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園長の日記

大谷翔平の<主体~他人・もの>の関係

2024/05/09

大谷選手が週間MVPに!というニュースを聞いて、保育に関係することで2つのことを思い出しました。一つは自尊感情に関することです。日本の青少年は国際比較調査で他の国にくらべて自己肯定感が低いとよく言われてきのです。それについてNHK白熱教室で有名になったマイケル・サンデル教授が、こんなことを言っているのです。

「よく『日本人は自己肯定感が低い」と指摘する意見がありますが、それは日本人には『自分の成功は自分自身の力ではなく、周りの人々の支えがあったおかげだ』とという認識があるからです。そして、成功者であっても常に謙虚な気持ちを忘れることはありません。こうした考えから、彼の能力が数年で衰えるとは考えられず、ますます活躍できると確信しています」

この中の「彼」とは、大谷翔平のことです。

この説明をきいて、そういう見方をしたことがなかったなあ、なるほど、と思ったのです。確かに高校野球でもプロスポーツの選手でも、監督やスタッフやファンやチームメートへの感謝を口にすることが多いですよね。このことと力の発揮が関係するとしたら、共主体(co-agency)の見方に通じるんじゃないだろうか、と思ったのです。

そしてもう一つ思い出すのは、あるスポーツ番組で大谷選手がインタビューに答えて、なぜそんなにホームランを打てるのかという質問に「バントでボールに当てる感覚でバットを振っている」といったような説明をしていたのです。これはアフォーダンスの感覚を説明していることになっているんじゃないかと思ったのです。「ボールが止まってみえる」とか「サッカーボールぐらい大きく見える」といった話も聞きますが、この知覚と行為の結びつきを説明することばには、このように感じている主観の世界が垣間見える気がします。

 

子育てひろばアキバ分室での「出張ひろば」へ第一歩

2024/05/08

園から西へ約5分。神田川にかかる万世橋は秋葉原の電気街の南側の出発点です。その交差点の角に建つのが千代田区の万世橋出張所ですが、その6階に千代田区社会福祉協議会が運営する子育て広場「アキバ分室」があります、これまで、ここで「睡眠講座赤ちゃんねんね」を2回、保育園主催で開いたことはありますが、出張ひろばをやったことはありません。

今年度は、当園から職員が定期的に出向いて「ここに集まる地域の親子向けに、わらべうたや親子遊び、絵本や紙芝居の読み聞かせなどを行いたい」と申し出たところ、アキバ分室も大歓迎で、その準備段階として、園児をつれてお散歩にでかけてみたのです。

以下は一緒にでかけた1歳クラスのU先生の感想です。

「月齢の小さい4名は、初めてのアキバ分室へ。はじめは場所見知りや人見知りもあったけれど、各々のペースで動き始め、少しずつ遊んでみる様子があった。Kくんは手押し車が気に入ったり、Hくんはボールハウスに入ってみたり、Nちゃんは鉄琴のマレットが気に入ったり、お気に入りの遊びや玩具も見つけたようす。保育園にはないもので遊んだり、アキバ分室のスタッフの方と遊んでもらったり、新しいものや人に出会いながら、子どもの好きなものを見つけていきたい。新しい遊びの場所として、地域とのつながりとして、また出かけてみたい。」

というわけで、ほかのクラスの子どもたちも定期的に出向いて、地域の親子との交流を進めたいと考えています。近くの子育て関連の施設同士がつながって、地域の子育てがよりハッピーになるといいですよね。ゆくゆくは出張SSSとか、地域版しずくの会の誕生といったことに、発展していくといいな、と考えてます。

遅ればせながら「こどもの日」をお祝い

2024/05/07

子どもはクイズが好きです。映画「こどもかいぎ」には、伝説となっている「ライオンクイズ」が可笑しくて有名になりました。そこ映画シーンにあったように、子どもは自分でクイズをだすもの好きですが、ハイハイ!と答えて「正解!」となるもの嬉しいようです。今日もそんなシーンがありました。遅ればせながら「こどもの日」をお祝いしたのですが、その中でT先生による3択クイズに正解するたびに、跳びはねて喜んでいました。

なぞなぞやクイズは言葉遊びとしても楽しいものです。「へえ!そうなんだ!」という、ちょっとした意外性や驚きを伴いながら、身近なものへの関心を高めたり物知りになったりします。また「なぜ」や「どうして」という理由を考えるような内容であったり、少ない情報から始まって、ヒントを出しながら正解を思いつくまでの「連想」が使われたりします。子どもは意外とたくさんのことを知っていることや、少ない情報でも当ててしまうことなどに、ほんとうに驚きます。

成長も感じたGWあけの様子<7自然との関わり・生命尊重>

2024/05/07

GWあけは今朝から雨。どんな風に過ごしたのかなあ?と、保護者のみなさんからの連絡を読みながら想像しました。「児童館のこどもの日イベントに行ってきました」「昨日は〇〇組で集まり〇〇公園で遊びました」。地方に帰省した家族もあれば旅行を楽しんできたご家族も。そして、久しぶりの保育園で実際の子どもたちは?

2歳児の日誌には「お休み楽しかった??と聞くと皆「うん!」と答えてくれていました♪♪」。幼児クラスでも「登園するとお休み中にあったことを嬉しそうに教えてくれた子どもたち。長いお休み明けで、朝の登園の際は気持ちが崩れてしまったり、中々保護者と分離出来ない姿もありましたが、しばらくたつと、大人の元から離れいつも通り、気の合う友だちと一緒に遊び始めていました!」(幼児クラスの日誌より)とあります。

そして先生たちは、子どもたちのちょっとしたことの変化に成長を感じ嬉しそうです。そこを見つけるのが得意なのが先生たち。

0歳児クラスの先生は「連休中に寝返りが活発になったGくん。コロコロと自由自在に寝返りを披露してくれました。そして、気になるおもちゃのことろまで手足を動かし進んでみようとしていました!成長に感動です^^」とコメントしています。

1歳児でも「GWが明け、久しぶりにクラス全員揃いました!休み明け、お友だちとの再会を喜んだり、一緒に楽しいことを見つけたり…。お友だち同士の時間を楽しむ姿がたくさん見られて、こちらも嬉しく思いました。」とあります。実際に見ていると「子どもは子どもの中にいるのが自然なんだなあ」と思えてきます。

担任もこう書いています。「久しぶりの登園でしたが、保育園でお友だちやお兄さんお姉さん、先生たちに囲まれながら、のびのびと好きなことをたっぷり楽しんだ1日でした。寝返りが自在にできるようになったり、ずり這いやハイハイまでもう一息のようすで、伸びようとしている力を存分に使って体を動かしていた子どもたちの姿からまたさらに一段とたくましく子どもたちの成長が感じられて感動しました。」

一方、2歳児クラスでは「あれ天狗の葉っぱ色がかわったよー!?黒くなってるー!」と、「前に佐久間公園で取ったとっても大きい、天狗の葉っぱのような葉がイチョウの色から真っ黒になってる様を見て、わー(笑)っと色が時間がたって変色しているところを不思議そうに見ていました!」と子どもの、身近なものの「変化」への気づきを拾っています。

幼児クラスでも「朝、登園するとSちゃん(年少)がお休み前に水につけていたお花(散歩でみつけた花びら)が弱っていることに気付いた(年長の)Uちゃん。新しいお水にかえてあげていました。植物にまで目が届いて大切にする姿が素敵です。」とあります。

さらに塗り絵の様子を見て「手先が器用になってきて、とても上手に塗れるようになっていました。日々子どもたちの成長に驚かされます」とコメントがついています。同じ図柄の絵を4か月前にかいたことがありファイルされてるのですが、普段の様子もみているからその一人ずつの特徴をよく把握しているからでしょう。

今日は室内で過ごしましたが、この5月から6月中旬にかけて気持ちのいい日が増えるでしょう。おそらく今月中旬からは夏日のように暑い日もあるでしょう。それでも梅雨入りまでの貴重な過ごしやすい日々といえます。連休明けはいいスタートを切りました。この調子でノリノリの生活にしていきましょう!

<7自然との関わり・生命尊重>

自然に触れて感動する体験を通して、自然の変化などを感じ取り、好奇心や探究心をもって考え言葉などで表現しながら、身近な事象への関心が高まるとともに、自然への愛情や畏敬の念をもつようになる。
また、身近な動植物に心を動かされる中で、生命の不思議さや尊さに気付き、身近な動植物への接し方を考え、命あるものとしていたわり、大切にする気持ちをもって関わるようになる。

神田川に泳ぐ地域の小学校や保育園の鯉のぼり

2024/05/05

「こどもの日」の今日、園の目の前の神田川に手作りの鯉のぼりが泳ぎました。今年から始まった「和泉橋鯉のぼりまつり」です。鯉のぼりは、地域の小学校や保育園が作ったもの。

千代田せいが保育園の鯉のぼりも、他の保育園の鯉のぼりと一緒に気持ちよさそうに五月晴れの風を受けていました。

向かいの和泉橋出張所から当園にロープを渡し始めたのは午前9時。ざっと30〜40人ぐらいの町会の方々がロープを手渡しで繋ぐという見事な連携プレイ。

2本目のロープに繋がれた鯉のぼりが、出張所の3階の窓から引っ張り出されて風にそよぎ出すと、周囲から自然と歓声が上がりました。

当園の鯉のぼりは、皆さん親子で押していただ手形をデザインしたものです。同じ発想の園が他に2つありました。今朝は朝9時ごろから保護者の方たちも親子で見物に来たり、そのまま保育園で遊んでいかれました。

秋葉原の繁華街に近い場所でもあり、旅行客など道ゆく人が足を止めて写真に収めていました。開会式に駆けつけた樋口区長も「地域に新しい風物詩ができました」と喜んでいました。

 

他者を受け入れていく、いく通りもの姿

2024/05/03

20240503 巻頭言5月号(印刷用)

園だより5月号「巻頭言」より

ある署名な人類学者が、こんな言葉で第1章を書き始めていました。「私たちはどのように生きるべきか?間違いなく、人間はその問いを考え続けてきた。おそらく、その問いを考えることこそが、私たちを人間にする」(ティム・インゴルド『人類学とは何か』)。

この4月1ヶ月の様子をクラスの記録から拾ってみると、先生たちは子ども同士の関わり方の育ちに着目しています。それぞれの保育ドキュメンテーションやクラスブログをぜひお読みください。赤ちゃんから幼児まで、それぞれの発達に相応しく「他者を受け入れている姿」が共通していました。

1歳児のぐんぐん組(5月3日のブログより)では、「ちっちさん(0歳児)という後輩が入ってきて、新しい先生との生活も始まって、はじめはまだ、状況がまだ分からないような様子もありましたが、今では、その後輩たちを”いいこいいこ”となでたり、ミルクをあげるお手伝いをしたり、同じ目線で顔をのぞきこんだり…すこしお兄さんやお姉さんらしい、頼もしい様子が見られるようになりました。」と、心温まる事例がいくつも紹介されています。

2歳児のにこにこ組は、連日の日誌で微笑ましいやりとりの報告が続いていますね。例えば4月30日の振り返り。「いずみこどもプラザからの帰り道、Rくんの「かくれんぼしよう」をきっかけにK先生やS先生と一緒に隠れることを楽しんでいる子ども達。そんな風に楽しいことを積み重ねていく中で、「おはよう」と挨拶のようにぎゅ~っと先生の所へ駆けてきたり、絵本読んでほしいと持ってきたり、少しずつ先生やお友達との距離が近づいてきています。」

3歳以上のわいらんすい組では、5月1日のブログにあるように、3歳の子の「やりたい」を大目に見てあげる4歳児のさりげない気配りや優しさを紹介しています。「このクラスで過ごし始めて1ヶ月がたち、子どもたち自身も互いにそれぞれを理解し始めてきているようで、初めの頃は「それはずるだよ〜」「つまんないよ〜」となる場面もありましたが、それぞれの個性を受け入れ、フォローしあうそんな姿に感心、感動した瞬間でした」。本当にそうですね。

このような子どもたちの姿をたくさん見ていると、私たち大人が見習った方がいいと思うようなことがいろいろありますね。他人と一緒にいることが嬉しいという感情。やりたいことを提案して受け入れてもらえ、一緒に楽しめる体験。自分だけではなくてお友達のできた!やった!を喜んでいる様子。このような心情が生活空間に広がり、子どもも大人もそれを共に心地よく感じる時間が増えるといいですね。

冒頭の本でインゴルドは「世界は戦争、貧富の格差、環境問題など多難を抱え、すでに臨界点に達している」といいます。それでも「私たちは皆で一緒に世界を築いていきたい」と思います。他者とともに学び、それを伝え合いながら。子育てはその長い道のりの第一歩です。

 

 

にちよう開放(5月5日)

2024/05/01

皆さんの手形でできた「鯉のぼり」が園の前の神田川を泳ぐ5月5日(日)は、保育園の日曜開放です。とくに保育園で行う行事があるわけではありませんが、保育園を半日開放しますので、親子でご自由にお使いください。時間は朝9時から13時までです。必要なら飲み物や食事は各ご家庭でご用意ください。

「手作り鯉のぼり」5月5日に泳ぎます

2024/04/30

お迎えのときの「鯉のぼり」の親子手形制作、ありがとうございました。G W期間中の5月5日(日)に保育園の目の前の神田川を「泳ぎ」ます。皆さんに作っていただいた鯉のぼりは午前9時ごろから作業・用意しますので、その様子からご覧いただけます。

これは地域の3つの町会連合会が主催する「泉橋鯉のぼりまつり」で、当園と川向かいの泉橋出張所をロープで結んで、そこにたくさんの鯉のぼりを泳がせるイベントです。当日は保育園の「にちよう開放」にしたので、昼過ぎまで親子で13時ごろまで過ごすことも可能です。飲み物・食事は各自ご用意ください。(職員室だより5月号より)

こんな難しいことがでいていながら未熟な赤ちゃん

2024/04/29

昨日の続きです。両手で靴下のつま先部分をびよーんと引っ張って、取ろうとするのですが、かなり力を込めて上へ引いても、なかなか脱げません。靴下がかかとに引っかかっていることは理解できていないようです。それくらい子どもの認識はおおざっぱなのです。かかとを外してあげると、スポーンと勢いよく外れました。子どもの理解というのはこんな感じなのです。ここに物とのかかわりのなかで、靴下を脱ぐということだけでも、それが達成できるかかわり方を学んでおり、引っ張れば脱げるのだということも理解していきます。

ところで、こんなことがまだ難しいという発達でありながら(そこに面白さと注意が向けばもっと変わってくるのかもしれませんが)、もっとはるかに難しいことをできるようになっていることを思うとその落差に驚くほかはありません。はるかに難しいことというのは、私たち大人の話す言葉が通じているということです。うまれて数か月の赤ちゃんが大人の話す言葉を聞いてその意味を理解していくためには、音声と意味の相互関係が把握されているということになります、言い換えると概念の分析と音声の分析をやっていることになるのです。こんな難しいことができるのに、靴を脱いだり靴下を脱いだりする方法の理解と行為がおぼつかないというのですから、ヒトは動物と違って身に付けることの順番がかなり違うようです。身体的な行為よりもヒューマンコンタクトがとれる行為の方を優先するようにできているように見えます。

そこで大人はちょっと混乱してしまいます。確かに全体的には未熟でありながら、学び手としては有能であるという赤ちゃん像がよく取り沙汰されるからです。私もそうですが、そのあたりがうまくまだ十分に整理されていないのかもしれません。

Yさんと私の間には心地よい感情の交流が確かにあって、愉快な気持ちを共有し、そういうことがお互いの間に信頼関係を作っています。それはまだまだ漠然としたもので空想的なものなのですが。それでも、まだまだできないことがたくさんあって、それを支えてあげながらできた!という心地よい体験を積み重ねていることになります。

まずはリズムの中で自分の起点を作る

2024/04/28

自分から何かを始めようとする気になるには、気持ちが落ち着き、それに向かうスタート地点、つまり起点が必要です。その気になる不動点のようなものは、リズムの中で何度も何度も生じているようです。

昨日のYちゃんの姿から振り返ります。

すぽん!と靴下がぬげたときに私に見せてくれた笑顔からは、いくつもの物語を紡ぎ出すことができます。お散歩から帰ってきてまだ頬がほっていて呼吸も少し荒く感じます。暑い日差しから涼しい室内に入って、ほっとするようなタイミングです。ここでなにをするのかというと靴と靴下を脱いで部屋へ入っていきましょうね、というのがこの状況で流れている空気感です。しばらくここに座って涼もうか、というような空気ではなくて、大人がつくり出している期待という名前の気が流れているのです。子どもは大人の使う言葉や雰囲気からその「圧」を感じていて、おそらく子どもの中には自分がいまここでやってみたいことと違う感触に対して違和感や抵抗感のようなものを感じている子どもいるでしょう。

私はまずはほっと一息、どの子どもにも自分の不動点を見つけてみることから支えてあげたくて「ここに座ってみようか」と誘ってみるのでした。するとその子はそこに座り、隣の子どもが先に脱いでいった靴下を手に取って「これ」と私に差し出します。「Sちゃんの靴下だね。ありがとう」と私は受け取ってから、「Yちゃん、おくつぬいでみようか」と誘ってみます。この子たちは大人になにを期待されているのか、ちゃんとわかっているので、自分でそれを始めます。靴の上側を覆っているマジックテープをビリっとはがして、自分の足から靴を外します。靴はそのあたりに無造作に転がり、それは気にも留めずに、今度は靴下をとり始めます。それが前回の写真のときの様子です。

(明日に続く)

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