の各船着場と連携させ、神田川、日本橋川から隅田川、江東区小名木川、さらに湾岸へと私たちが今まで培ってきた活動の枠組みをさらに拡大していきたいと考えています」と、プロジェクトのホームページのあいさつで語っています。
◆区長へ提案してみたい
今日、乗ってみていろんな発見がありました。観光事業だけではなく公共交通機関として、屋形船を水上バスとして活用したい。既にそれは検討されて、橋の高さが低いことや船着場の少なさなどが課題になっていると聞きます。
そのために、小型船をもっと整えて、橋のたもとに乗り場を増やしたい。そうなれば、和泉橋と美倉場が神田川ルートでつながります。さらに、もっと先の浜離宮あたりまで園外保育ができるかもしれません。また神田川を遡り「外堀方面」へも簡単に行くことができるようになります。
また美観の整備と教育のつながりについて、区長に伝えたいと思います。子どもの頃の感動体験が、探究心を育み、それが「千代田愛」につながることを。それには、川面から見た風景は大事です。観光的には隅田川が美しいのですが、神田川は「ブラタモリ」的な地形と、歴史のうんちくの塊です。これを活かさない手はないでしょう。まだ雨が続くと浄水場の機能を超えて生活排水が神田川に流れ込んでいます。この問題はなんとかしないと、観光事業としても大きく美観を損なうのではないでしょうか。

【行事】親子運動レクリエーションの日程変更

2019/08/21

 

 

 

10月5日(土)に予定していた「親子運動レクリエーション」(運動会に相当する)ですが、申し訳ありませんが10月26日(土)に変更します。本日、区の公園担当者と和泉小学校との日程調整のなかでそうなりました。場所は和泉公園(晴れ)および和泉小学校体育館(雨)で、時間は9時30分から12時ごろまでの予定です。

アンガー(怒り)のコントロール

2019/08/20

わいわいとらんらんの遊びの様子を見ていると、こんなことに気づきます。以下は特定の子ではありません。どの子にも当てはまる特徴だと思ってください。

◆謝りたくない気持ちとは?

例えばAくんの手がぶつかって「イタッ」と思ったBくんが「痛い」と相手Aくんに訴えます。ぶつけた方のAくんが、その訴えに気づいて「ごめん」と謝ってBくんが「いいよ」となれば、仲直り成立で、また遊び始めます。ところが、Bくんが「痛い」と訴えても、Aくんが謝ってくれないときがあります。Aくんがそれに気づかないときもありますが、知っていても、ぶつけたことは「自分が悪くない」と考えて謝らないこともあります。その言い分をよーく聞くと、大抵は次の2つの「論理」がみられます。

そんなとき、ぶつけたAくんのような立場の子がいう理由でよく聞くのは「先にBくんが◯◯したから」というものや「わざとじゃない」というものです。話は長く複雑ですが、核心を要約するとそうなります。
◆先にやったのは自分じゃない
これは典型的な2つの正当化理論といえます。最初の理屈は「先に痛い目にあったのは僕の方で、そのときは見逃してあげたんだから、君だって文句言わず、それくらい我慢しなよ」という考え方です。「被害はお互い様なんだから、僕だけ謝ったら不公平だ」という気持ちがあります。この被った害の量が同じなら公正であるという感覚が、子どもたちには歴然とあります。やられたから、やり返すというのは動物もやります。
◆いまさら言われても・・
しかし、やっかいなのは、いま「痛かった、無視しないで、ちゃんと謝ってよ」と訴えるBくんにとっては、最初のことは自覚がないか、もう過去のこととして終わっている場合があって、「いまさら、そんなこと蒸し返されても」と感じる場合と「ああ、確かにそうかも」と思い出す場合があります。ただ、大抵は「今のこの痛さをなんとかしてよ」の気持ちの方が切実なので、素直にイーブンであると受け入れることは、まずありません。
◆わざとやったんじゃない
2つ目の理由「わざとじゃない」も、強力な理論です。子どもは9ヶ月ごろから人は「意図」をもつ存在であることが分かるようになります。意図してやったことは、より悪いとわかっています。なので「わざとじゃないもん」が、「自分は悪くない」とほぼ同じように使われてしまいます。意図したことか、それとも過失なのかで罪の軽重が変わるのは、大人社会の罪と罰の関係も同じです。
◆ハムリンの実験
最初の「先にやったのは自分じゃない」という憤慨は「よくないのはこっち」という判断に基づいており、1歳未満の赤ちゃんもできることが、わかっています。このホモ・サピエンスの強力な倫理観は先天的なのもです。この分野の研究で先鞭をつけた有名な研究者がハムリンです。次の動画をご覧ください。ちょっと脇道にそれますが、面白いのでみてください。協力的であることへ、赤ちゃんは共感します。
◆アンガー・マネジメント
 このような感情の噴出と鎮静を繰り返しながら、この子たちは、良心との葛藤を経ながら、倫理を学んでいます。どのように言えば、分かってもらえるか、どのように言われたら許そうと思えるか、そのような経験を子ども同士の中で繰り返しながら、感情のコントロールを学び続けています。とくに子ども同士のけんかは、怒り(アンガー)をコントロールする練習です。その正義の怒りを、自分の中の暴力に転化させず、ほかのエネルギーに昇華させることを学んでいく必要があります。この感情に負ける大人の犯罪が増えているのは、幼児期の自由遊びが足りなかったのでしょう。人は生まれたときから道徳的ですが、現代の社会では、子ども同士の関係がなくなり、子ども社会で育つ機会が奪われてしまっているのです。
◆私たちがやるべきこと
私たち保育士は、いざこざの中でどっちがいいか悪いかをジャッジして、謝らせることを優先しません。お互いの気持ちがすれ違っていて、子ども同士のやりとりだけでは手が出てしまうようなときは止めに入ります。気持ちや、考えをわかり合うためのサポートが必要なときは例えば「ホントはこうしたかったんだって」などと、お互いの気持ちや考えを代弁します。また言葉で伝え合う力があるなら、ピーステーブルに促したりして、考えを伝え合う機会を保障します。子どもが自分の感情を味わい、自らの内面からそれに打ち克つ時間を待つ必要があります。そして必要な時間は、個人差があります。
◆自律を育てる
できないところは助け、できるところは自分でやれるように援助します。自分でできるようにと言うのは、言われて謝れるのではなく、自分から悪かったなぁと思えるような心を育てることです。「ごめんね」と形だけ言えることではなく、仮にバツが悪くて言えなくとも心から「ああ、悪かったな」と思えることが大事です。形だけの行動よりも、相手をいたわったり、優しい心情が豊かなら、行動はついてくるものだからです。無理に謝らせても、自分から謝罪できる勇気や気概も育ちようがありません。反対に、いろいろなことを言って外からの働きかけでそのタイミングで「させて」いると、その働きかけがなくなると、やらなくなります。それは自律ではなく他律だからです。

これが本来のアートです!

2019/08/19

◆1分で意気投合
「この通りをアートあふれる空間にしたいんですよ」。今日の昼過ぎに、アポなしでチラシを持ってこられた方と1分の立ち話で意気投合しました。こういうこともあるんですね。アートについては保育を考える上で避けて通れない大事なテーマです。美の創造プロセスについて「美術」と訳してしまった不幸が、学校教育の中で未だに誤った位置づけのままです。アートが美術や図工、音楽あるいは技術・家庭科や体育という名前で、五教科の外で付け足しのような位置づけになっていることが、そもそも誤りです。そのことに気づくことがとても複雑で困難な状況になってしまいました。
◆アートは人が生きていく上で必要なもの
そうしたいきさつもあって、アートについて誤解されていることが多いのですが、本来は子どもが感じ受け止めるプロセスの質に、本質としてアートがなければなりません。人間がよりよく生きていく上でアートは不可欠なのです。
昨年11月、千代田せいが保育園の開設説明会で、「園長先生は、保育の質についてどのように考えていますか」と言う質問を受けました。私は感動しました。なんと本質的な質問をする保護者の方がいるんだろうと。その時説明したエピソードは、味覚の体験と色と出会う体験について説明したのですが、それと同じレベルでアートを実践している方と今日出会ったのです。今週の土曜と日曜日にその実践を園のそばで体験できます。屋形船の納涼会の午後あるいは翌日です。時間に余裕があって興味ある方は、ぜひ参加してみてください。そのチラシをアップします。(ちょっとシワだらけになったチラシでごめんなさい!)
◆ダンサーと小学校の図工の先生がコラボ
ただし、対象年齢が「5歳になってますが、3歳でもそれなりに、楽しめるはず」と、主宰者で、振付家・ダンサーの青木尚哉さんはおっしゃっていました。場所は、保育園斜め向かい古民家ギャラリー「海老原商店」です。グループワークは1階でやり、保護者は2階で寛げるそうです。土日で合計4回あります。
top