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園長の日記

子ども像の原点となる絵本

2021/10/13

今日は青木さんのダンス、すいすいのお手伝い保育がありました。ぞれぞれに色々な発見や楽しいことがいっぱいあったのですが、今日のトピックスとして取り上げるのは絵本です。

知りたがり屋のじょうーじ。これが原題の古典的名作絵本といえば「おさるのジョージ」ですね。英語で「キュリアス・ジョージ」が元ものの絵本の題名ですから、好奇心旺盛なジョージ、つまりなんでも知りたがり、やりたがるジョージという意味が元々の絵本のタイトルです。その第一作を今日は夕方、園長の絵本タイムで取り上げました。子どもって、こんな感じだよね、という特徴を最もよく表していると思える人気のシリーズですが、その特徴とは、まさしく「好奇心」です。好奇心は幼稚園でも保育園でも、その要領や指針で大切にされているキーワードです。

幼児教育の内容の一つ「環境」には、こう書かれています。

「周囲の様々な環境に好奇心や探究心をもって関わり、それらを生活に取り入れていこうとする力を養う」

また10ある「幼児期の終わりまでに育ってほしい姿」の7つ目「自然との関わり・生命尊重」にも、こうあります。

「自然に触れて感動する体験を通して、自然の変化などを感じ取り、好奇心や探究心をもって考え言葉などで表現しながら、身近な事象への関心が高まるとともに、自然への愛情や畏敬の念をもつようになる」

先日9日の勉強会で、藤森先生は「この絵本の登場人物たちが、好奇心旺盛なジョージが色々なことをしでかすことを、おおらかに受け止めている、周りの大人の姿に注目してほしい」という話をされました。確かに登場人物たちはジョージのイタズラに「やれやれ」という感じになるのでうが、決してそれにめくじらを立てて罰したりしません。ジョージが持っている好奇心を肯定し、なんとか、それが叶えられるように、応援してあげているのです。

さらに、藤森先生によると「この知る、ということがサイエンスのことです。STEM保育につながります。こんな好奇心を持って、やってみたい、どうしてだろう、不思議だなあ、というような気持ちを膨らませてあげてください。乳幼児期のSTEM保育とは、心情、意欲、態度を大切にしている保育そのものなんです」となります。

こんなふうに見守ってもらえたら、子どもたちは幸せなのに、と思ってしまいます。私たち大人は、この物語に出てくる大人のようでなければならないのです。好奇心いっぱいの子どもたちが、やりがたることを基本的には肯定してあげましょう。そして、その叶え方を「こうしたらいいよ」「こっちならやっていいよ」というように、認められない方法から認められる方法へ転換してあげながら、望ましい生活を作り上げる力を育ててあげたいと思います。

 

 

園長の1日

2021/10/12

わいらんすい(3〜5歳)は、本当は旧今川中学校の校庭で遊ぶ日だったのですが、雨が降りそうな天気だったので室内で運動遊びに変更しました。せっかくの「運動の秋」は外で遊びたかったのでちょっと残念です。

でも、どんな時も楽しいことに変えてしまうのが子どもたちの力です。運動ゾーンではトランポリンを何度か跳んで、そこからいかに遠くまでジャンプできるか、という運動ゲームを編み出して競っていました。

他にも将棋をしている子や、粘土で造形している子、レゴブロックで何かを組み立てたり、絵本を読んだり、思い思いの過ごし方です。

 

今日は同時並行の仕事が盛り沢山でした。9時からは大妻女子大の学生が来園して、卒論の研究テーマについてアドバイス。10時半からは今週末のオンライン・コーヒータイムの内容を鬼ごっこ協会の羽崎さんとズームで打ち合わせ。11時から「ちよだせいがぶんこ」の絵本リリースの準備。絵本にラベルを貼ったり、ポスターを作ったり。明日の職員会議の資料作りと、過去の研修内容のまとめや区役所で持っていく資料づくり。

午後には1時半から和泉小学校の体育館へ係の先生と一緒に下見に行って茅野副校長と打ち合わせ。当日借りる物や動線を確認し、いずみプラザの自転車置き場を借りる手はずもしてきました。その後3時30分には千代田区役所で指導検査の打ち合わせ。園に戻ってきて、全てのクラスの子どもたちの様子を確認してから、職員の研修報告書の読み込みと自己評価のまとめ。17日(日)に行うエアコン清掃の下見に来た方を案内。にこにこ組のコーナーポールの修理をしているうちに夕方になって、何人かの保護者の方と雑談。明日の「すいすいのお手伝い保育」の事務室での計画を考え、明日の夕方の「園長の絵本タイム」ですいすいの子たちに読み聞かせる絵本を選びました。松居直さんの「推し絵本」特集が終わったら、次は大豆生田さんが紹介している絵本シリーズにしようか?と検討開始。明日は青木尚哉さんのダンスグループ「Zer〇」の方たちと今年6回目のダンス遊びをします。

自宅に帰ってサッカーをテレビで観戦。かろうじてオーストラリアに勝利して一安心。そして園長の日記を書いて、本日の瞑想タイムへ。みなさん、おやすみなさい。

にこにこ組の「ねえ、見ててね」の世界

2021/10/11

「園長先生、見て〜」と声をかけてくれる、にこにこ組(2歳児)の子どもたち。最近、よく佐久間公園にきている、にこにこさんたちが、できるようになったことや、発見したことを見てもらいたくて盛んに私を呼びます。

見せてくれたのは、ポケットに入っていた「ひめりんご」や、何かの草の実。ちょっと長い、黄色の滑り台を滑り降りることができるようになったこと。また「目」という形の枠が段違いに並んでいる鉄棒のぼり。

みててね、といって見せてくれるモノや自分の姿を、こうやって「伝えたい」という気持ちに溢れている姿に接すると、こちらもとても嬉しい気持ちになります。キラキラを目を輝かせて「みててね」という、この子たちの気持ちの動きは、考えてみると、この子たちにとって自分が見つけた世界に、私たちを招待してくれているように思えます。ほら、どう?こんな世界。ちょっと見つけちゃったんだよね。いいでしょ、教えてあげるね、と。

こんな心の動きを「表現」ということができるなら、自分が切り拓いていく世界を他人と分かち合うことを、人は本質的に求めているんだなあと思えます。ちょうど、この子たちが1年前、ぐんぐん組の時にだんだん自分の思いを強く主張し始めて、思いが通らないとひっくり返っていうことを聞かなかったり、自分の思いの大きさに比べてお友達の思いには、思いも及ばないような時期があったことを思い出すと、なんと立派に「自分」のありようと、自分が向かい合っている「世界」を見せてくれる子どもたちに育ったことでしょう。

自分と世界が出会っている真っ最中の出来事が、面白くてしょうがない。それを「遊び」というのでしょうが、それを分かち合いたいという気持ちを持って「人との関わり」の輪の中で楽しんでいることが、ぐんぐんの頃の姿とはまた違った広がりを感じたのでした。

 

オンライン・コーヒータイム(10月16日)午前10時〜11時

2021/10/11

コロナになって開くことができなくなっていた茶話会「コーヒータイム」ですが、今月からオンラインで開くことになりました。第1回のコーヒータイムは、運動の秋にちなみ、鬼ごっこ協会の羽崎貴雄さんをゲストにお招きします。当園の、第一回目の「親子運動遊びの会」で、鬼ごっこをご紹介していただいた方ですので、ご存知の方も多いと思います。

ぜひ、ぶらりとお気軽にお立ち寄りください。

https://us02web.zoom.us/j/85428286114?pwd=aUVJM2x5ck80UWVGRjl5bEZrZVNyQT09

ミーティングID: 854 2828 6114
パスコード: 610452

学びの秋 その2

2021/10/09

先日7日の園内研修に続き、今日9日は藤森統括園長を囲んで、STEM保育について学びました。

10年後というのは2030年のことを指すのですが、それまでに急いで取り組む必要のある「地球温暖化防止」や「格差是正」に失敗すると、今の子どもたちが大きなツケを払わされる世界になってしまうことを意味します。従って、まずは大人が、政治が「正しい選択」をする必要があります。しかし、その実行が、なかなか難しい。

それでも一昨日7日(木)午後10時41分の地震のように(他にも、実際に起きた10年前の東日本大震災や、2050年までに70%の確率で起きると言われている「首都直下型地震」のように)、世界を揺るがすような大きな変化が待ち受けていて(変動性=Volatility)、それがいつくるのか不確実で(不確実性=Uncertainty)、それは単純なものではなく(複雑性Complexity)、合意を得ることが難しいような曖昧さ(Anbiguity)が付き纏います。こんな世界の特徴をVUCA(ブーカ)というのは9月1日に述べました。

今日の勉強会は、この話が大前提になります。そんな時代にはならないよ、と考えるなら、以下の話はいりません。でも残念ながら現実の世界はそんな時代になるのです。そんなに遠くの話ではありません。園児たちが中学生や高校生になる頃の話です。私の実感では、それはあっという間に来ます。そうした世界が待っていることが確実な中で、どんな力をつけておく必要があるのか?ということを考えました。

藤森先生の話は、まずなぜ、OECDが「2030年に向けた教育プラン」を打ち出したのか?ということから始まりました。きっかけは、日本の東日本大震災の教訓です。その一つが「釜石の奇跡」です。

消防庁のホームページによると「岩手県の釜石市では、約1,300人もの人が亡くなったり行方がわからなくなったりしました。大槌湾に面した鵜住居地区も、津波で壊滅状態となりました。しかし、この地区の鵜住居小学校と釜石東中学校にいた児童・生徒約570人は、全員無事に避難することができました。これは「釜石の奇跡」とよばれています。」として、音声読み上げ機能もつけて、詳しく説明されています。

https://www.fdma.go.jp/relocation/e-college/ippan/cat/cat1/cat/post-12.html

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では、児童・生徒は、どのようにして無事に避難することができたのでしょうか。

(1)鵜住居小学校では、地震直後、まず校舎の3階に児童が集まりました。ところが、3階に集まり始めたころ、
(2)隣の釜石東中学校では生徒が校庭に駆け出していました。
(3)これを見た小学校の児童は、日ごろから釜石東中学校と行っていた合同訓練を思い出し、自らの判断で校庭に駆け出しました。その後、児童・生徒は約500m先の高台にあるグループホーム「ございしょの里」まで避難しましたが、建物の裏の崖が崩れるのを見た生徒が教師にもっと高いところに避難しようと伝え、
(4)さらに高台の介護福祉施設「やまざき機能訓練デイサービスセンター」まで避難しました。
(5)このあと、津波が堤防を越えたという消防団員や地域の人の声に反応し、子どもたちはさらに高台の石材店までかけのぼりました。
(6)このあと学校やまちは津波にのまれてしまいましたが、児童・生徒は全員、無事に避難することができました。

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なぜ、こんなことができたのでしょうか。

どんな力の差が、子どもたちの生死を分けたのでしょうか。

どんな防災教育が功を奏したのでしょう。

ホームページには、大きな文字で以下のようにまとめてあります。

さらに、その三原則とはこの3つです。

この教訓を、ブーカの世界に立ち向かうための教育に取り入れたのが、OECDの「ラーニングフレーム2030」だと、いわれているそうです。ちょうど7日の園内研修で取り上げたものです。ただし、このモデルは、教員が主導して行う教育モデルに近いので、子ども主体の学びに転換させる必要があります。

その参考になるのは、シンガポールの教育改革です。さらにこれを突き詰めていくと、STEM保育の必要性につながっていくのです。その内容は別の機会に触れるかもしれませんが、今日は、そのポイントを整理しました。

藤森先生は来月、北京で幼児のアクティブ・ラーニングについて講演します。藤森先生に講演を依頼したのは、佐藤学先生と秋田喜代美先生です。

保育において、想定や思い込みにとらわれず、現状に甘んじないで、各自が当事者として率先して行動できるかどうか?

子どもにはクリティカルシンキングが必要なこと、見通しを持って最善を尽くそうとすること、自ら考えて実行する力を持つこと。こんなことができるように、さて、乳幼児からの保育は何をどうしたらいいのか。

今日の勉強会で、絞り込んでいって最後に残ったキーワードは、真鍋淑郎さんと同じ「好奇心」でした。

 

 

浜町公園で見えた子どもたちの成長

2021/10/08

久しぶりに遊んだ「浜町公園」で、わい、らん、すいの子どもたちの素敵な姿をみました。

まず、自分たちで鬼ごっこが始まりました。これまでの積み重ねの成果ですね。

先生が相手をしなくても、自分たちでルールをアレンジして遊んでいます。

走り回るだけでも楽しそうな子もいます。

たくさんある遊具も、それぞれが好きなことを選んでいます。

鉄棒、ブランコ、大型アスレティック遊具(滑り台、クライミング、雲梯、トンネル)、大きな築山、雑木林・・

虫好きの子たちがトンボを捕まえたのですが、虫かごに入れて大事そうに持ち歩いている子もいます。

帰る時間なると「保育園に帰っても食べるものがないから、逃してあげよう」と話し合っています。

「ここだと、鳥にたべられちゃう」と、見つからないような場所を探し始めます。

木の幹の上の方、背伸びしてやっと届くような高いところに、そっととまらせてあげます。

「(よし)これでいい」と言って歩きだすのですが、やっぱり心配になって、大丈夫かどうか、戻って確認していました。

そして、その子の手に注目してください。

お祈りしているのです。

どんな気持ちだったのでしょうね。

 

学びの秋

2021/10/08

夏日が続いていますが来週からは秋らしい日になるそうです。秋といえば実りの、食欲の、味覚の、芸術の、スポーツの、読書の、などの修飾語を思い浮かべますが、他にも音楽の秋や紅葉の秋、天高く馬肥ゆる秋、趣味の秋などもあって、要するに、何をするにしても気持ちよく熱中して取り組みやすい時季なんでしょう。

今日は夕刻から園内研修でした。テーマは「10年後のための保育」で、園の特徴をよりよく改善するための課題と方法を出し合いました。世界や国が打ち出している施策を確認しながら、千代田せいが保育園の強みを進化させるための話し合いです。そういえば、学びの秋、というのもしっくりきます。

今日は屋上のプールを片付けました。お父さんたちにお手伝いをお願いしようと思っていたのですが、10月の土曜日は都合がつかず、職員で行うことにしました。「手伝いますよ、日にちが決まったら教えてください」とお声をかけてくださっていたお父さん方、また来年の組み立ての時はご協力をお願いします。

 

 

絵本の秋! 「松居直のすすめる絵本50冊」特集

2021/10/06

いまの絵本が、今のような内容になってきた理由の一つは、「母の友」「こどものとも」を創刊した福音館書店の松居直さんがいたからです。1956年の創刊当時は、小川未明や坪田譲治のような、いわゆる「童心主義」と言われた児童文学や、関英雄や岡本良雄らの「生活童話」が流行っていた時代です。

藤本朝巳さんの『松居直と絵本づくり』(教文館)によると、それを松居直さんは、童心主義も生活童話も「おもしろくない」と感じていました。当時の子ども向けに書かれたものは「何かを教え伝えようとする姿勢が強く、幼児向けになっていない」「もっと生き生きとした、子どもが本当に楽しく感じるような作品を出したい」と、考えていました。それが「こどものとも」の創刊になっていったのです。

彼が編集に携わったのは1号から149号までですが、その絵本の作家や画家の顔ぶれを見ると、実に有名だった(になった)人たちばかりです。明らかに彼は日本の絵本の世界を切り開いたのです。

子どもにとって、という視点からいい絵本とは、どんなものなのでしょう。それを知る上で格好の本があります。「松居直がすすめる絵本50冊」です。松居直さん自身が選んだ絵本のリストです。ここに載っている絵本50冊を「千代田せいが文庫」に揃えましたので、ぜひ手に取ってみてください。6つのジャンルに分かれていますので、1週間ごとに8〜10冊ほど、文庫に入れていきますので、借りて読んであげてください。

 

岩本町馬の水飲み広場

2021/10/05

保育園では午前中に活発に体を動かして遊びます。子どもにとっても、大人にとっても朝9時ごろから12時ごろまでは「ゴールデンタイム」です。この時間に体も脳も、もっともコンディションがいい状態です。それまで経験してきたことが夜寝ているうちにメンテされて、もっとも創造的に、また新しい体験を新鮮に受け止めることができる状態になっています。

保育園からすぐぞばの大きな交差点の三角地帯が空き地になっていて、その場所は「馬の水飲み広場」という名前がついています。万世橋から昌平橋へ向かうあたりは、江戸城外郭門の一つ、筋違御門がありましたが、そこには「八ツ小路」と呼ばれていたように、中山道や奥州街道など多方面につながる交通の要所地でした。保育園がある神田川から南側は、神田から日本橋、両国あたりまで、武家屋敷よりも町人が多く住み、鍛治、紺屋、乗物などの専門職を営む商人がたくさん住んでいた場所です。

交通の往来を描いだ浮世絵の中でも、歌川広重の東都富士見三十六景「昌平坂乃遠景」には馬が描かれています。荷を背負ったり馬車で弾いたりしていた馬がここで休憩していたのでしょうか? 千代田区の碑にはこんなことが書いてあります。

「この場所は、江戸時代より房総や東北方面からの物資輸送(米・野菜・魚介類・木材等)のために荷車を引く牛馬の水飲み場として、また、街道を往来する人々の休憩の場として、重要な役割を果たしてきました」

5日(火)の午前中、わいらんすいで遊びました。今は草ボウボウのだだの空き地です。イネ科のススキ、エノコグサ(ネコジャラシ)、オシヒバなどが鬱蒼と茂り、キク科のホウキギクや、オオアレチノギク、ヒメジョオンなどが小さな花を咲かせていました。雑草の中にも、秋がきています。子どもたちは「草っ原」を走り回り、シジミチョウを追いかけたり、バッタを捕まえたり、花をつんだりして遊びました。

 

創造性と美を感じたダンス

2021/10/04

再現するものが模倣表象なのか、それとも創造表象なのか。

その境目が満4歳前後にありそうなことが、今日のダンス遊びで見えてきました。

模倣表象というのは、見たり聞いたりと、体験したことを、目の前に再現する模倣です。見立て遊び、ごっこ遊びなど多くの模倣遊びがこれです。昨年のお楽しみ会で見ていただいた劇遊びも、これに含まれます。歌を歌うことも再現ですし、何かを学んで身につけることも、実は「真似ぶ」を語源とする「学ぶ」ことと言えますから、発達や成長というのは、生き物としての力が環境から、いろいろなものを心身に取り入れていることになります。

一方、創造表象というのは私の造語ですが、ダンスのインプロビゼーション(即興表現)のように、「こんなのどうだろう」というように、自分で感じたものや、頭に浮かんだ身体イメージを、身体を通じて自分なりの形で表現するようなプロセスが色濃いものです。実は、こちらの「創造」の方も、その中身を分析してしまえば、模倣として取り入れた要素を、自分なりに編集し直しているに過ぎません。創造というと無から何かが生まれるように考えるかもしれませんが、それは間違いです。元々は、真似して学び身につけたものを、組み合わせ直しているに過ぎません。

ちっち、ぐんぐん、にこにこの子どもたちは、模倣遊びとしてのダンスを楽しんでいました。グーパー体操や動物など、イメージしやいものかどうかで、体が動かしやすいかどうかになっていました。ところがらんらん(4歳)やすいすい(5歳)になると、自分なりに「ポーズ」を取ったり、創造的な動きを作り出すような動きも楽しそうです。自分で好きなようにする自在感を持って、自分らしい「自己表現」を楽しめるようになってきました。

さらに今日、面白かったのは、このダンス遊びと、他の運動遊びの違いがはっきりした場面がありました。それは「美」への感覚が動いているということです。わらすがソロダンスステップをやるときに、今日初めて参加してくださった宮崎知佳さん(バレーダンサー)の、見本として行ったスキップが美しくて、子どもたちも気持ちがグッと前を向いたことがはっきりわかりました。

足の上げ方が高い、高い(笑)。やっぱり、アーティストの本物に接することは大事ですね。

今日は青木さんと芝田さんが行うポイントワークも「すご〜い」という感想が出るほどに綺麗にキマっていて、みんな、ぐ〜っと引き込まれていました。綺麗なんです。その感覚は子どもたちに、確実に伝わっていました。それがわかるのも幼児になってからだろうと感じました。これを見た後の子どもたちの「マネキンとデザイナー」は、本気度が違っていたのでした。

 

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