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園長の日記

子どもにとっての同僚性という環境

2023/11/14

研修会の二日目(14日)は、高田馬場の研修会場で藤森代表の講義、実践発表、質疑応答です。テーマは「チーム保育」です。今年3回目の保育環境セミナーの総まとめになります。藤森代表の講義は「ヒトという環境 子どもにとっての環境 同僚性としての環境」という内容でした。チーム保育というのは、かなり前から提案されているものなのですが、私たちの保育グループでは次のように考えています。この考え方は、保育学用語辞典にも載っているので、そのまま引用してみましょう。

「習熟した保育者が、初任期の保育者とともに複数でチームを形成して保育にあたる体制。(省略) 藤森はチーム保育について、役割分担をしてともに保育することと定義し、メリットとして、子ども理解を複数の視点で行える点を第一に挙げている。近年は、チーム保育の基礎として組織文化が存在し、組織の在り方が保育の質に対して強い影響を与えることが示され、組織の一員としての保育者の成長を促すことを目指して園内研修の新たな試みが進めれている。」(中央法規『保育学用語辞典』(秋田喜代美監修169ページ)

今日の研修会では、実践発表として2園から報告されましたが、学級担任をやめ複数担任で保育をしている事例もありました。千代田せいが保育園では、年齢別のクラスとそれぞれに年齢別の担任がいます。ただ子どもの生活する空間は、それぞれのフロアを自由にどこでも行っていい、遊んでいいということになっています。子どもの発達や興味関心から活動が生まれうやすいようにしているからです。子どもが行った先に先生がいて、クラス担任を超えたところで対応することもあります。

チームワークを良くするために

2023/11/13

見学者に保育を説明することは、保育を振り返るきっかけになります。今日13日(月)はさいたま市と江戸川区から保育リーダーの方が見学に来られました。他人に説明していると、自分が知らないこと、分かっていないことに気づくことがあります。そして後で調べてみよう、という気になります。そして保育の場合「そもそも、どうしてそうしているのか?」「どうして、そう言えるのか?」が、よくわからないことがあるのです。今日は見学者の方と話合いになったのは、チームワークの在り方でした。

千代田せいが保育園は、社会福祉法人省我会が都内(八王子市・新宿区・千代田区)に4つ運営している認可保育園(うち2つはこども園)の一つです。その省我会の理事長が私の上司にあたる藤森平司統括園長です。その藤森理事長が作った保育研修団体「ビギングツリー」が、毎年4回ほど研修会を開いています。今年は7月9月11月の年3回「保育環境セミナー」になり、コロナ禍が終わって、全国からたくさんの保育者が高田馬場の研修会場に集まりました。その一環として、お互いに見学もしあっているのです。

毎回テーマが異なり、7月は「子ども同士・異年齢」、9月は「子ども主体」、そして今回の11月は「チーム保育」です。見学者の方と同僚性のあり方を、具体的に語り合えるのはお互いに貴重な機会になります。私はリーダーシップがあるならフォロアーシップも必要だし、そもそもメンバーシップを意識しているか、ということが大事だろうと思っています。省我会の保育理念は「共生と貢献」。それが子どもの成長にふさわしい経験になるようにチームワークを働かせたいと思います。

おたまじゃくしの101ちゃん

2023/11/11

絵本の読み方はいろいろあっていいのです。私の場合は、その絵本にふさわしい読み方をしています。今日10日(金)は、かこさとし「おたまじゃくしの101ちゃん」のリクエスト。事前に2歳児クラスの子も参加するというので、ざりがにとたがめが戦うところでは、読む前にさっと作った紙人形も登場させて読んであげました。

この絵本の場合は、紙芝居を読んであげている感覚に近く、子どもたちが後で劇として遊び出す可能性もあります。だんだん仲間意識が強まっていく年長さん後期ぐらい、つまり今頃になると、こういう話がちょうどいいかもしれません。また最近は散歩でザリガニ釣りに行ったり(実際にはできなかったのですが)、1階でカエルを飼っていたりしているので、少し身近な話にもなったようです。

園長のコーヒータイム(11月17日)17時~18時ごろまで

2023/11/10

コーヒータイム掲示用チラシ2

お仕事から帰ってきて、お迎えへ行く前に、コーヒーでもちょっと一杯いかがですか?

保護者の方同士の自由なおしゃべり、懇談に、お気軽にご利用ください。

場所は2階のダイニングです。

月1回ぐらいのペースで開いています。

もし早めに園に来れたら、お迎えの時間までお茶しながらお話しましょう。

<ゆる~いルール・利用の仕方>

・時間になったら子どもをお迎えに行ってね。その後、もし時間が許すなら、子どもも一緒に2階で過ごしましょう。
・途中参加、途中退席ももちろん大丈夫です。いつでも出入り自由です。
・17~18時が基本時間、後片付けまで含めて18時半には完全撤収します。

 

令和6年度の入園申し込み(11月22日から開始)

2023/11/09

千代田区は来年度(令和6年度)の保育園の募集を始めました。

https://www.city.chiyoda.lg.jp/koho/kosodate/hoikuen/riyoannai/hoikuen-nyuen.html

申込期間は11月22日(水)から12月22日(金)まで。

★「いい夫婦の日」から1か月間、と覚えておきましょう。

ただし郵送やオンライン申請は1週間早い12月15日(金)必着なのでお間違いなく。

ぜひ、見学にいらしてください。

見学日はできるだけご希望日に合わせますので、お電話ください。

詳しくご案内します。

03-6811ー6686

 

 

 

馬の水飲み場で虫をつかまえる

2023/11/08

8日(水)の夕方、「馬の水飲み場」で、ちょっとだけ遊びました。草ぼうぼうの空き地ですが、こういう場所は子どもたちが大好きです。

こんな場所には「なにかいそう」と、子どもたちはわくわくしながら入っていきます。虫をとりたいRくんは、手作りの虫網ならぬ虫袋を手に、ちいさな蝶を「つかまえた!」といって見せてくれました。

自然や虫が好きな子どもたちの姿をみていると、ヒト自体が自然がうんだ生き物であることを思い出させてくれます。

 

横断歩道を渡るときのルールを確認する

2023/11/07

いま9人いる年長さんの「お手伝い保育」は、毎週1回、火曜日に実施しています。1階の0~1歳児の乳児、2階の2歳児、そして事務室つまり私のところの三か所に3人ずつ3グループに分かれて行います。事務室で何をするかというと、金魚の水換え、園内にある観葉植物への水やり、そして乳児向けの手作り遊具づくりです。

今日7日はほかのグループでもすでにやった「マーブルチョコレートは溶けるとどうなるか」。

実験の内容は、前のグループでこれまでお伝えしてきた本と同じです。紙皿に並べたマーブルチョコレートが、お湯に溶け出してきれいな模様をつくります。ティッシュペーパーとトイレットペーパーの溶け具合の違いを確かめます。砂糖もとかしてみます。その後、スポイト、ロート、試験管、フラスコなど実験器具のセットを使って、水を入れたり出したり、操作を覚えます。

最初に近くのデイリーヤマザキへ買い物に出かけるのですが、横断歩道を渡るときのルールも再確認しました。

「さあ、ここは何がある?「横断歩道」「ここを渡るんだけど、何をするんだったけ?」「手を挙げてわたる」「その前にやることがあったでしょ?」「・・・・」「あれ、これをしないと、わたり始めて車がきたらひかれちゃうよ」「・・あ、みぎ・ひだり・・」「そう、車がきてないかなあ、って右も左もよく確かめるんだったよね。じゃあ、やってごらん」・・

私たちがそれをやっていると、<まあ、かわいらしいわねえ>という風に目を細めて笑顔で眺めていく方も結構います。

保育園のまえの横断歩道は信号もなく、大勢の人がいつも渡っていますが、右を見て左を見て・・なんてしている大人はほとんどいません。中にはスマホをみつめてそのまま歩いているひともいます。子どもたちにとって大人の姿はモデルになりません。だからこそ、交通ルールの基本は子どものうちにしっかりと知っておく必要がありますね。

青虫が食べやすい「みかんの葉」のかたちと出会う意味

2023/11/06

私の故郷は長崎で、小さい時から「みかん」や「びわ」をよく食べていました。それらを育てる農家にとって、その実や葉っぱを食べる虫は害虫なので駆除する対象でした。でも保育園では、「はらぺこあおむし」として子どもたちに「かわいい〜」と愛されています。同じ虫でも、害虫と見做される文脈に置かれると、私たちはその駆除の方法に関心は向いても、その生き物が棲む生態の面白さには気づきにくいものです。

今朝6日月曜日の朝。玄関の自動ドアにアゲハのさなぎができていました。どうしてこんなところに? 日曜日一日、自動ドアは閉まっていたので、動かない場所だと勘違いしたからでしょうか? 3歳児クラスの二人の男子も問答を聞いていると、半分当てずっぽうの、冗談を言い合っています。「どろぼうにみつからないように、ここにしたんじゃない?」「あ、わかった。こっち(ドアの外側)だと鳥に食べられるから、こっち(ドアの内側)にしたんじゃない?」など、どこまで本気だか、よくわらなないことを言い合っていました。

大人の私たちもよくわかりません。どうしてこんな場所で蛹になるのか?みかんの木の枝なら納得できるのですが、わざわざ大きな植木鉢を降りて、地面を這って別の場所で蛹になる。青虫にとっては、その場所に何かの「意味と価値」があるのでしょう。そこを選んだという「行為」を俯瞰的に眺めてみると、青虫とその周りの環境との切り結び方(出会い方)に、青虫なりの「意識」のようなものを感じないわけでもありません。

実は、もっとそれを感じる出来事が、先週2日(木)にも起きていました。すでにご存知の通り、玄関の外に置いていたみかんの木を室内に入れた時、すでにみかんの木は、7ひきの腹べこ青虫によって、葉っぱはほぼ食べ尽くされて、丸裸にされていました。そこで屋上に置いていた別のみかんの木から数本の葉つきの枝を添えたのですが、全く食べようとしません。しかし、私が「あること」をしたら、食べなかったみかんの葉を、青虫が食べ始めたのです。

それまで、過去の経験から「自分が生まれた場所のみかんの葉しか食べないのではないか」と思っていたのですが、その仮説が覆ったのです。青虫とみかんの葉の関係に新しい意味が見つかったのです。

もしかして?と試しにやってみたら的中しました。みかんの葉の縁をハサミで1ミリほどトリミングして、葉に切れ目を入れてみたのです。青虫は葉を食べる時、葉を掴んだ位置から口を葉の縁に沿わせるようにして食べます。それを見ていると、青虫にとっては、それまで自分の世界の外側にあって出会えていなかったみかんの葉が、トリミングされたことで匂いなのか汁なのかわかりませんが、青虫の知覚システムが「これは食べる」という情報をピックアップしたと言えるのかもしれません。あるいは感知されていなかった食べ物が、自分の世界の中に急に姿を現した、と言えるかもしれません。これは擬人化して説明しているのではなく、生態学的心理学を使った、あくまでも科学的な説明のつもりなのですが。

もし、こういうことが言えるなら、青虫に「意識」があると言えるような気にもなってきます。もちろん人間と同じような意識(コンシャンス)ではなくアウェアネスということらしいのですが。行為があたかも人間がそうするのと同じような姿として「喩えている」ということではなくて、青虫にとって生態学的に意味のある情報をみかんの葉の中から選択したということになります。これは青虫が葉っぱをバリバリと食べることができる潜在的に持っている機能が、食べられると知覚できる状態になった葉っぱ(本来は同じもの)との出会いによって、創発されて行為として現れた、という説明になるのかもしれません。

この考察は、こういうことに発展します。私たちは生活している中で、必ず何かをしているのですが、それは食べたり寝たりする<生物としてのヒトの営み>でありながら、同時にそこにも<社会的人間としての学習者>の姿も織り込まれていたりします。子どもたちもそうです。その生活や学びの実際をできるだけ「その通り」に記述するために、いま生態学的心理学を勉強しています。どうしてそれを勉強しているのかというと、これまで思っていた人の「発達」という概念が、そうじゃなかったかもしれない、もっと異なる見方があるのだ、ということを知ったからです。意識と行為、意味と価値などが身の回りの環境との「きり結び方」で変わってくるという見方なのですが、それで保育の何がどう変わるのかを、勉強中なのです。

そんなことを始めたものですから、身の回りの生物への眼差しがちょっと変わりました。(まだ子どもの姿の読み取り方の変化は、もう少しお待ちください)例えば、青虫の生態を観察しながら、アフォーダンス心理学の見方の練習をしているという状態です。

青虫と子どもを一緒にするつもりはありませんが、青虫にとっての「トリミングされたみかんの葉っぱ」に相当するものを、それと同じようなことを、子どもにとっての環境もアレンジしておくといいのかもしれません。つまり、それまでとは違うのは、その子どもの「知覚システム」の中に、その環境の情報が届くようにするということです。これまで「子どもの目線に合わせて」などと言っていたことに近いかもしれません。あるいは環境の再構成の本質的な意味なのかもしれません。

個々の保育と園全体の保育を網目のようにつなぎたい

2023/11/04

今日は4日の土曜日。「園長の日記」は結果的に、内容をある範囲に制御することになっています。「保育園の記録」とか「園の日誌」となると、どうしても無味乾燥な事実が並びがちで、それはそれで業務として園の書式なりフォーマットがあって、それに記録されています。だからと言って、私個人の日記ではもちろんないので、仕事に関連するパブリックな内容と文体で表しているつもりです。

それと同様の保育記録の棲み分けが、他の先生たちにも自然発生的に始まっています。「もう少し詳しく残しておきたいので、クラスブログに書いておきたかったから」書いたという先生。また「保育ドキュメンテーションに載せられなかった写真は、ホームページで見てもらおう」とか。さらに、昼間に集まって保育について語り合うという時間を作ることも大事にしていますが、デジタルコミュニケーションツール(○ド○ンとか◯ラ◯ク)を使って、職員間の保育の感想や振り返りを共有しているので、話し合いも「あの続きなんだけど」から始めることができます。

年長の担任が2日にこう振り返っています。「MさんとKくんは、最近思いやりの気持ちがとても強い。そして自分で出来ることは相手を優先してやってあげようとする姿があり、出来ないことは大人を頼ったりして解決に向かおうとしてくれる。とても良い姿がある。また、Yさんも、今週のお手伝い保育後から頼られたり感謝される喜びを感じているようで、何か気持ちの変化があるように感じる。気持ちの切り替えや、自分だけでなく相手のことも考えるということが少しずつ前向きになってきているように感じる」と書かれています。

普段から関わっている担任らにしか気付けないものなのですが、それを全員がすぐに共有できます。数日前に、このことに関する話が出ていただけに、子どもの育ちとしての姿と自らの保育のつながりが見えてくるものでした。そういう子どもの姿の変化をメインストリートにしながら、保育の工夫を話し合うことになるわけですが、そういう意味で機能し出しているのが、主任が毎日コメントを載せている「それぞれの軌跡」というスレッドです。

例えば、2日には「部屋遊び」と「外遊び」で「つながっていること」を保育で考えて、子どもに体験できる環境や機会をつくっていく事をもっと進めたい、という趣旨のことが書いてあり、その具体的な事例が記載されています。「すいすい組のごっこ遊びが今日あったようですが、それに必要な道具を持ち歩いたり、作ったり・・・生き物についてもそうです・・・「部屋遊び」「外遊び」という分別でない、つながっている環境を・・・(略)進めていきたいなと思いました」という風に。

これはクラス単位で記載されている保育内容をみんなが共有したとして、さて次はどうするか?という次の一歩に繋がるために、それまでの「自らの保育」を俯瞰的に見るような位置付けになっていきます。保育日誌で言えば「振り返りと次へのプラン」になるような内容です。いわば保育の司令塔のような役割を果たしています。全職員にとって限りある時間の中で参照しあいたい、お互いの保育や情報の方向性、あるいは全体的に向かっている保育の歩みの確認などにもなっています。

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