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見守る保育(保育アーカイブ)

環境の再構成について

2021/05/14

入園、進級してからGWも終わり1か月以上が経ち、今は子どもたちの生活がある程度、落ち着いてきた時期になります。そこで見えてくる子どもの姿は、1人ずつ異なっているのですが、それでも「その子らしさ」が際立ってくるのがこの時期の特徴かもしれません。これまでもそうでしたし、これからも、きっとそのような時期であるでしょう。

これだけの時間がかかるのは、先生や友達同士の関係が大きく変化し、その変化の結果に再適応するまでには、どうしてもある程度の時間がかかるからです。この時、自分と他者の間にうまくバランスをとっていくためのスキルの発達の程度によって、個人差が生じます。特に2歳児クラスから3歳児クラスへの進級が最も変化が大きいのですが、4月当初が大きな変化であるように思いがちですが、そうではなくて、この1か月ぐらいの間に、周りの人的環境が大きく変化していくので、そのへの再適応がどうしても必要になってきている時期なのです。

そこで私たちは5月から環境の再構成に力を入れていきます。その様子は、各クラスのブログで紹介されています。少しそのポイントと方針を説明します。

新たな空間には必ず安全基地を充実させることが必要です。リラックスできて、ころごろしたりして、アタッチできるもので安心を得ることができるような空間です。ふわふわしたもの、柔ないものなどが必須になります。物も繰り返し同じ動きが生じるものや、見通しが立つようなものが有効です。また人の環境も大事で、子どもの同士の関係の中に安心できる関係を見出せない場合も生じるので、そこでは大人がそれまで以上に応答的に対応していくことを大切にしています。決して甘やかすということではありません。

この時の安心できる人や遊びや空間があることがとても大切な時期であり、決まりやルールを優先させて、それに従うことを強く言葉で促すようなことよりも、何をしたいという欲求が生まれているのか、その背景や理由や心理機構をよく理解してあげるような、じっくりとした関わりや受容が大切なのです。

こんなことを話し合いながら、一人一人の姿の意味を読み取っていきたいと考えています。

こんな姿が増えて嬉しい日々です

2021/05/12

皆さん、自分の子どものが「しっかりしてきたなあ」と感じる時は、どんな時ですか? 私がそれを感じるのは、自分で自分の行動をしっかりコントロールしているなあ、と感じる時です。

たとえば、私の担当になっている朝の運動遊びの中では、最近のお気に入りは「ブランコ」なのですが、その順番を待つこととか、遊びをおしまいにできるとか、時間になったから交代するとか、そんなことがかなりスムーズに切り替える力がついてきたなあ、と感じることが増えました。ごっこ遊び、見立て遊びのおしまいの仕方も上手になってきた気がします。

そんな場面に注目してしまうのは、大人の勝手な都合なのかもしれませんが、特に日本の文化の特徴が表れているかもしれません。子ども同士が自分の思いと他者の思いを上手にすり合わせたり、調整したりできることに価値を見出したがる自分がいます。それは自己主張して相手を「論理的に打ち負かす」ことが望まれるような文化ではなく、自分の気持ちや考えもあるけれども、相手のことも考えてどうしたら共に良くなるかを考えよう、という志向が強い気がします。その結果が、日本人は「同調圧力に弱い」という国民性につながっているようにも思えます。

しかし、これからの社会に望まれるのは、共生社会ですから、自分の意見や考えもちゃんと持っていながらも相手の気持ちや考えも理解していくようなスタンスでしょう。そんな大人になってもらうための「ブランコ」や「アゲハ蝶」との関わりだったらいいな、と思っています。

新宿せいが子ども園の環境を視察しました

2021/04/17

今日は新宿せいが子ども園へ出かけて、保育環境を見学してきました。藤森統括園長から「これからの時代の教育や保育」のポイントをレクチャーしていただき、その後、じっくりと環境を見てきました。子どもたちが生きていくことになるこれからの「不確かな社会」は、少子化とAIの社会になります。そこでは共感や協同する力が不可欠になります。そのために乳幼児の頃から、集団の中で粘り強さや気持ちを立て直す力(レジリエンス)などの根っことなるものを育んでいくことが必要です。そのためにも「子ども同士の関わり」の中で、感情をコントロールできる力や、話し合ったり協力して何かを成し遂げる力が必要です。

そんなこと確認しながら保育を考えるのは楽しいものです。私たちの生活にどんな意義があるのか、それを確認しながら保育を計画していくことができることに、仕事のやりがいを感じます。世界的には産業革命以降に始まった個人のスキルを社会の目的に合わせる教育から、180度転換する必要があるのですが、OECD(経済協力開発機構)でさえ、すでにその転換を唱えているのですが、日本ではそのための教育改革ビジョンがなかなか見えてきません。しかし、それが必要なことは間違いなく、それに気づいている教育者たちが独自に取り組んでいるという状態です。

新宿せいがの2階は幼児の生活空間なのですが、伝承遊びゾーンは「多文化ゾーン」に変化し、また年長組すいすいの活動の中にお手伝い活動に加えて、科学実験活動の充実が図られていました。時代の変化が保育ゾーンの変化となっていました。千代田せいがは狭いので、知恵を出して工夫していこうと思います。

存在を喜び合うちっち・ぐんぐんの朝の会

2021/04/15

「◯◯ちゃ〜ん」、と子どもの名前を呼ぶと、ちょうど1歳になるKちゃんが、嬉しそうに「は〜い」と手をあげてパチパチします。周りの子たちもパチパチしています。ほんの半月前までは「集団」を知らなかったはずの子が、ちゃんとご返事ができる、ということに先生たちの間に温かい歓声があがりました。名前を呼び合う間柄になるということは、あなたがそこにいることだけで、私たちは嬉しいということを確認していることになっています。

0歳の子たちにとって、気持ちが通じ合うということは大切な「社会的発達」の経験になっています。1歳ごろと言えば、自分と相手と世界の3つが「表象」によってつながり合っていく時期です。自分が先生から「◯◯ちゃ〜ん」と呼ばれることも、自分についての「◯◯ちゃ〜ん」という自己イメージをもてていることになります。「は〜い」と応答できているということは、自分についての自己イメージ(表象)と「◯◯ちゃ〜ん」と声を自分に結びつけるという三項関係が成立しており、言葉がで始める前の発達の条件が整っていることがわかります。

このことは家庭でも起きることですが、集団があると、このように「声」をかけてくれる他者の存在があり、そばに模倣したくなる対象がたくさんあることになります。そのやり取りの中で、それを喜んでくれたり、嬉しがってくれたりすることで「気持ちが通じ合う」という社会的な発達の経験になっているのです。楽しい体験はまたやりたい、また僕のこと、私のことを呼んで!認めて!という存在自体への承認欲求が満たされていくことになります。

朝のお集まりは、今日も元気にいるね!という、お互いの存在を確認し合うことになっています。出席をとるということの本来の目的です。そこに存在すること自体の重要性を感じあっています。これは自信の育ちにも関わっています。無条件の自信が他者と信頼し合う関係に育ちます。1歳ごろまでに気持ちを通じ合わせる中で「人と関わること」そものもが発達の経験になっているのです。

利他性が発揮されている毎日

2021/04/14

今週4月12日(月)から、東京でコロナ感染の蔓延防止対策が始まったわけですが、「春に三日の晴れなし」と言われるように、春は意外とカラリと腫れた日が少ないもの。ちょっとでも晴れていたら「外遊び」を取り入れたいと考えています。今日14日は雨だったので、室内やベランダでの様子がクラスブログで紹介されています。

そこで見られる姿は、面白いことに子どもたちが元々もっている「利他性」が発揮されていることです。利他的という言葉はちょっと難しい言い回しですが、「利己的」の反対です。自分にとっては直接メリットがなく他人のために役立つような行為です。そうした「態度」は、お手伝いをやりたがる、率先して掃除や片付けを手伝う、お友達の気持ちに気づいて優しく接する、楽しそうな遊びをお友達にも伝える・・・そうした姿の中に見出されます。

千代田せいが保育園の保育が何を目指しているのかというと、色々な言い方ができるのですが、子どもの育ちゆく姿としては「保育目標」というものがあります。学校だったら教室の前に額縁に入れて掲げてある「教育目標」と同じ位置付けのものです。保育園も幼稚園も学校も、それは子どもを主語に書かれています。例えば和泉小学校は「人にやさしく 自分につよく 明るく 元気な 和泉の子」です。省略してありますが、主語が「子どもは」になっているでしょ。社会性、克己心、内面性、健康などの要素が盛り込まれていますね。注目して欲しいのは、トップに「人にやさしく」と利他性を含む人間性が掲げられているということです。

千代田せいが保育園の場合は「自分らしく、意欲的で、思いやりのある子ども」です。思いやりというのは、他人への「共感」の育ちがベースになるのですが、その育ちの基盤は持って生まれたもの(つまり教えて学んだものではなく、生得的に持って生まれるもの)と言われる模倣の力です。じっと見て真似をするという力が、相手の心の動きを想像しながらなぞるようにイミテーションできる力のことです。

したがって、心をなぞりたい!、一緒になりたい!と愛着を持てる対象がそばにいなければ、模倣する対象をもてませんし、共感体験が生じません。ちっちやぐんぐんやにこにこの頃から、その体験を積み重ねていく中で、他人への信頼感を獲得しながら、言葉も獲得し、やさしさを育て、思いやりという心の姿勢を形作ることができるようになっていくのです。この育ちのまとまりを利他性の発達と言います。SDGsなど持続可能な社会を実現できるかどうかは、保育のテーマとして捉えなおせば、この心の姿勢を育てることに他ならないのです。

それぞれの「どろんこ」見つかったかな?

2021/04/12

1週間前の4月5日の月曜日と、今日12日の月曜日では、たった1週間の違いなのに、子どもたちの慣れ具合、落ち着き具合が全く違います。

1階の「ちっち」は牧野先生の膝の上でUKさんが美味しそうに朝のお煎餅を食べていましたし、「ぐんぐん」はエプロンをテーブルに並べたり、おしぼりタオルが誰のものかを早速覚えていたり、まだ朝9時台ですが泣く子がもういませんでした。

同じ頃、2階の「にこにこ」は、室内のままごと遊びやベランダでの運動歌遊びに夢中になっていました。

さらに3階の「わらす」は、将棋を指している年長すいすいさん、140ピースのパズルに挑戦中の年中らんらんさん、ぬりえに没頭中のわいわいさんと、びっくりするほど静かでした。

先週7日(水)に、子どもたちと先生とで「入園・進級を祝う会」を開いたのですが(その模様は「行事」にアップしました)、子どもたちそれぞれの「落ち着く居場所」を見つけて欲しいという願いを込めて絵本『どろんここぶた』を読んであげたのですが、子どもたちがそれぞれの「どろんこ」が見つかっているように見えました。安心して過ごせる場所があるからこそ、そこから、それぞれの冒険や探検や挑戦が始まっていることでしょう。

藤森平司の保護者講演会

2021/04/10

2年ぶりに開かれた藤森統括園長による保護者向け講演会。昨年は緊急事態宣言のために開催できませんでしたが、今年は感染対策をしながら、保育園の会場に4家庭、ZOOMで10家庭の皆さんに参加いただき、開催することができました。ありがとうございました。今日の藤森先生の話は「これからの時代に必要な子育て」に関するものでした。具体的には目指したい子ども像に始まり、これからの不確かな時代を生きていくために必要とされるスキル、良い学びが起きる条件とは何か、そして今後必要とされるであろう6つのキーワードについての詳しい解説でした。なかでも「実行能力」と言われる自分の感情と行動をコントロールする力がとても大切であるという話でした。この実行能力とは発達科学で言われる言葉ですが、これまで哲学や社会学では「自由意志」として語られてきた生きる力と同じです。

これらの力がどこで、どのように身につくのかというと、少子社会の中では家庭では難しく、子どもの集団のある保育園がその機会になります。これからの時代に必要な力が、家庭や地域では育ちにくいというのは皮肉なことですが、それには理由があります。それは人類は協力しあう能力があったから現在まで進化の過程で生き延びてきたと考えられているからです。その能力を整理すると、人と協力したり、コミュニケーションをとったり、物事をしっかり考えたり、関連する要素を組み合わせて創造したり、挫けずにやり通したりする力が含まれます。

これらの力は、持って生まれたもので決まるのではなく、スキルですから習得できるものです。従って学び続ける力が必要になるのですが、習得には「ラーニングピラミッド」という階層があり、学んだことをしっかり身につけるためには、グループ討議、自ら体験する、他人に教えるという「アクティブラーニング」が不可欠です。このような学びがすでに乳児の「模倣学習」の中に見られることを、エピソード動画で解説していただきました。

にこにこ組保護者会

2021/04/09

今日は2歳児クラス「にこにこ組」の保護者会でした。この年齢のポイントは「自立」です。生活と遊びのそれぞれに「自立の姿」があります。生活を分類すると、食事、睡眠、排泄、衣服の着脱、清潔、お支度などがあります。それぞれについて、自立のイメージを持ってもらうと、無理しないで一歩一歩前に進めることができます。たとえば、食事は「自分の好みと適量がわかり、だいたい食べこぼさずに、食具を使えるようになる」といった自立の姿です。

1年前の1歳代の育ちの姿、今の姿、そして一年後の姿へと、自立の姿がどのように変わっていくのか、それをイメージできればあわてることも少なくて済むかもかもしれません。ただ、その筋道は一人ひとり異なるので、平均的な姿と比べない方がいいでしょう。平均的な子どもなど、この世に1人もいないのですから。子ども自らの確かな歩みを支えていくために、焦らず、おおらかに待つうちに、いつのまにか自立しているでしょう。それを信じてあげてください。

新年度最初の春の保護者会は今日で終わりましたが、それぞれの保護者会で共有したことを、毎日の生活に生かしていきましょう。保護者会で使った資料は、ホームページのパスワードが必要な「行事結果」に入れておきますので、ご覧ください。

ぐんぐん組保護者会

2021/04/07

1歳児のぐんぐん組の保護者会。この1年間で大切にしたいことは、人との心の交流と自発性ですが、それがどのようなことなのかを、具体的にイメージしてもらえたら嬉しいな、という会になりました。今日は美倉橋の公園で遊んできたのですが、その写真もみていただきました。

年間目標は次の2つです。

●「保育者や友だちとの関わりの中で、自分の気持ちを表現したり、相手の気持ちに目を向けたりしながら、関わりを深めていく。」

●「「自分で」「やってみたい」気持ちを大切にしてもらいながら、身のまわりの様々なことに意欲的に挑戦していく。」

人と関わる中で育つ相互の安心感と信頼感に支えられながら、自分でやってみたいという意欲が十分に満たされていくような生活。その世界に大人があまり介入せずに、温かく見守っていくこと。その中で育ちゆくものを、一緒に確認してゆけたら嬉しいですね。

2歳になるのが4月から9月までの半年間に集中しているクラスです。それだけに乳児から幼児への過渡期のテーマが早く現れてくるクラスになります。そこでちょっと早めに「イヤイヤ期の傾向と対策」をお伝えしました。イヤイヤは内面から突き動かされる衝動にも似て、子ども本人にしても、そのエネルギーの使い方、湧き出る気持ちに戸惑っているはず。どうしてそんな現象が、この時期に起きるのか、故岡本夏木先生の「しつけ論」をたよりに、考えてみました。

しつけは、子どもの生の欲求と社会的規範が葛藤をうんでいる場面です。また、それはシーソーのように揺れ動く中で、社会規範を身に付くための、長い練習の時期でもあります。その荒波の社会の中へ、果敢にも漕ぎ出していく赤ちゃんたちを、心から応援してあげましょう。それいけ、ベイビー。自分の力で感じ、気づき、わかり、できることを繰り返しながら、豊かな心情が育ちます。そこから心の姿勢が形成されていくでしょう。まっすぐな心が社会と出会い、そのぶつかっている心の音が「イヤイヤ」なのかもしれません。イヤイヤ期は「自分づくり第一期」でもあります。

 

 

すいすい組保護者会

2021/04/06

年長組すいすい組の保護者会。この1年間の子どもが見せてくれる特徴や、すいすいならではの活動を少し紹介しました。今は多少「ロストすいすい」感情が残っている子もいますが、だんだんと「新しいわらす」の集団の中で、新しいわくわく感を感じるようになってきています。年齢や発達に差がある大きな兄弟関係のような「わらす組」の中で、年長としての張り切り感が伝わってきます。この前ですが、ちょっと褒めたら「だって、もうすいすいなんだから」と言われ、(お、そうきたか!)「あ、そうだよね、さすがだね」とちょっとタジタジでした。うちに秘めた進級の嬉しさや誇らしさが、そんな時、顔を出してます。

年長さんになると、お手伝い保育とか、お泊まり会とかお芋掘りなどがあって、きっとあっという間に過ぎていきそう。そうこうしているうちに、もうすぐ小学生だね、という時期がくるでしょうから、あまり先取りしないで今の時期にしかできないことに熱中したり楽しんだりしていきたいものです。この1年は、本当にびっくりするくらい「しっかり者」になっていきます。おう、そうきたか!!が当たり前の一年になっていくことでしょう。

3歳ぐらいから、自分がやってみたいことの中に、お手伝いや役立つことをとてもやりたがるようになっていきます。この進級の時期は、それまで「見ていた立場」から「やっていい立場」に変わるので、それが一気に現れているように感じます。園児たちはこの2年間の生活を、他人から言われるでもなく、自分たちからやり始めているようです。明日の「入園進級を祝う会」で、「それが先生は嬉しいよ」と伝えるつもりです。今日の保護者会では、すいすいさんのそんな姿の写真をスライドショーで見てもらいました。これも頼もしくなってきたすいすいの年度始めの姿です。

最後の20分程度、7名のご家庭と一緒に懇談会の時間を持ちました。出てきたテーマはタブレット端末やゲームなどのやり過ぎの問題。どの程度がいいのかという線引きや、何がどう子どもに影響するのか、はっきりしていないテーマなので結論は出ませんでしたが、ちょっと気になるテーマとして「継続審議」にしていこうと思いました。情報があったらその都度、お知らせします。

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