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園長の日記

にこにこ組(2歳児)の保護者会

2024/01/29

今日の2歳の保護者会では、これまでの1年間の育ちをビデオで見てもらい、また子どもの同士が関わる距離感や関わり具体の深さや広がりなどを、担任が図式化して説明しました。遊びも並行遊びに近い段階から、役割分担のあるごっこ遊びが増えていったことがよくわかりました。

3歳児クラスになると、それぞれの興味や関心の世界が広がっていきます。それだけやりたいことがたくさん見えてきて、どうやったらそうなるんだろう、という見通しも出てきて、その実現のために試行錯誤や工夫もたくみになっていきます。

これまで、この子たちが歩んできた道は、実際は複雑極まりない地下茎のように入り組んだプロセスなのですが、それをあえて数本の道の例えるなら、そのブッシュのような藪のなかを、どの子もそこを通ってきたと言えるわけですが、今度はだんだん幼児なると、発達の差よりも興味関心の差が大きくなっていくので、地下茎から伸びた幹から、好みの遊びが枝分かれした先に枝葉が大きく広がっていくような感じになっていくと、例えていいかもしれません。

幼稚園が3歳児クラスから始まるのは、生活面の自立がある程度前提になっているのですが、3歳児クラスに進級するまでに、なんでも自分である程度できるようになっていないといけない、と焦ることはありません。個人差も大きいですし、何よりも「自分で」何かを制御できるようになっていくことに、一つひとつ達成感を感じながら、おおらかに、歩んでいきましょう。

イヤイヤ期の正しい理解のために

2024/01/27

毎回「園長の日記」を読んでくださっている無藤隆先生から、いわゆる「イヤイヤ期」について、有難いことに補足説明を頂きました。以下にご紹介します。

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2歳代が自己主張が顕著になる時期なので、第一次反抗期と呼ぶこともあったわけですが(今は発達心理学者は使いませんが、発達はもっと複雑なので)。

おそらく、大人のしていることが見えてきて、それを自分もやれると思い、でも、できないということと、もう一つはやろうとしてその先のイメージが見えて、でもそれができないあるいは禁じられることの怒り。

先の見通しが少し出来て、でもその先は見えない。やれるはずと思い、実際にやれることが増えて、でもなおできないことが多いことのいらだち。

こうしようと思って動き出して、でも、それができないときの切りかえの難しさ。

などなど、いくつかのことが複合しているのでしょう。

という面倒くささがあるので、今、発達心理学者は段階とか時期とか一つの言い方でまとめることを避けます。

当面、認知的感情的自己制御の未熟さで特徴付けてもよいのですが、そしてそれは事実ですが、さらに例えば日常生活の理解の広がりと自己の位置づけまた達成感の重要性が増すことなどが絡みます。

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いかがでしょう。このように、かなり複雑なことが起きているのは、間違いようですね。

ぐんぐん組(1歳児)の保護者会について

2024/01/26

昨日のちっち組に続き、今日26日(金)は1歳児「ぐんぐん組」の保護者会がありました。インフルエンザなどの感染症が流行り始めているので、用心しながらの開催となりました。内容はこの時期までの育ちの姿を、写真や動画でご覧いただきました。お友達がズボンを履くのを手伝ってあげている姿の動画からは「相手の思いに気づき、やり方を言葉で伝える力」や「困ったときに助けを求める力」などの育ちが伝わってきましたね。

4月からの新しいクラス「にこにこ組」では、みんながそれぞれ満3歳を迎えていく1年になることから、まずは遊びの楽しさを満喫しながら、基本的な生活習慣の自立に向けた「ポイント」をお伝えしました。食事、睡眠、排泄、衣服の着脱、手洗いやうがい・歯磨きなどの清潔、簡単な言葉での挨拶ややり取り、といったことです。

お昼寝がどうなるのか、進級に向けて気をつけておきたいことなどの質問に答えた後で、最後は仲のいいこのクラスの皆さんで懇談してもらいました(途中で私は用事ができて退席したのですが)。

ちっち組(0歳児クラス)保護者会~イヤイヤは行為主体の「自己コントロール宣言」

2024/01/26

マイケル・トマセロの最新刊「行為主体性の進化」を読み始めています。まだ第3章に入ったところだったのですが、ちょうど今日25日(木)の夕方、ちっち組(0歳児クラス)の保護者会で、あのイヤイヤ期を説明することになりました。0歳児クラスと言っても、4月や5月生まれの子は、入園したと思ったらすぐに満1歳になっているわけで、この1月の時期には春にはもうすぐ2歳になるという時期なのです。

そこで最近、無藤先生に学んた「遊びの定義」が私にとっては、とてもすっきりと合点がいっているので、私なりに遊び性として整理して活用(12月26日の「園長の日記」など)しています。いかにもう一度ご紹介します。

「遊びは思いつきをする楽しさと,そこから少し先の目標を立てて実現しようとする課題解決の充実感からなる。それは物事の可能性を知ること。私(無藤先生)の言い方では環境からの呼びかけに応えて、世界性へと開かれること。そして、そこでの目標を立てての課題解決の練習となる」

この遊び性(プレイフルネス)については、先日のお楽しみ会(幼児)の冒頭の挨拶の中でも、お伝えしましたね。この遊びの中で見つかる目標の中に、自分のやっていることを「見てほしい」ということが入ってきて、その目標を実現しようとして、もっと「合奏」をよくしたいとか、うまく人形劇を見せたいとかの「協同性」も育ってきたという年長さんの姿をお伝えしました。

それと同じように、赤ちゃんが「自分で!」なんでもしたがる時期をどう理解するかというときに「コントロール=制御」という、自分でしたがっている能動性の発露だと見てみたらどうだろう、という話をしました。

イヤイヤ期については2020年の1月中旬に(ちょうどコロナ禍が始まる直前ごろ)、保護者の方々とコーヒータイムで語り合ったことを思い出します。そのことを、何日かかけてこの「園長の日記」で、井桁さんや大豆生田さんや汐見さんの見解も色々と紹介しながら振り返ってありますので、参考にしてもらいたいのですが、これに無藤先生の遊び性の分析を加味して理解すると、私なりによく納得がいくのです。思いつくことも表象、再現、自己模倣と捉えることで、自己イメージの再現欲求を「遊びの中に生まれる達成したい目標」と考えれば、話が繋がるように思えるからです。

つまり、保護者会で説明したのは、こんな内容でした。

この時期になると記憶力もずいぶんありますから、世界から呼びかけられて、思いつくことは自分の中で湧き起こる過去の楽しい経験や感情もあるでしょうから、それをもう一度味わいたくて、「あれだ!」と思いついて、「自分で!」と思うんだけど、だから周りからの提案は「イヤ」なんでしょう。でもどうやったらその目標を実現したらいいのか、まだよくわからない。達成するための課題が見えていない。あれを味わいたい!自分でやりたいんだ!だけど、何をどうやればそうなれるのか、自分で発見できない!というジレンマ感、課題解決の筋道と結びつかない感覚、のようなものかもしれません。

その自分で、自分を制御したいという自律の欲求は、生態学的機制(バイオロジー)が、個体の心理学的機制(サイコロジー)で補完されていくのでしょうから、そこに自分で自分を制御したいという行為主体性(エイジェンシー)が見えています。イヤイヤ期はとても大事な主体性の第一歩ということでしょう。あの「イヤ〜!!」というのは、赤ちゃんの自己コントロール宣言なのでしょう。そう思ってあげてみませんか?

子どもの「読書」をどう考えるか

2024/01/25

日本一の古本屋街を神田を有する千代田区。出版社も多く集まっています。ここに住む子どもたちにとっての「読書」を考える会合が25日、区役所でありました。会議の名前は「千代田区子ども読書活動推進会議」。令和6年度以降の第4次の五年計画を考える会議です。2年間の任期を任命されました。

第3次の計画は以下のように公開されています。

https://www.city.chiyoda.lg.jp/documents/6761/3dokusho-kekaku.pdf

 

ひと月に1冊も本を読まない人の割合を不読率といい、大人はだいたい50%。子どもは小学校、中学校、高校と学年が進むにつれて大きくなっていきます。保育園にいると絵本は大好きな子どもが多いのに、どこで嫌いになっていくのだろう。調査結果の資料を私なりに分析してみましたが、いろんな要因があるのですが、目についたのは、小学生は中学年以降になると一日のうちにに塾の時間が大幅に増えていることです。中学の私立受験率の高さがこういうところにも影響しているかもしれません。

ただ多く本を読めばいいということではないでしょう。少なくても気に入った本を何度も読むとことだったり、近年急増しているオーディオブックも広い意味で「読書」でしょうし、美術の画集や写真集などを「読書」から外していいとも思えません。若者文化の中には、すでに漫画や雑誌もデジタル媒体も、広く深く浸透しています。

そうするとそもそも「読書」と、そうでない「テレビやインターネットの視聴」や動画をみることと、「何がどう違うから、読書がどうなのか」ということについて、もう一度ちゃんと考え直すことから始めなければならないだろうと感じたのでした。読書活動というものの、発達的意味や現代的意味を捉え直す良い機会になりそうです。

師匠は寺尾親方という理事長との交流

2024/01/24

ある保育園から理事長と園長が今日24日、いらっしゃった。この法人は、当園の開園1年目の「親子運動遊びの会」で、若手のお相撲さんを派遣してくれた保育園です。階段の壁に展示してある行事パネルでお馴染みの、あのお相撲さんです。その保育園と、今後どんな交流をするか話し合ったのです。楽しい時間になりました。

理事長は錣山部屋に所属していた元力士です。師匠は昨年12月に亡くなった寺尾親方です。阿炎(あび)が西前頭二枚目で活躍しています。当園の運動会に来てくださった葵は、序二段東19枚目です。今場所は勝ち越しを決めています。番付は「勝ち越し」というラインが合格です。相撲はスポーツではなく本来、神事ですから、日本的な精神性がいろんなところに垣間見られます。どこか保育と似ているところがあって、ただ強ければいいというのではなくて、勝つという結果よりも、そのプロセスや儀式性にその魅力があると思います。

さて、どんな交流になるかわかりませんが、何か形になるときがあると思いますので、その時はよろしくお願いします。

保育の展示会で見えてくる動向

2024/01/23

保育園や幼稚園などの施設設備や保育遊具を製作したり、販売したりしている保育業者はたくさんあって、その中にも大手や中堅や小企業があります。それぞれ得意分野があったり、専ら販売だけだったりする会社もあります。今日は夕方から蒲田まで出かけて、保育教材の展示会を見てきました。

和紙の折り紙から創業した福井に本社のあるこの会社は幼稚園に強く、自分で幼稚園を運営もしています。広い展示会場には、園庭用の大型遊具や室内や屋上でもおける運動セットなどが所狭しと並べられていました。それぞれの開発メーカーの担当者が詳しく説明してくれます。当園に足りないかもという点を、このような展示会で気づくこともあります。

また、展示会は毎年開かれているのですが、継続して見てくると、その変遷から新素材の登場や流行している遊具がわかったりします。手作り遊具だけではできないような「付加価値」のあるものが開発されているのですが、幼児教育の本質を考えていくと、「それは、そこまでお金をかけなくても、これででできるな」ということも結構多くて、結局は自分たちではできない施設設備などに関心が向きます。

当園の藤森理事長が提案して商品化になったものも多く、例えば園内や園庭の「ゾーニング」設計の思想や、動線のコンセプトなどから、STEM遊具セットまで、色々なものがありました。

お楽しみ会(幼児)を振り返る

2024/01/22

先日20日土曜日の「おたのしみ会」(幼児の部)を振り返ってみると、子どもたちの成長を実感できる当園らしいあり方だったのではないかと思います。

どこがそうなのかというと、その日のことだけではなく、それまでの間に、子どもたちが遊びの中で見つけたそれぞれの目的を打ち立てて、その実現のために連なっている課題を次々と達成してく過程があったこと。そのうえで当日の姿に至っているということが保護者のみなさんと共有できた、という実感があることです。しかも子どもの気持ちややりたいという願いがどうやったらかなえられるかを先生たちが一生懸命考えて支えていったこともうれしいのです。そのことは保護者のみなさんにも、十分に伝わったような気がします。

当日までの過程はつぶさに「保育ドキュメンテーション」で掲示して、子どもたちも保護者の方も、もちろん先生たちも共有して変化していきました。さきほどの目的の中には「自分たちの姿を保護者にみてほしい」ということが含まれているのですが、そこからフィードバックして、もっと良くしたいという動機が膨らんでいき、創意工夫がたくさん生まれていった過程が記録として残っています。最終的に達成感をもって課題が解決されていったことが嬉しくて、それを本人も保護者も一緒に目の当たりにしながら感じることができたことが、当園らしいと思えました。

子どもが遊びのなかでみつけていく目的のなかには、年長になるほど同じ目的意識が共有され、協同していいものにしたいという気持ちも強くなっていく様子もよくわかりました。

【わいわい組】

3歳の「コバヤシーヌの森」は、園内すべての空間をつかっておこなった「リアルかくれんぼ」で、魔女に隠された先生を王子や王女になった子どもたちが見つけ出すというものでしたが、それぞれの子どもたちがまさに遊びのなかで、「あそこかもしれない」という思い付きの中で、必死で探していました。

そして、ぞろぞろとチームで一緒に探している姿が可愛らしかったですよね。先生を見つけて脱出させてあげることができたときの弾けるような笑顔、笑顔。

【らんらん組】

4歳は朝の会の様子や公園へでかける散歩の様子を、パロディにした物語でした。ヨドバシカメラのテーマソングを聞きながら秋葉原駅を歩いていたら、ずらりと並んだ「ガチャガチャ」の列。

その中に「千代田せいがガチャ」をみつけて、園長先生に内緒でちょっとやってみたらカプセルのなかに「子どもたちのやりたいこと」が入っている、というファンタジックな物語設定でしたね。

楽器の演奏や歌、綱引き、大縄跳びなどを実際に披露してくれました。

【すいすい組】

5歳は夏の誕生会でやった「くれよんのくろくん」のペープサート。そのときは体調不良で数名参加できず、「やりたかった~」「もういっかいみんなでやりたい」との声もあったので、今回のおたのしみ会はもう一度、このお話を題材に行うことになりました。それが12月14日。

そこから年末年始をはさんで約1か月。その具体的な展開はすでにお伝えしてきたとおりです。それぞれの役割と全体の出来具合の両方を目的にできるようになった年長の協力しあう姿に、私たちは胸が熱くなってしまいましたね。

【協同性】

お楽しみ会(幼児)は、協同性の育ちのプロセスを見てもらうことにもなりました。余談ですが、協同性という概念が幼稚園の教育要領で登場するのは2008年(平成20年度)の改訂です。それまでの子どもの主体性を強調してきた幼稚園教育において、集団の躍動的な、ダイナミックな活動を組織化する視点も保育に加えようとしたそうです。そう解説する保育学用語辞典の説明をいかに引用しておきます。

「他者と一つの目標に向かって力を合わせ取り組む個人の行動傾向。協同そのものは、集団的なプロセスにおいて現れる。協同は自らの考えやこだわりなどの独自性を出しながら他者とかかわることであり、周囲にあわせる協調とは区別される。・・・「~したい」という子ども個人の思いが集団全体の目的に発展するなかで、協同は生じる。協同には話し合い、協力、自己主張、葛藤、折り合いなどさまざまな能力が必要とされる。そのため、協同的な遊びや学びのデザインが特に推奨されるのは5歳児保育においてであるが、5歳児において協同的な関係をつくるためには、4歳児きでの他児との葛藤経験や協同的経験に、保育者があせらず付き合っていくことが必要になる。(西田季里)」

「社会と共に子どもの睡眠を守る会」第2回イベント

2024/01/21

・・・あなたは子どもの睡眠を守るために 何ができるのか?【乳幼児編】

1月21日(日)こんなテーマのワークショップに参加してきました。主催は「社会と共に子どもの睡眠を守る会」ですが、登園の園医さんの「瀬川記念小児神経学クリニック」の星野恭子先生たちがつくった団体「子どもの早起きを進める会」から名称が昨年、変わりました。

https://www.hayaoki.jp/

当日までに事前に研修用の動画を視聴してから参加しました。事前学習(オンデマンド講座)は「『ねんねナビ』で知った今の乳・幼児の睡眠」 。講師は:大阪大学大学院連合小児発達学研究科 特任教授 谷池 雅子先生。

ねんねナビは、赤ちゃんに望ましい睡眠習慣が身につくように、生成AI技術も駆使して親にアドバイスするナビゲーションソフトです。実証実験でともて良い成果がでていました。日本は正しい睡眠知識の普及が不十分で、睡眠衛生指導ができる方が少ない中、このような新しい仕組みが活躍する領域はたくさんありそうです。

ワークショップに参加して思うのは「日本はまだまだ乳児の睡眠が軽ろんじられている」ということでした。多くの子どもたちが睡眠不足の状態にあるのです。保育園で午睡はせいぜい1時間ぐらいでしたが、今は夜の睡眠時間が足りていないので、それを補うかのように時間が長くなっています。

驚いたのは昭和初期の日本の子どもたちは、夕方5時ごろには夕食をとり、7時ごろには寝ていました。8時では「遅い」という感覚が、その頃までは普通だったのです。今のようにラジオもテレビもありませんし、夜は今のように夜更かしを促すような物も少なかったのでしょう。

今回は第二回目でしたが、昨年の第一回の動画タイトルを以下に、ご紹介しておきます。

睡眠負債は大人だけの問題ではなく、子どもに皺寄せがいっています。これをどうやって少しでも改善していくか。新たな気持ちで、できるところから取り組もうと思ったのでした。

進級へ向けた「移行保育」について

2024/01/18

保育ドキュメンテーションをご覧いただくとお分かりのように、時々、ちっちさん(0歳児クラス)が他の幼児クラスで遊んだり、ぐんぐんさん(1歳)がにこにこ(2歳児クラス)の部屋で遊んでいる様子を描かれています。子どもたちは発達にちょうどあった環境でよく遊んでいるように見えます。

これまでも、園内全体をどこで過ごしてもいいオープンな環境に近づけようとしてきたわけですが、子どもたちは慣れた環境が落ち着くという要素Aと、新しい環境へ好奇心を発揮するという要素Bとが、あるリズムを伴って繰り返されていくので、それを年間のデイリーや週案の中に想定していくことができます。だんだんAが大きくなったり「濃厚」になったり、反対にBが活発になっていってだんだんAのような性格に移行していったり・・。

では今から4月までの3ヶ月間はどうなるのでしょう。「進級」という見方を視野に入れてみます。年長さんにとっては「就学」です。この時期になると、一つ上のクラスの環境が子どもたちの発達にあってきたことが子どもの姿からよくわかります。ゾーン設定の環境がある保育園は特にそこから感じることができます。例えば絵本の種類、図鑑の程度、制作物の技巧性、パズルのピースの数、ゲームの難易度、運動空間に置かれているもの、といった変化です。当園の場合は、3階建てなので、新しいクラスの場所への変化が最も大きいのは、1階の1歳から2歳の2階への変化と、2階の2歳から3階の3歳への変化です。そこで遊び、食事、睡眠の移行を計画的に進めることになります。

もちろん、こうやって目にみえる環境だけではなく、そのほかの要素も当然変わっていきます。遊びが始まるきっかけに着目してみると、それまで経験してきた子どもの抱いているやりたいことのイメージや広がりも違ってきますし、共通に経験してきたこと(わらべうた、歌、ダンス、鬼ごっこ、行事など)がきっかけで始まる遊びも高度になっていきます。自然や季節の変化、生き物などの変化からも、子どもの活動は変わってきます。そして先生の意識。

すでに何度も探索した経験のある、その場所へ行くと目新しいゾーン環境の中から、自分の興味ある空間や物にあたかも「引き寄せられるかように」入っていって、ものに触り、ものを手に取り、関わり始めます。要素Aよりも要素Bの要素が増えていきます。この時期のそれを「移行保育」と呼ぶこともあるのですが、発達は徐々に成し遂げられていくので、この時期だけ急に成長しているわけでないことから、「一年中が移行保育」という言い方をするときもあります。

その様子を見ていると、子どもたちはそれらが「どうやったらどうなる」という面白さや意味に気づき、面白い関わり方を見つけて行きます。それが「遊び」と私たちが呼んでいる姿ですが、見ていて面白いのは、それまでの自分の経験が、見立て遊びや、ごっこ遊びの中で再現され、自分の気の向くまま、あるいは気が済むように、あるいはお友達のやっていることに触発されてアレンジされていく、そのプロセスです。自分で自分を制御していくフィードバック的な要素がだんだん獲得されていく自立や自由度が、幼児後半の顔つきの余裕となっているようにも見えてきて、嬉しくなってきます。

 

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